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階段の司書室  作者: いす
31/84

本山

三十一話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

バサバサと音を立てて、雹の近くの本の山が倒れた。

直しても直しても本の山はすぐに建設され、本人に言っても変わることなく出来てしまう本の山。

あーあー、とその本の山に彼は近づいて埋もれた雹を掘り起こす。

何処かの国の本やら、隣の高校のパンフレットなどを取り除いて、雹の頭を見つける。

「いた」

「た~す~け~て~」

くぐもった声が本の山から聞こえ、その部分の本を取り除くと、ぷはっと雹が勢いよく飛び出す。

「雹はいつになったら本を積み重ねないことを覚えてくれるの」

「気づいたら積み重なってるから仕方ない…おのれ…本」

「本に責任なすりつけない」

体に乗っている本を取りながら、話をする。

「むぅ…君は本の味方をするの…?」

「悪いのは雹だし、むしろ本は被害者でしょ」

「裏切り者~」

と、雹は言ってはいるが心の底からという感じはしない。

犬の甘噛みと似ているじゃれあいみたいな感じだろうか。

「ほーら文句いってないで手伝って」

「はーい…」

目の前の彼が置いていった本をジャンルごとに纏めて、後で片付けやすいようにする。

前々からこういった事は多発していたので彼も雹も慣れっこだ。

手際よく本の山を整理していく。

「よいしょ…っしょっと…」

「えーと、これはこっち、これはここ…と……あ、これ!」

「ん…どうしたの?ってああ、ちょっと」

立ち上がった雹から残った本が崩れ落ちる。

それを急いで彼は拾い、雹を見る。

「君から貰った本!」

両手で本を持って、彼に見せる。

ところどころ傷んだその本のタイトルは『ロミオとジュリエット』。

10年近く前だろうか、確かに彼か彼女にあげた本の一つ。

「この本探してたんだ~♪」

本を強く胸に抱いて、雹は鼻唄を唄う。

「懐かしい…でも、何でこんなところに?」

「えへへぇ…君から貰った本は毎日一冊、お家から持ってくるようにしてるの。その時に無くしちゃってたんだけど…ここにあったんだ~」

「な、無くしてたの…」

「はっ!ご、ごめんなさい…」

「い、いや、いいよ。でもこれからはできれば無くさないでね?」

「うん、大事にするねっ!」

嬉しそうに小さく揺れる雹に、彼は怒る事なんて出来なかった。

むしろ、自分の本をここまで大切にしてくれていることに喜びが溢れてくる。

気分良く彼は本の片付けを始めると、また、傷んだ本が。

「白雪姫…これ、僕があげたやつじゃ…ねぇ、雹」

「…?あっ!その本もここにあったんだ~やったぁ二冊も見つかる…あっ」

「雹…」

雹は目線を反らした。

彼はスッと、彼女の頬をつねった。

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