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階段の司書室  作者: いす
41/84

やり残した事

41話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

街に降る花びらを受けながら、明るい空の下階段を上る。 

いつ見てもこの光景は惚れ惚れする。

見惚れていると、隣にいた彼女が「あっ」と何かを思い出すように言葉を漏らした。

「どうした?」

「いえ、そろそろ新しい一年生が来て、三年生という実感が湧くでしょうし、色々と準備をしないといけないことを思い出しまして」

「準備って…何かあるか?」

「まぁ…実際のところは心意気ぐらいですけど。部屋の片付けなんかを。ユキはそういう、やり残した事なんてのはありますか?」

「うーん…」

顎に手を当てて、何かないかと色々振り返ってみる。

「何かお友だちから借りてたりとか」

考えているときに彼女からそう言われ、ハッと思い出す。

「本…図書室から借りてたの。読み終わったのに返し忘れてたな…まぁ…まだ返却期間ちょっとあるし…いいか」

「ダメです!」

「えっ」

自分で納得していると横やりが入る。

そのやりの出所をを見れば、

彼女が指をピンと立てていた。

「もしその本を他に読みたい人がいたらどうするんですか?」

「………まぁ」

「それに、今は確かに学校から借りているものですから大丈夫かもしれないですけど、それがもし会社の資料だったりしたら!」

「………うん」

彼女の話はまだ続く。

「それで不幸になるのはユキ本人なんですよ!だから、これからはワタシが傍でずーっとそうならないように見守ってあげます!いいですね!」

「…話変わってない?」

「とーにーかーく!本は早々に返してきてください!わかりましたか?」

「へーい…」

やる気の無い返事だが、それでも彼女は満足といった様子。

「まったく、ユキは怠け者なんですから」

「他の人たちが働きすぎなんだよ…」

「言い訳無用ですっ!」

「…お前、俺の母親より母親してるぞ」

うちの母親なんて自分に損がない限り基本動かないし。

ここまで俺の事を気にかけてくれるなんて…。

…いかん、うっかり彼女の良さに気づいて惚れ込んでしまうところだった。

「確かにユキの家族にはなりたいですけど…そういうのはちょっと違います…」

「そっか」

「はいっ!婚約者を所望します!」

「お断りします」

…街が変わろうとも、ここだけは変わらなかった。

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