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0258・惑星への帰還と移動




 Side:イシス



 それなりに時間は掛かったものの、資料の仕分けを終えた俺達は現在<解放調整室>で休憩中だ。

 実際には休憩しつつ、仕分けた資料の中身を話し合っている。

 それぞれが確認しているので情報がバラバラだからな。



 「俺の方には王都から横流し品として手に入れた、ショットガンと船の大きな魔道具についての支払いが書かれていた。ショットガンの方は黄水晶3枚、魔道具の方は赤水晶1枚だった」


 「そこまでして我が領地に対する攻撃を行いたかったのかしら? いえ、あの家令に操られていた結果、そんな事をしていた訳ね」


 「そうだな。全てはグィズマ王国の所為ではあるのだが、問題は何処までグィズマの手の者が入り込んでいるのか分からんという事だ。あそこはやりたい放題にやる国だからな、いちいち疑わねばならん」


 「仕方がありませんが、しかし侮ると痛い目を見るでしょうし……。難しいところだと思われます。実際に入り込まれている領地は他にもあるでしょう。我が国には二つのダンジョン島がありますので」


 「そういえばこの島にはダンジョンがあると聞いたが、何か特産でもあるのか? ダンジョンごとに中で手に入る物は違うだろう?」


 「どこでも食料となる肉は手に入るとして、確かここでは木材が多くを占めていた筈だ。燃料としても紙の原料としても重要だし、炭を作る為にも重要だ。もう一つのダンジョン島は食料が手に入る島となる」


 「そっちの方が狙われそうだが……単に発覚したのが、こっちが先ってだけか?」


 「それはなかろう。もう一つのダンジョン島は王都がある島、つまり我がガルディアン諸島連合王国の中心だ」


 「成る程。そりゃこっちを狙うしかないな。王都陥落なんて早々ない事だし、それが起きたら国が滅ぶ。こっちのダンジョン島の方が取りやすいとなれば、こっちを狙うのは当然だろう」


 「私の方は細かな帳簿のような物でしたけど、他の方はどうだったのですか?」


 「私はハンター協会とのやり取りが主だったな。ここはダンジョン島だけあって、ダンジョンに入っているのはハンターだ。そこからの色々な要望があった」


 「私が仕分けをしていたのは、生活に関しての帳簿だったな。小さな物の交換だとか、他の領地から交易で買った物の値段だとか。我がヨースム家と違って吹っ掛けられている値段だった」


 「こっちは細かな書類だったわね、何かの書き出しだけとか。単に書こうと思ったけど、上手く纏まらなかったのかしら?」


 「こちらはよく分からない罵詈雑言が掛かれていましたよ。紙の無駄使いとしか思えませんが、そうではないんでしょうかね?」


 「私の方は細かな指示書ですね。とはいえこちらに関しては屋敷の中の物しかありませんでしたので、見つかっては困る書類は破棄されていた可能性が高そうです」


 「やっぱりか……。お前達の方はどうだった?」


 「こちらは家令様の行動を怪しんでいる、先代様の言葉が書かれていました」


 「こちらは家令様が呼び込んだ商人と、買った薬の名前と値段が書かれていました」


 「「「「「「「「!?」」」」」」」」


 「そっちが当たりだったのか!? お前達が見た資料は何処だ!?」


 「こちらに置いてある物です」


 「私はこちらです」



 俺達は慌てて二人の洗脳した者達が仕分けた資料を確認。

 すると、そこには家令を怪しんでいる事と、その為に密かに調査をさせている事が書かれていた。

 わざわざ別の資料の間に挟んであるのは隠す為だろう。


 普段の行動には怪しいところが無い為、いくつか隙をワザと見せてみたりとした事も書かれていた。

 それと、先代は薬の名前と値段を書き残していたが、その薬に関しての知識が無く分からなかったようだ。


 日に日に疑惑は深まっていくものの、証拠が無くどうにもならないというのが文面から読み取れる。

 もしかしたら、家令も薄々気づいていたから殺すのを早めさせたのか?

 それとも狂った長男とのいさかいで、家令どころじゃなくなった?



