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0140・北の森へ




 Side:イシス



 「オレは<力の鉄槌>のリーダーで、カンシュムっつーんだ。よろしくな」


 「オレは<猛襲団>の団長をしてる、トゥモンだ」


 「私は<乙女騎士>を率いている、ミューデラ・ヨットマイファ。実家は8位貴族のヨットマイファ家となる」


 「俺はイシス。で、こっちがヌンに、こっちがバステト。で、こちらがハトホルだ」


 『私がヌンです。そちらが何もしてこなければ、こちらも何もしません。そこだけはお忘れなきよう』


 「「「「!!!」」」」


 『驚いているところ悪いんだけど、私がバステトね。ヌンと同じだけど、いちいち面倒な事とか止めてよね』


 『私はハトホルです。どうぞよろしく』


 「という事で、俺と仲間達は当たり前だが戦える。気にして貰わなくとも問題は無い。それよりも、ここまで集めるほど<ブラッディウルフ>というのは厄介なのか?」


 「いや、そこまで厄介という程でもないが、肝心なのは森の中から居なくなったかどうかだ。それを調べる為には三チームくらい必要なんだよ。人数を掛けなければ安全かどうかは分からんからな」


 「北の森は遠くねえし、今日中に行って帰ってくりゃいいだろ。最悪でも時間が間に合わないくらいだ。明日もう一度行きゃ確実に終わるさ。それよりも群れが逃げ出した時が問題だぞ」


