0166・チャルタンのダンジョン6階
Side:イシス
ダンジョン6階に着いた俺達は、まず初めに地図を描いていく作業から始める。
描いてくれるのはヌンだが、魔物と戦うのは俺達だ。
そして1階のようにネズミとかが出てくる訳じゃない。
ここで登場したのは大きな蜘蛛の魔物と、小さな蛇だ。
厄介な事に両方とも毒を持った魔物だった。
いきなり相当に厄介な魔物に変わっているのと、ここは難易度が高い事が改めて分かる。
狭い通路に大きな魔物と小さな魔物の両方が居るわけだ。
どう考えても大きな魔物に隠れて強襲してくるのは明白で、実際に何度もやられている。
それでも問題ないのは、バステトが蛇の首を刎ね続けるからだ。
とにかく蛇が居ると分かれば確実に首を刎ねに行くし、爪を獣人形態の時の物にしてまで刎ねるんだよ。
容赦が無いが若干扱い難い。
蜘蛛と戦ってる最中でも、蜘蛛を無視して蛇を殺しに行くのでフォローが大変なんだ。
<蛇の首を刎ねるもの>である以上は仕方ないのだろうが、蛇だけに集中されても困る。
蛇を囮に使われたらどうするんだと言いたい。
『ごめんなさい。とはいえ蛇を目の前にすると、勝手に体が動いてるのよねえ……。何故なのかしら?』
『名が名だけに仕方ないのでは? と思いますけどね』
『<蛇の首を刎ねるもの>……でしたっけ? そういう名前も持つ神の名では、どうしようもないのでは?』
「仕方ないか。蛇は全てバステトに任せて、俺達が最大限のフォローをするしかないな。幸いヌンが言うには両方の魔物が微毒であって、そこまで強烈な毒ではないらしいから、死にはしないみたいだ」
『ええ。代わりに腫れあがったりして、まともに動かせなくなるかもしれないぐらいです。ムカデの毒よりも強いくらいでしょうか? そんなものですよ』
『それもそれで結構厄介な気がするけどね。まあ、死なないだけマシだし、ダメならすぐに<生物修復装置>に入ればいいわよ。簡単に毒なんて治せないんだし』
「即座に治せる薬なんて無いだろうしな、そう考えれば仕方ないさ。それより一旦帰りたいんだがいいか? 【ストレージ】の中身が多い」
俺は皆に了承をとり、一度<時空の狭間>に戻る。
流石に魔力が増えたとはいえ【ストレージ】の中に大量の物を入れたままだと大変なんだ。
魔力の最大量も減ったままというか【ストレージ】に取られたままだし。
<物品作製装置>に獲物を入れた俺はさっさと惑星に戻って皆と合流。
そして6階の攻略に乗り出す。
なかなか大変ではあるものの、あっちに行ったりこっちに行ったりしながら色々と行い、ようやく地図が完成した。
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C■□□□□□□□□□□□□■■□■■■
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□:床
■:部屋
A:5階への階段
B:黄色の鍵
C:茶色の鍵
D:白色の鍵
E:三つの鍵で開く扉
F:守護者(倒すと黒の鍵)
G:黒の鍵で開く扉
H:7階への階段
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俺達は守護者と戦ったものの、これがまあ酷かった。
ちなみに守護者は巨大な蛇だったのだが、守護者が出てきた途端にバステトが暴走。
獣人状態になり限界まで伸ばした長い爪を振るい、光の斬撃を出したかと思えば、一撃で蛇の首を切り落としたんだ。
しかもその後は猫状態になって倒れ、意識不明。
幸いヌンの見立てでは気絶しただけらしく、今は俺が抱いている。
『いったい何があったのでしょうか? いきなり獣人状態になったと思ったら、凄い攻撃をし始めましたけど』
