報告
42話目です
誤字・脱字があったら申し訳ありません
「ちゃんと返してきたぞ」
階段へ着くなり、彼女が本の事を聞いてきたので返してきたと報告をして、階段を上る。
それを聞いた彼女は満足そうにしながら付いてきて、一言二言告げてきた。
「これからはちゃんと気を付けて下さいね?分かりましたか?」
「んー」
「本当にわかりましたか?」
「んー」
「…………」
「んー」
「明日、デートしましょう」
「ん……ん?」
上る足が止まる。
振り返るとしてやったりの顔をしている彼女が。
「デート、行きましょ?」
「…行きませんよ?明日、新入生歓迎会の準備があるんだよ」
言うが、彼女の目が疑いの眼差しに変わる。
…俺がこういうこと言うの、怪しいもんね…。
「…それ、ほんとうですか?ユキがそんなことの手伝いをするとはワタシには思えません…」
「実はこれが本当だったりする。うちの担任が雑用係ってことで急に投げてきたんだ。逃げたら逃げたで内申期待しとけよって言われたし。なんであんなイライラしてたんだ…」
何故学生の楽しみである休日すらも教師は介入してくるんだ…。
俺のどことなくの柔い怒りを感じたのか、彼女も疑うのをやめる。
「本当…っぽいですね…」
「すまん。て、事なんでそれはまたいつか」
そう言い、また階段を一段一段踏みしめる。
「…じゃあ、明後日ですかね~」
さも当たり前のように彼女は言い切る。
また、二人の歩みは止まった。
「俺に休日はないのか」
「妻のために休日も頑張ってくださいよ、お父さん?」
「お父さんじゃないし…て言うか、そんな風にコキ使うから過労死は無くならないんだぞ。家族をいたわれ」
「なんで急にそんな社会の闇みたいな話に…」
「まぁ、ともかくなに、ここでぶらついてないでさっさと帰ろう。俺は明日のためにしっかり休まねばならないんだ」
目的のため、上の階段へと足を運ぶ。
彼女が小走りで横に来て、俺の顔を覗き込んできた。
「ワタシが添い寝しましょうか?」
「俺が睡眠の話をすると必ずその話題になるのか」
「『ヘタなテッポウ数打ちゃ当たる』。有名なコトワザでしょう?」
「そもそも獲物が絶対に当たらない位置にいたら意味無いけどな」
そう諦めさせようと言うが、彼女は「でも」と言って、口を開いた。
「ワタシとこうして一緒に帰っている時点で、ユキに当たる位置にはいると思いますけど?」
「…まぁ」
「ふふっ…狙い撃ちです」
彼女の目は、確かに獲物を狙うハンターの目をしていた。
…俺、そんな狙う価値ないよ?




