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階段の司書室  作者: いす
23/84

ストーブ

二十三話目です

誤字・脱字があったら申し訳ありません

いつもなら、扉を開けたら暖かな風と雹の声が出迎えてくれたのだが、今日は違う。

外で味わったのと同じな冷えきった空気と、滅多に聞くことの無い雹の震えた声が出迎えた。

「ど…どうしたの?」

「すすストーブ…壊れた…」

毛布に全身をくるんで、顔だけを見せて雹は言う。

ストーブを見れば『故障中』

と書かれた紙が、セロハンテープで貼られている。

「…図書室の方なら暖房効いてるんじゃ…」

「図書室には時々人来る…」

「雹って一応図書委員だよね?」

「…読む専門」

その証拠、と言わんばかりにテーブルの上に置いてある本を見る。

今日は恋愛ものを読んでいたのだろうか、しおりが挟まっている。

「えっと、じゃあどうする?このままここにいたら風邪とか…」

「大丈夫…ちゃんと暖まれるの考えてある」

「どんなの?」

「…こっちこっち」

ソファへと手招きをして、ポンポンと生地を叩く。

誘われるがままに彼がコートを着たままソファへと座ると、「邪魔」と言って彼のコートを剥ぎ取る。

そして、制服になった彼に自分が装備していた毛布をかけて、全力でピタッとくっついた。

「あ、確かにあったかい」

「でしょ~?えへへぇ…だからぁ、もっとくっついて…」

磁石のように密着すると、彼の肌に雹の体温がじんわりと伝わる。

ふへぇ…とにやける彼女は頭を彼の肩に乗せた。

微笑む雹の耳は真っ赤に染まっていた。


「…ねぇ、どうして急にストーブが壊れたの?」

レモンティーを淹れたカップをテーブルの上に置き、ストーブを見ながら彼は聞いた。

昨日まではあんなに元気に温風を出していたのに、そんな唐突に壊れるものなのかな?

「機械の命は儚い…人間と一緒」

「……………」 

「命の大切さと尊さを知ってね」

「話が変わったような…」

「とにかく、来週までには直ってるから気にしないで…」

「うん…」

彼の疑いの眼差しに、変わらない表情の雹。

その瞳には嘘は一つとして見られなかった。


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