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0150・色々な情報




 Side:ウェロヌ



 王都まで来たのは久しぶりだけど、相変わらず多くの者が暮らしてるわねえ。

 混み合ってひしめきあって、いったい何が楽しいのかしら?

 こういうのんびり出来ないところって王都の悪い部分だと思うわ。

 仕方ないんでしょうけど。


 久しぶりに来たという意味では、甥のマルロンも同じようね。

 この子は我が家の騎士団所属だから王都に来る用事も無いし、今回はカルロンがオオスの村に行ったから来れたんだもの。

 少しぐらいは羽目を外させてもいいんだけど、それは用事が終わってからね。



 「伯母、お姉さん。これから何処へ行くんだ? 王宮に真っ直ぐか?」


 「とりあえず他の騎士達に魔車を任せて、私達は王都の開拓者ギルドに行くわ。そこのギルド長に御会いしないといけないから」


 「御会いするって……たかが開拓者ギルドのギルド長だろうに。確かに国のギルドを纏めてるトップだけどさ、お姉さんだってウィーグン家の者だろ。ギルド長如きにへりくだる必要あんのかよ」


 「マルロンは知らなかったのね。王都の開拓者ギルドのギルド長は第三王子殿下。つまりラシュパラー殿下よ」


 「は?」


 「は? じゃなくて唯の事実。でも、あまり言い触らさないようにね。ちなみにギルドの乗っ取りとか言っちゃ駄目よ。何処の国だって、王都のギルド長は王族がやってるわ。そうじゃないと他の国の手の者が入り込む可能性があるからね」


 「ああ、それでか……。ウチと同じじゃないかと思ったけど、他の国の者が入り込むのはマズいわ。特に王都だと、情報も含めて被害がシャレにならねえ」


 「そうなの。だから何処の国も王族が中央のギルド長をやってるのよ。それ自体は何処の国も暗黙の了解でやってるわ。それに地元の開拓者はその方が安心するしね」


 「変な癒着とかも無いだろうし、確かに王族の方だと安心だな、っと。お姉さん、手」


 「ありがと」



 私はマルロンの手をつかんで下りる補助をしてもらう。

 こういうところをキッチリとやるマルロンはモテる筈なんだけど、ウチの領地は田舎だからねえ。

 貴族が前面に出るからモテたりはしないのよ。


 貴族家の者っていうだけで女の子が牽制し合っちゃうから上手くいかないし、王都向きではあるのよ、マルロンって。

 こういう気遣いが他の貴族家の女性には喜ばれるんだけど、王都に来る機会も殆ど無いから出会いは無いし……困ったものね。


 とりあえず魔車を先に行かせて、私達は開拓者ギルドに入りましょうか。

 私の方が上の立場だけど、開拓者ギルドだから気にしなくてよし。


 入り口のドアを開けると、そこは領都よりも広くしっかりした場所だったわ。

 開拓者ギルドだからオシャレではないけど、領都のギルドより明るい印象を受けるわね。



 「伯母、お姉さん。キョロキョロしてないで、早く中に入ってくれないか?」



 相変わらず私の事を伯母さんと呼んでしまう甥っ子に呆れつつ、中を見回していると知っている顔を発見した。

 っていうか、ついでに知っている木製の傀儡くぐつも発見。

 まさかこんな所に居たなんてね。



 「えっ? ………そいつらがウチの領地から出てった奴らか」



 そういえばマルロンは言葉でしか知らなかったのよね。

 あんまりイシス達と対立するような言葉を使ってほしくないんだけど、口から出たものは仕方ないわ。

 それよりさっさと話を進めましょう。



 「流石は<ウィーグンの魔女>と呼ばれる女だ。これで女好きでなければ各貴族家で取り合いになったであろうにな。姉上が行っておる事もあって、誰も手が出せん」


 「出されても靡く気などございませんけどね? 後、第一王女殿下とは大変〝仲良く〟させていただいております」



 殿下が嫌味を言われたので、こっちも返してあげたわ。

 あんまり舐めないでほしいわね?

