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階段の司書室  作者: いす
51/84

グリコ

51話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

階段でする遊びと言えば、誰だって一つ、思い出す遊びがある。

その遊びの話を彼女はどこかで聞いたらしく、ここも階段だしとやろうということになった。

「でも…ここの階段でやると、普通に数時間はかかるぞ」

学校の階段でやるならともかく、街の階段でこれをするのは無理がある。

その事を伝えてみると、『じゃあ』と言って、彼女が満足するまでという曖昧なところまでということになった。

「それじゃ、いきますよ~?ジャーンケーンポンッ!」

「………」

彼女がパー。

俺はグー。

残念ながら一回目から俺は負けてしまった。

「んふふ~♪勝ちですね~♪パ・イ・ナ・ッ・プ・ル」

意気揚々と階段を6段上る。

このゲームのタイトル名だというのに何故負けるんだグリコよ。

「じゃ、もう一回」

「はーい。最初はグー!ジャーンケーンポン!」

彼女の手の指は開かれ、俺の指は拳の形になる。

…負けである。

グリコよ、貴様の力はそれほどなのか。

俺は信じているぞ。

どこか呆れている彼女が、またさっきと同じようにパイナップルと間延びしながら言って、階段を上る。

「それじゃーいくぞー、ジャーンケーンポーン」

「……。ワタシの勝ち…なんですけど、全然嬉しくないんですけど」

彼女の言う通り彼女はパーを出して勝った。

つまり俺の負け。

彼女がまた6段、遠くへと行く。

グリコ、お前はどうしてパイナップルに負けるんだ。

そもそもグリコとパイナップルは争う必要なんて無いじゃないか。

お菓子と果物。

共に子供へと笑顔を送ろうではないか。

和解への道を指しながら、またじゃんけんを始める。

「ジャーン、ケーン、ポーン!」

「………」

「お、勝った」

彼女の指はチョキの形。

グーを出していた俺の勝ちとなる。

やっぱり出来るじゃないかグリコ。

お前は強いんだグリコ。

どちらかというと相手の善意に頼る勝ち方だけど。

その名の文字数分、階段の段数を上る。

やはりグリコには勝てないなチョコレートは。

なんたってグリコが作ってるんだから。

3段を調子良く上る。

彼女との段数の差は15段。

後5回。

連続で勝てば隣へと並べるが、一度でも負けてしまえば、二倍の差がつくという恐ろしいゲーム。

子供はこの恐ろしさに無邪気さ故に気づいていない。

この…恐怖を…

「あの、ユキ」

「ん、どうして階段を下りてきたんだ」

彼女がいつの間にか、近くにいる。

口調が少し呆れている。

「ユキ、やる気ないですよね?」

「え」

「ユキって、やる気が無いことだと色々と雑になりますし」

「いや真面目に…」

「真面目に三回グーを連続で出すのは作戦なんですか?」

「グリコに対する信頼感だ」

「…はぁ。普通に帰りましょうか」

いつも通りの感じで、彼女が帰宅を提案してくれる。

「何か…ゴメンね」

「だいじょーぶです。こういうところも含めてユキですから」

「そっか」

春の陽気に当てられた一日だった。

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