髪
50話目です
誤字・脱字があったら申し訳ありません
「お前の髪ってサラサラだよなぁ」
風が吹き、太陽を受けて輝く髪が目に入る。
言われた彼女は「そうですか?」と言って自分の髪を優しく触る。
そのカノジョの顔は喜びに満ちている。
「いやほんとに。綺麗だなあって」
「き、綺麗…ですか。頑張った甲斐がありましたね…えへへ…」
「ケアやらなんやら大変そうだな」
「えぇ、でも、ユキからその言葉を聞きたくて、毎日頑張ってたんです!」
「そうか」
「で、なんですけど。あの…良ければもう一度、綺麗って言ってくれませんか?」
「ん…何故?…お前まさか変なたくらみが…」
「違いますよ!その…ユキから誉められると、もっと頑張れる気になれるんですっ!ほらっ、言ってください」
可愛らしい彼女の顔が、迫ってきて、もう一度、と言ってくる。
「いや…でも今のは素で出た言葉だから…意識すると…」
「いいんですか?今のワタシに綺麗と言わないと、もしかしたらこの髪がザラザラになったりするかもしれませんよ?」
「なんだその脅迫…」
「今言わないと髪に触る権利も失いますよ?」
「そんなのあったのか」
「ふふふ…さぁ、言ってください!」
謎の脅迫が俺に突きつけられる。
ここで放置しても、いつまで言い続けるか分かったもんじゃない。
それに、彼女も純粋に聞きたいと言ったのだ。
俺の一言で頑張れる気持ちになれるなら言っても…まぁ。
「…き、綺麗…だな」
「……!んふ~♪」
「ちょっ、抱きつくな」
「ついでに頭も撫でてくださいっ!ほらっ!ほらっ!」
「えぇ…」
動こうとしても動きづらく、離そうともしてくれない。
素直に従って、サラサラの髪に手を乗せる。
「~♪ユキは撫でるの上手ですね~♪」
「……これ外ですることじゃ無いと思うんだけども」
「それじゃあ続きはワタシのお家でします?」
自分の胸の中で見上げてくる彼女の笑顔は、とてつもなく愛らしく危険。
彼女の力が抜けたところで、するりとまわされた腕から抜け出す。
「…いい。ほら、もうおしまい。帰るぞ」
「えー、もっともっとです!ユキ~!」
「やめろ、来るんじゃない」
「あ、照れてますね?恥ずかしがってますね?」
「覗き込まないでくれ…」
「もっと見せてくださいよ~♪」
覗き込んでくる彼女は喜びと嬉しさに満ちていた。




