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階段の司書室  作者: いす
63/84

梅雨

63話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

梅雨の時期となり、暑さと共に雨も増してくる。

これまでは折り畳み式の傘で何とかしていたが、手間やらを考えると普通の傘を持っていった方が何かと好都合。

長袖から半袖へと変わった隣を歩く彼女も、同じように普通の傘で雨をしのいでいた。

「ここのところ、雨ばっかりですねユキ」

「まぁ…梅雨の時期だしなぁ」

「この雨のせいで、しばらくデートがしてません…」

雨に対して、そう文句を言う。

だけど、雨は止まることなく、地面へと落ちていく。

「晴れててもするかどうかは別だけどな」

「ほら、ユキも梅雨のせいで性格がねじ曲がってしまいました」

「なんでもかんでも雨のせいにするなよ」

雨のお陰で作物が育ったり、晴れの清々しさを感じたり、悪いことでなく色々と良いことだってあるのだ。

晴れが続いた影響で、野菜が危ない、とかニュースでよく見るし。

雨の音を聞きながら寝るのだっていいBGMになる。

「むー…ユキは雨の味方ですか。そーですもんね。雪は雨から出来ますもんねー」

「関係ないけどな…」

そんな特別好きというわけでもない。むしろ嫌い。

普通に歩いてたらバランス崩して、雪に身体半分埋まった時には雪が憎くて仕方なかった。

それ以来家の周りの雪は完璧に除雪してやろうとその時に誓った。

ついでにお隣さんのも。

「あ、そうだ」

「んー?」

今年の冬も雪と戦う決意をしていると、彼女は何か閃いた様子を見せる。

「ユキ、明日から外でデートをするんじゃなくて、お家でデートをするっていうのはどうでしょうか?」

「嫌だ」

小さく首を横に振りながら、そう伝える。

「せめてもう少し考える…みたいなのをください…。即答…」

「だって嫌だし」

「…どうしてですか?」

「いや、これまではお財布面やら時間の都合でそこまで出掛けなかったけど、家ってなると時間も金もそこまでかからないじゃん」

「えぇ、良いことだらけです」

「…となると、お前毎日しそうじゃん」

ただでさえ暇さえあれば家に来ようとする彼女。

それに対し、お家デートという理由を与えてしまえば、どうなるかは考えなくても分かる。

そして、その考えは当たっていたらしく、彼女は目線を反らしていく。

「べ、別にそんな毎日はしませんよぉ…」

「じゃあどんくらい」

「一週間のうちの…5か…6?くらい…」

確認するように、数字を一つ言う度にこちらをちらりと見てくる。

「…………」

5日か6日、それはつまりほぼ毎日。

…こいつ、どんだけお家好きなんだ。

…彼女の天職はお宅訪問番組の人かもしれない。

「だ、だって…ユキと二人きりの空間なんですから…たくさん楽しみたいじゃないですか…」

「いや、多分飽きるぞ…」

「絶対に飽きません!それに関しては自信があります!」

「…謎の自信だな」

「ユキと二人きりってだけで、すっごく楽しいんですから」

「ふーん…」

「む、なんですかそのつまらなそうな反応は」

…まぁ、確かに彼女とこうして二人きりで一年帰ってみても、飽きる気配は全くない。

むしろ、何処か楽しい。

かといって、今思ったことを彼女に伝えると調子に乗るか照れそうなので、密かに思うだけにしておく。

…雨の音が、少しだけ強くなった気がした。

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