0165・チャルタンのダンジョン4階と5階
Side:イシス
朝から色々あったものの、貴重な情報と大量の金貨が得られたから良しとしよう。
俺は屋台で適当な昼食を買い、さっさとダンジョンへと行く。
ある程度の時間になったからか、ダンジョンへ入ろうとする者は多い。
とはいえ昨日もそうだが、こんなに大量の人数がダンジョンの何処に居るんだ?
やはり、リンゴとブドウに殺到してるのか?
ダンジョン内でこんなに大量のグレイを見た記憶が無いんだが……。
そう思った俺は前に居るグレイに少し聞いてみた。
「すまん、ちょっといいか? 昨日、俺達は3階まで行ったんだが、こんな大人数の開拓者なんて居なかった。皆どこへ行ってるんだ? やっぱり2階でリンゴとブドウを取り合ってるのか?」
「そりゃ新人か実力の無い奴らの仕事だな。中には10年以上もそれを続けてるヤツが居るが……。それはともかく、多くの奴らの目的は4階以降だ」
「4階以降? 俺達はまだそこまで行けてなかっただけか」
「そうみたいだな。4階にはビッグボアが出てくるし、5階にはビッグブルが出てくる。町の名物であり、どっちもベーコンや干し肉にされるもんだ。オレ達の口にゃ入らねえが、町の収入源なんでな」
「ああ、成る程な。しかし食べないのか? 勿体ない」
「持って帰って食べれるのなんざ、収納鞄を持ってるヤツだけだ。ベーコンや干し肉に使うとこ以外は持って帰って食うんだと。羨ましいが、オレ達にはそんなもんねえし、7階や8階まで行く実力なんぞねえよ」
「7階や8階なら収納鞄が手に入るのか?」
「知らねえ。ただ今まで収納鞄が見つかったのは、全部6階以降だと言われてる。でもなー、6階の洗礼があるから……」
「6階の洗礼?」
「6階は1階と同じような場所なんだが、先に行く為には守護者みたいなヤツを倒さなきゃいけねえらしい。並大抵の実力じゃ、数を集めても全滅するって言われてる。7階に行けるのは一握りの連中だけさ」
「そうなのか。情報をありがとう、これ貰っといてくれ」
「おっ、すまねえな。ありがとよ」
俺は情報をくれたヤツに銀貨1枚を渡し、順番を待ってダンジョンへと入る。
そのままどんどんと進んで行き、3階を越えて4階へと進むと、今度は草原が広がる階層だった。
改めて思うけど、ダンジョンってメチャクチャだな。
階層毎に地形が違うとか意味不明な気がする。
まあ、それがダンジョンだと言ったら終わる話でもあるが。
俺達は適当に歩き回り下への階段を探すと、意外なほどにあっさり見つかった。
地図はこうだ。
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□:草原
A:3階への階段
B:5階への階段
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地図を見ても分かる通り、全て草原で見晴らしが良いものの、代わりに地面から下へと階段が伸びている。
よって下り階段の位置は遠目には分かり辛いものとなっていた。
意外に厄介だと言えるかな。
後、思っている以上にビッグボアという猪が突進してくる階だった。
俺は穴を掘って転倒させた後、薙刀で切り殺して終了。
バステトは爪で切り裂き、ハトホルは蹴り殺していた。
何気にハトホルが容赦ない。
ビッグボアは階段を見つけるまでに6頭ほど手に入れたが、血抜きも碌にされていないので<物品作製装置>行きだ。
一応は冷やして【ストレージ】に入れたので、痛んではいない。
階段を下って5階へと行くと、そこは再びの草原で、今度は遠目に牛が見える。
先に聞いていた通り、そこにはビッグブルの名の通りの大きい雄牛が沢山居た。
先程の階層も多かったが、ここにも開拓者が多い。
3階の蜂蜜はよっぽどの実力者しか手に入れられないらしいし、あの<コーヴァー>が実物を見て大爆笑していたぐらいだ。
実力者でもあり得ないんだろう。
採ってこれるのは俺達ぐらいか。
情報が出回ると面倒このうえない感じになりそうだが、そのうち黙らせる機会も巡ってくるだろう。
相手が危険人物なら絡んでこないもんだ。
誰だって命が惜しいからな。
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□:草原
A:4階への階段
B:6階への階段
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地図を見れば分かるが、大して何も無いのが連続で続いている。
多くの開拓者にとって、この4階と5階が収入源なんだろう。
それでも手に入れた物を上まで運ばなきゃいけないんだから大変だ。
ついでに其処彼処で解体をしているもんだから、どこへ行っても血腥い臭いがしてくる。
4階と5階は鼻に良くない空間だ。
しかも5階は厄介な事に、ハトホルを見つけると突進してきやがる。
興奮しているのが丸分かりだから、そういう事なんだろう。
4階のビッグボアと同じように穴を掘って転倒させ、頭を蹴られて死んでいたが。
それでもハトホルに殺到するかの如く、見つけたら突っ込んで来るんだから、雄の本能ここに極まれりという感じだ。
『あの雄もそうでしたが、今考えれば碌なものではありませんね。イシスの御蔭で変われましたが、よく考えれば受け入れてもいないのに種付けされたんですよ。私』
『それって最低ね。私の居た里にも、そういう強引な雄とか居たけどさ、後で里を叩き出されてたわよ? ハトホルの所はそういうの無かったの?』
『無かったと思います。とにかく数を増やそうとしていたのでしょうか? まあ、今はどうでもいいのですがね。あの者達がどうなろうが知った事ではありません』
だろうなと思うが、猫に比べてこの星の牛は動物寄りなのかね?
全ての魔物が意思と理性を持って考えている訳じゃないんだろう。
知能レベルにそれなりの差がありそうな感じだ。
とりあえずは下に続く階段で下りるが、無駄にビッグブルが突っ込んで来やがる所為で時間が掛かった。
14頭ものビッグブルを手に入れたという時点で分かる筈だ。
その面倒臭さが。
言い換えると、地図が描けるぐらい調べまわっても14頭とも言えるんだがな。
とはいえそれは、多くの開拓者が5階で戦っているからでもある。
俺達だけなら20頭以上を狩る事になっていた筈だ。
雄の本能がいかに面倒臭いかが、よく分かる話だろう。
そんな愚痴も言いつつ俺達は6階へと進む。
ここは既に情報がある通り、1階と同じく迷宮型の地形になる。
またもや3Dダンジョンゲーの場所だが、それでも突破しないと先に進めない。
そのうえ守護者というのが居るらしいし、厄介な事だと思う。
本当にゲームっぽい。
とりあえずは調べ回ってボスの居場所を探さないといけない……んだが、またもやギミックとかありそうだなぁ。




