あくび
十九話目です
誤字・脱字があったら申し訳ありません
寒さが混じった涼しい風は、
コートを着こんだ俺には眠気を誘うには丁度良い涼しさで、マフラーの巻いてない口から大きな欠伸が出てしまう。
「ふぁぁ…ッ…眠い」
「暖かくなってきましたからね~眠くなるのも仕方ないです」
「…さっさと帰って寝る」
「ワタシも一緒にお家に行って添い寝しましょうか?」
「別にいい…ふぁぁ」
また、大きな欠伸。
本格的に眠くなってきた。
と、彼女が口に手を当てるのが見える。
「…ふぁぁっ……ぁっ…」
「お前もか」
「ユキのがうつっちゃいました……」
「眠気は移るからな…ていうか、何でちょっと嬉しそうなんだ」
恥ずかしさもあったのか、片手を口に当て、えへへと笑った。
「これはユキに責任を取ってもらわないとですね」
「欠伸一つで取らされる責任ってなぁ」
「あ、ワタシがユキの家に行くのではなく、ユキがワタシの家に行くのだったらどうでしょうか?」
「嫌だ」
「今の時間ならお母さんしか居ませんし、お母さんはユキの事知ってますから大丈夫ですよ?」
「…なぁ、ちなみになんだが、お前の母親に俺の事をどう説明したんだ」
彼女の事だ、絶対ろくな説明のしかたをしていない。
「お婿さんです。五年後ぐらいには確実に結婚する予定だと伝えてあります」
「…それについてお前の母親はどう言った?」
「『あなたが選んだ人なら私はそれでいい』と」
「…………」
「後はお父さんだけですよ?」
手を掴んで、優しく言ってきたのですぐに手を離す。
…これまで小さくしてきた欠伸が止まる。
驚いて止まるのはしゃっくりのはずなのだが。
「…お前の家には絶対行かないからな」
「じゃあまずはユキのご両親に挨拶ですねっ!」
「俺の家にも絶対行かせないからな」
「愛の逃避行ですか……ロマンチックですねっ!」
「………………」
彼女のポジティブさは底無しなのかもしれない。




