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階段の司書室  作者: いす
44/84

歓迎会帰り

44話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

歓迎会は特になにかハプニングが起こることもなく、無事に終わった。

前に少し話していた事もあるのだろう、翌日になると階段に着くなり彼女はその内容について聞いてきた。

「どうでしたか?歓迎会」

歓迎会。その言葉で昨日のことが悪夢のように甦る。

「…聞かないでくれ…」

「何かあったんですか?」

振り絞った声の原因を知らない彼女は無垢にも変わらず聞いてくる。

色々回避しようと使った言い訳だから、うやむやにするのもいけない。

まぁ、回避できなかったけど。

覚悟を決めて口を開く。

「お前は…自分の担任のコスプレ姿を見たら…どう思う?」

「…はい?」

「三十越えてるのにメイド服を着た担任の姿を目の当たりにしたらどう思う…!」

「…………」

彼女の笑顔が固まる。

言葉だけでこれだけの効果があるのだ、実物を見たらこの笑顔なんて崩れるだろう。

俺だって場の空気に流される形で密かに歓迎会を楽しんでいたのに、あんなのを見せられて今の彼女と全く同じ、いや、真顔になった。

新入生は年齢を知らないからか、大盛り上がりでした。

「……すまんな。聞かせて」

「いいえ…ワタシも迂闊に聞いて…すみませんでした…」

「お前は悪くないんだ…」

二人の歩む速度が遅くなる。

服装が服装だからか端から見たら本当にお葬式帰りに見える。

春の陽気に包まれた街には似つかわしくない二人がそこにいた。

…話題を変えるためか、彼女が

声を出した。

「で、でもユキの高校はそういうイベントがあるのは良いですよね。ワタシのとこなんてそんなの無くて堅苦しいのばっかりですよ?」

「…ん、あぁ。歓迎会自体は元々は昔の生徒会が考えて、有志でやってたやつだからな。それが時間が経っていつの間にか学校行事になったんだ」

「へ~そうだったんですね。ワタシもそっちの高校に行けば色々と良かったのに…」

「ま、そこばっかりは仕方ない。その代わりにお前のところはオシャレな内装してんだろ」

「最初は確かに良い高校だなぁ、とは思いましたけど…ずっといると結構飽きちゃいます」

「それはこっちも同じだよ」

ずっと同じところにいれば自ずと嫌なところも、好きなところも必ず見えてくる。

大事なのはそこを受け入れることが出来るかどうかだ。

受け入れられれば、それは普通に良いことだし、出来ないのもまた仕方ない。

そういうところは人それぞれ。

無理して受け入れようとしても、疲れる関係は必ず崩壊するものだ。

「あーあー…ワタシもユキと一緒にラブラブな学校生活を送りたかったです」

「…でもな、案外こういう形でしか会わないからずっと会えてるのかもしれないぞ」

俺が言いたいことを察した彼女。

だが、それでも彼女は

「ワタシは、どんなユキでもユキとして受け入れるつもりですよ?」

そう言って微笑んでくれた。

「…お前すごいな」

「ふふっ、誉められると照れちゃいますね」

「いやほんと」

本当に、彼女には敵わない。

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