ソファ
二十二話目です
誤字・脱字があったら申し訳ありません
彼が扉を開けると、そこには毛布に包まれがら、すぅすぅと寝息をたてる彼女がいた。
静かに扉を閉めて、コートを掛ける。
そして、そーっと彼女に近づくと、突如として雹の目がきらんと開いて、飛び付いてきた。
「…!」
「君のこと捕まえたぁ」
「雹、起きてたの?」
「うん…君をぎゅーってしたくなっちゃって」
言葉の通りに腕をまわして、
身体を押し付けてくる。
ストーブよりも強い暖かさが彼を包む。
「だったら素直に言ってくれれば良かったのに」
「驚かせたかったの…驚いたかな?」
「うん、とっても驚いたよ」
「やったぁ!うふふっ」
彼の耳の近くで、ルンルンとした声が聞こえた。
雹が彼を抱きしめてから、十分が経った。
「ねぇ…雹、そろそろ…ね?」
「うふふぅ…ふふっ」
「雹…」
彼女が彼の一度没頭すると、しばらくの間そのままなのはもちろん幼馴染みなら知ってはいるが、それでもこのまま抱きしめられ続けるのを、何も言わずに我慢する、とかは出来ない。
彼女の没頭の長さを誰よりも彼は一番知っている。
「君の髪、サラサラだぁ」
「ひょーう離してー」
「クンクン…良い匂いぃ…」
彼女の腕が少し強まる。
「ほらぁ、雹ー、離れないと持ってきたお菓子食べれないよー」
離れた。
驚きの速さである。
「お菓子…!」
「雹の好きなミカン味のグミだよ」
「ほぉぉ…」
早速、鞄から取り出して、雹の口へと放り込む。
食べた彼女の顔が幸せそうにとろけた。
「美味しいかな?」
「うん…!」
「なら良かった!」
食べ終わった雹が彼を見て、まだかまだかとそわそわする。
彼はミカンのグミを手に持って、雹の口めがけ放物線を描くように優しく投げる。
少し位置がずれたが雹は素早くグミのところに狙いを定めて、見事口に。
百発百中。
この技に関しては雹は一度たりとも失敗したことはない。
…だから何か得をしたということも無い。