 「散らばられると狼の逃げ足には勝てないからな、そうなると北の森を<ブラッディウルフ>がうろつく事になっちまう。確実に全て倒さなきゃなんねえぞ」


 「そうなると匂いを使いたくなるな。<誘引香>を使って集めて倒してしまうのが一番なのだが……」


 「んな事をすりゃ、森の中の多くの魔物もこっちに向かってくるぞ。絶対に碌でもない結果になるから止めろ。メチャクチャになるじゃねえか」


 「だからやったりはせん。地道に囲いながら潰していくしかないな。それより時間が惜しい、さっさと依頼を請けて出発しよう。用意しておいて」


 「はい!」


 「こっちもだ、準備しておけ」


 「おう!」


 「オレ達の方も出られるように集めておけ」


 「分かった!」



 各チームの連中が外へ出て準備をしに行ったようだ。

 俺達には特に用意する物も無いので、ゆっくりとしているだけで済むんだが、他のところは大変だなと思う。


 出て行った連中を見送ると受付嬢の所へ移動し、依頼の木札を受けとっていく。

 俺達は最後らしいので大人しく待ち、それを受け取ったチームからギルドを出て行った。


 ハルマーの町の時と違い、終了条件は明日の夕方まで。

 そして出来るだけ<ブラッディウルフ>を狩るとなっている。

 あそこもこうやって依頼してきたら問題なかったっていうのに、何故あんな事をしたのやら。


 俺も依頼の木札を受け取ると、すぐにギルドの建物を出て王都の北門へ。

 そこで門番に登録証を見せつつ北の森の事を聞き、十分に情報を得られたら外へと出発。北へと歩いていく。


 そのまま全員で歩き続けて行くと、後ろから魔車がやってきたので道の端へ。

 王都からは色々な魔車が引っ切り無しに行き交っているが、その殆どは商人のものとなる。

 まあ、当たり前だけど。


 周りに護衛を置いているので分かりやすいが、代わりに徒歩の連中に合わせなきゃいけないので遅い。

 魔車だけなら速いんだろうが、護衛を置いて行く訳にもいかないというところだろう。


 乗れる家畜にでも乗っているなら良いのだが、あのウェロヌが使っていた<サルグォ>とかいうのはよく見るので、おそらくアレが一番使われている家畜なんだろう。


 六本足のロバというのも珍しいが、他にも稀に大きな鹿を見る事もある。

 そいつは魔車を牽いてはいないが、グレイを乗せている事が多いので移動用の馬みたいなものだろう。

 ただしメチャクチャ飛び跳ねてるが。


 アレでよく乗り物酔いにならないもんだと思うくらいには、面白いほどにピョンピョン飛び跳ねるように走ってるからなぁ……。

 よくあんなのに乗るよ。


 俺達は自分の足で歩くが、これが一番安全で確実だ。

 無理に何かに乗って早く移動する事もないし、最悪は【身体強化】を使いながら移動すればいい。

 そうすれば速さも十分に得られる。


 ようやく言われていた北の森とやらに着いたが、既に魔車が5台ほど停まっていた。

 どうやら三チームは途中で俺達を追い越していたらしい。


 魔車の周りには護衛に残ったのか何人かが居るが、俺達はそいつらを無視して北の森へと入って行く。

 ちなみに北の森という名前だが、更に北へと続く道はあり、その途中の西側に大きな森がある。


 俺達はそこに入って行こうとしている訳だが、何人か残っている魔車の護衛に止められる。

 こいつらの見た目は犬の獣人っぽいんで、おそらく<力の鉄槌>の奴等だろう。



 「今ここは立ち入り禁止だ。<ブラッディウルフ>が群れているんでな、死にたくなけりゃさっさと離れろ」


 「俺達はその<ブラッディウルフ>を狩る仕事を請けているので問題ない」



 そう言って森の中に入ろうとすると、更に前を塞いできた。

 こいつらはいったい何がしたいんだ?



 「おいおい。お前が依頼を請けたとかどうでもいいんだよ。オレが入るなって言ってんだから、入るんじゃねえ。分かったか、理解したらさっさと失せろ」


 「そうだぜ。<力の鉄槌>を敵に回したかねえだろ? 分かったらさっさと行け。下っ端が美味しいところを持って行こうなんざ、甘えんだよ」


 「言いたい事はそれだけか? じゃあな」



 俺はそう言って森の方へと歩き出す。

 その言葉を聞いて「クスクス」と笑っている声がするが、女の声なので<乙女騎士>とかいうチームだろう。


 俺に絡んできた連中は、森に行く俺達の前に回ると更に絡んできた。

 もしかして女の<アンズル>の前で格好がつけたいだけか?

 何だかそんな気がするぞ?



 「てめぇ……! オレ達がいつまでも優しくしてやると思うなよ? いいからさっさと失せろや。これが最後だ」


 「そうだ! これ以上勝手な事をするなら覚悟しておけよ!!」


 「勝手も何も俺は依頼を請けてきている、お前達こそ止める権利など無い。むしろギルドのルールを勝手に捻じ曲げようとしているのはお前らだろう。勝手な事はしない方がいいぞ?」


 「こいつ、ふざけやがって! ならここで死、げぶぇ!?」


 「は? ……おまぐぶぇっ!?」



 【身体強化】をして弾くように顎を殴ると、一撃で昏倒したようだ。

 あまりにもザコ過ぎて呆れてくるな。



 「こんなに弱いのに調子に乗って俺に喧嘩を売ってきたのか? 頭が悪すぎるだろ、こいつら。呆れて物も言いたくなくなるな」



 それだけを言い残し、俺はさっさと森の中に入る。

 奴等があの後どうなるかは知らないし興味も無い。

 バステトやハトホルでさえ呆れてバカにしている有様だった。


 むしろ何故【ヒートバレット】で足を潰しておかなかったのかと言うぐらいだ。

 俺としてはチームリーダーの三人を敵に回すと面倒だからああしただけで、それ以外に意味は無い。


 殴り合い程度なら普通に流されるだけだし、喧嘩で負ける事ほど情けない事は無い。

 それに、少なくとも下っ端がやられたからって介入してくるような連中じゃないのは分かっている。

 仮に介入してくるとしたら<乙女騎士>のリーダーだけだろう。


 だが女<アンズル>とは揉めてもいないので、他の二人の男なら笑って流すくらいだ。

 そもそも一撃で負けるという恥を晒してるんだし、あのバカどもは黙っているだろう。

 黙っていないなら、マヌケな事になるだけだな。


 そもそも他のチームの奴等も見ていたんだ、その恥ずかしい姿はバレている。

 後で証言を貰えば終わりだろうし、流石にかばったりはすまい。

 特に女<アンズル>はかばわないだろう。笑っていたくらいだしな。


 それにしても面倒なこった。

 下っ端ぐらい、しっかりと言う事をきかせておけよな。

 勝手にチームの看板を使って喧嘩を売るって、明らかにザコのやられムーブじゃないか。


 そのうえチームに迷惑掛けるやつだし。

 あれはチームに入れちゃいけない奴等だぞ。


リアクションありがとうございます

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