『暴走という言葉がしっくり来るかと思いますよ。おそらく元々は使えた攻撃なのでしょうが、使い方を知らなかったのかもしれませんね。それを暴走状態で使ってしまったと』
「ヌンがさっき、魔力が尽きかけてるって言ってたしな。魔力由来のものなんだろうが、とんでもない威力だったぞ。直径1メートルを超える首が一刀両断にされたからなぁ。普通に倒そうと思ったら地味に時間の掛かるヤツだったのは間違い無い」
『それでも時間が掛かるだけで勝てるんですね?』
「そりゃ勝てるさ。【ヒートバレット】と薙刀を駆使すれば確実に勝てていた。実際に攻撃していたんだから分かるだろ?」
『暴走したバステトが攻撃するまでには時間がありましたし、その間に私達も攻撃していましたからね。相手にこちらの攻撃が効いていたのは分かっています』
「俺は何度も切ってダメージを与えようかと思ってたんだよなー。ついでに近付く事で囮の役目も出来るし。そしたらアレで驚いたわ、しかも光が伸びてるし当たるところだったし」
『イシスは慌てて地面に伏せましたからね。アレに当たっていたら切断されていたでしょう』
「だから必死に逃げたんだよ。それにしても一瞬とは言わないが、あっさりと守護者戦が終わりすぎたな。ま、全員が無事なんだから、これ以上ない結果だけど」
『とにかく一旦は<時空の狭間>に戻りましょう。後は目の前の階段を下りたら7階ですからね』
バステトの事もあるので<時空の狭間>に戻り、俺は<生物修復装置>にバステトを入れて治療を行う。
<物品作製装置>に6階の獲物を突っ込んだら、パネルを操作して起動。
ウィンドウを操作して色々調べる。
ハトホルは適当に寝そべっており、俺はウィンドウを操作して作れる物を確認していると、幾つか面白い物を発見。
それをどうするか悩みつつ、結局は作ってみる事にした。
まず手始めに作ったのは蜂毒のスティレット。
突き刺すと同時に<城魔蜂>の毒を注入し、相手を麻痺させてしまうという物だ。
ついでに<城魔蜂>の素材で出来ている。
どうやら<城魔蜂>の戦士蜂は対象を麻痺させた後に、あの強靭な顎で貪り食うらしい。
<コーヴァー>が言っていたんだが<城魔蜂>には四種おり、それが働き蜂、戦士蜂、雄蜂、女王蜂なんだそうだ。
巣の中に居た蜂が小さいのは気になっていたんだが、どうやらアレが働き蜂らしい。
外で戦うのは戦士蜂。
そして雄がいて女王が居る。
当たり前だが、雄は種付け出来なくなると捨てられる運命にある。
悲しいね。
それはともかく、この蜂毒のスティレットを新しい装備として持っておこうと思う。
俺が使わなくてもバステトが使うだろうし。
次に見つけたのが練魔鉄と練魔鋼だ。
これは試しに棒を作って確認せねばと確認したのだが、魔鉄や魔鋼に比べて魔力の通りはそこまで良くなっていない。
もちろん良いのだが、思った以上ではなかった。
しかしヌンいわく、その代わりに魔力を流した際の強化量は魔鉄や魔鋼よりも強化されるとの事。
凄いが、何故か<城魔蜂>のローヤルゼリーを必要とする不思議。
何で金属にローヤルゼリーが要るんだよ、意味が分からん。
考えたところでしょうがないから考えないが、ほんと<物品作製装置>があって良かった。
何をどう使うか理解不能なんて止めてほしいもんだ。
俺は練魔鋼で薙刀と短刀とナイフを作り、それぞれの装備に変える。
残念ながら皮はオーガの皮の方が優秀だったので、皮装備の変更はしなかった。
そこまでする必要が無い感じだし。
最近は<魔力操作補佐杖>も使ってないが、それでも良い感じに魔力を操作する技術は向上していると思う。
それでも必要になったら作って使うしかないだろう。
ゼンス王国が次にどんなアンデッドを作ってくるか分からないしな。
心構えだけはしておくべきだ。