 私は第一王女殿下から色々と聞いているのよ、もちろんねやでだけど。


 正妃様の御息女である第一王女殿下に惚れていた事も、必死に婚姻の話を無かった事にしようとしていた事もね。

 第一王女殿下、つまりメフィアは仕方のない事だったと言っていたわ。


 更に言えば、モルドンの1位貴族家の当主に暴力と強姦を受けたけれど、当の本人はそこまで傷付いていないのよ。

 もちろん当初は色々とあったけれど、我が家に来て五日もしない内に立ち直ってるしね。


 あれはモルドンを攻撃する為に必要な事だったし、そもそも向こうの当主に一服盛ったのはメフィアだもの。

 予想以上の効果だったらしいけど、それでもアレは政治的な駆け引きの為の攻撃なのよ。


 その御蔭で我が国が金属を買う際の交渉がしやすくなったんだから、お手柄なの。

 当然のように陛下も正妃様も知っている。

 側室の子の第三王子殿下は知らされていないけど、頭の中の素晴らしい第一王女殿下を思い続けていれば良いんじゃないかしら。


 私からすればバカの一言で終わるけれど、許されない恋だから燃え上がるのかしらねえ?

 ついでにメフィアは元々両方いけるから、後で女性好きになった訳でも何でもない。

 それに甥のカルロンとの婚姻も前から決まってるし。


 おっと、話が纏まったから、そろそろ外へと出ないとね。

 それにしても王都にまで<死霊術士>が出たのかは知らないけど、随分とゼンス王国が蠢動しゅんどうしているみたいじゃない。

 やってくれるわ、本当。


 外に出た私達は<死霊術士>を連れているラシュパラー殿下を中心にして移動を開始。

 ゼンス王国の連中なら、ディネーが言っていた通りに命を狙ってくる可能性があるわね。


 あの子、随分とウチの子達に可愛がられてたから、もうゼンス王国には戻れないでしょう。

 私も随分と可愛がってあげたけど、あの子まだ誰の手もついてなかったのだけは驚いたわ。

 器量は良くても平民だからかしら?


 そんな下らない事を考えていたら、周りから一斉に刺客がやってきた。

 周りで警戒してくれている開拓者も居るっていうのに、強引な事。



 「アンデッドが居るぞ! それはこっちに任せろ!」



 イシスが声を上げたけど、やっぱりアンデッドを使ってくる気だったのね。

 たしか<バカの一つ覚え>って言うんだったと思うけど、本当にその言葉が似合う連中よ。



 「アンデッドはイシス達に任せろ。オレ達が相手をしても無駄だ! それより他の連中は出来るだけ捕らえろ! 王都に潜んでる連中を吐かせるぞ!!」


 「分かってるっての! これ以上ゼンスの連中に勝手な事をさせて堪るかよ!!」



 この子達は気合いが入ってるから大丈夫そうね。

 それよりも向こうの女の子は大丈夫かしら?

 マズそうなら私が直々に助けてあげても……って、遅かったか。



 「くっ! しまった!!」


 「もらった、死ねえ!!」


 ガキン!! ズバッ!!


 「無事か? オレが防いでいるから今の内に体勢を立て直せ!」


 「あ、ああ。すまない!!」



 うーん……判定的に微妙かな?

 あれって多分<乙女騎士>のリーダーだと思うんだけど、当たってたら8位貴族のヨットマイファ家の長女の筈。

 出来れば私の方に手繰り寄せたかったけど、駄目ならマルロンでもいいか。


 でも、見ている限りにおいては微妙なのよねえ。

 上手く助けたのは良かったけど、ああいう男性には慣れてる感じがするのよ。

 反応もそんな感じだったし。


 チャンスは上手く掴んだけど、駄目っぽいかな?

 もちろんマルロンにはそんな自覚は無いでしょうけど。


 あの子そういうのは物凄い鈍感だから、理解しないし出来ないのよ。

 女性陣がお互いに牽制し過ぎた結果、恋愛事には全く興味を示さないし。


 この先で上手くいってくれたらいいけど、難しそうかしら?

 だったら私が手を出すんだけど……甥の婚姻相手が決まりそうな時に手を出す訳にはいかないのよねー。


 流石にそれは伯母として出来かねるわ。

 幾ら私でも。


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