 「その辺りは分からないな。洗脳してしまえば良いと思うのだが……この二人はともかく、あの家令は洗脳しないのか?」


 「この二人は洗脳しないと暗示で自殺しかねないからだ。暗示といっても深く入り込んでいたら、ちょっとしたキッカケで暗示が効果を取り戻す可能性がある。だから徹底的に効果を無くす為、洗脳したわけだ」


 「あまり好き勝手に洗脳すると、あの惑星の神々が出張ってきますのでね。そういう無茶は出来ないのですよ」


 「「「「………」」」」


 「………神様って居るんだね?」


 「ええ、居ますよ。ですので私達も好き勝手はできないわけです」


 「良いのか悪いのか、判断に困る情報だな」


 「心配しなくてもいいさ。誰かに話したところで信じられないし、信用もされない。適当な嘘を吐いていると思われるか、流されて終わりだ。そもそも、この場所の事でさえ信じるヤツは殆ど居ない」


 「まあ、そうでしょうね。話したところで、あり得ないと言われて終わりよ。お父様どころか、お姉様でも信じないでしょう。……っと、とにかく終わったのだから、そろそろ戻りましょうか」


 「そうだな。ここに居ても何も動かないのだから、戻って喧騒を治める必要がある。それにさっさと王都に戻らねばならない。特にあの家令を王都まで護送し、グィズマ王国の事を白日の下に晒さねばならん」


 「ですな。そして、それぞれの領地を治める貴族に危機感を持たさねば、かなりマズい事になりかねません。何処に入り込んでいるかもそうですが、あの家令を通じて我が国の研究内容まで漏れている可能性が高い」


 「確かにそうだ。情報であれば何処からでも取ろうとするだろう。敵国に内情がバレているなど、話にもならん。その事も含めて陛下に奏上致さねば」


 「それじゃ、そろそろ戻るか。それはいいんだが、お前さんら気が抜けてないか? ここは安全だからいいが、向こうはまだ間者が居る可能性があるからな? 暗示を受けているヤツも。そこには可能な限り注意しろ。向こうは戦場だ」


 「確かにそうですわね。私など撃たれてそれほど時が経っておりませんし……。色々な物が目まぐるしく動いている気がしますわ」



 皆が立ち上がったので、俺は茶などの残っている物を飲ませ、それが終わったら【クリーン】で綺麗にして終了。

 外へと戻る準備を整える。

 資料は一旦、俺のアイテムバッグに全て入れる事になった。


 そして魔法陣部屋へと移動し、惑星の元居た地点に転移。

 あっさりと戻ってくると、四人は少々驚いたようだ。

 ちなみに家令は怯えたままだが、こいつはどうでもいい。



 「さて、我々はすぐに港へと戻る。この家令は馬車に詰めていくとして、今は時が惜しい。すぐに戻るぞ! 馬車の準備をせよ!!」


 「馬車の準備だ! ここに留まる意味は無い。すぐに馬車を準備して出発! 港町へと戻る!」



 サッティアとアックレトの言葉で、周りの者は慌ただしく動く。

 何故か家令が地面に倒れてロープで縛られている。

 その事に疑問を抱く者達がいたが、俺達は無視してやるべき事をやっていく。


 俺達の主にするべき事は周囲の警戒だが、あの二人しか用意していなかったのか、その後の襲撃などは無かった。

 少しの時間で用意は完了し、俺達は慌ただしくも出発。

 急いで港町へと戻る。


 走っている俺達は早く進めるものの、馬車が遅いので仕方なく合わせて進む。

 それでも馬車を引いている馬は必死に牽くのだが、休みなくとんぼ返りなので厳しいのだろう。

 速度が出ない。


 流石の俺も如何いかんともしがたいし、今さら中央町に戻って替えの馬を用意する暇も無い。

 困っているとヌンさんが何かの【魔術】を行使、すると馬達は見違えるように動き始めた。

 もしかして治癒系の【魔術】なのか?



 『強引に疲労物質を消去しただけです。なので体の負担も何も解決していません。そもそもいきなり疲労が消えるなど、【星魔術】か【神術】しか無理ですよ。普通の【魔術】では不可能です』



 何かヌンさんが新しい事を言い出したぞ?


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