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0135・王都を目指して西へ




 Side:イシス



 食事を終えた俺達は魔法陣部屋へと行き、惑星へと降りた。

 その後は西へと出発しようと思ったのだが、ハトホルが食べる用の草を確保できる場素が近くにあったので、先にそれを行う事にする。


 俺達は【魔術】で土を柔らかくし、草を引っこ抜いてはアイテムバッグに回収していく。

 バステトとヌンは【ストレージ】に回収し、ハトホルは【魔術】を使って慣れていく。


 粗方の草を回収したら西へと進んで行き、草が生えている場所を見つけたら回収。

 夜中にそれを繰り返しながら、遅い歩みではあるが進む。

 俺達の食事も大事だが、ハトホルの食事も大事だからな。


 しかし惑星の草を回収するよりも<作物収穫室>で栽培した方が早い気がする。

 こうなると必要なのは草を回収する事じゃなくて<ゴーレムコア>だな。

 たまたま一つ目の惑星で発見したけど、次に手に入るのがいつか分からないのが痛い。


 そもそもの<ゴーレムコア>が分からないし、あの時は大量にあった木箱なんかを投入したら出てきてる。

 つまり、俺は具体的にコレが<ゴーレムコア>だという物を見てないんだよな。

 しかもその後にすぐ作ったし。


 御蔭でチラリとリストを見た記憶があるというだけだ。

 さっさと作った所為で、その辺りの事は適当にしか覚えていない。

 仮に覚えていても手に入るかは別だから、覚えている意味があるのかは分からないが。


 俺達は西へと進みながら草を回収し、夜が明けたら<時空の狭間>に戻って眠る。

 個室はあるものの、バステトもハトホルも俺の寝室で寝る気だった。

 しかし俺はハトホルに二度目の<魔力増強薬>を飲ませて<生物修復装置>に入れた。


 俺もバステトも三度飲んでいるが、三度目は碌に効果が無かった。

 なので二回は飲んでもらう必要がある。

 その事を説明し、納得してもらってから入ってもらったんだが、入るまでは結構ごねた。


 何度も<生物修復装置>に入れられているからだろう、あんまり良いイメージが無いらしい。

 申し訳ないとは思うが、あそこに入って増えた魔力を最適化してもらわないと困る。

 せっかくの<魔力増強薬>の効果が無くなってしまうからな。


 今でも覚えているが、ヌンは最適化して定着させなければいけないと言っていた。

 そうしないと折角の効果が多く失われてしまうと。

 それでは作った意味も飲ませた意味も無くなる。


 流石に勘弁してほしいので、頑張って説得したよ。

 今回で最後だと、次の<魔力増強薬Ⅱ>はあるがハトホルには期間を空けて使うとも言って納得させた。

 大変だったけど、そこまで<生物修復装置>に入るのは嫌かね?


 俺なんかは気にならないんだけど……と思ったが、嫌なヤツも居るかと考えを改める。

 注射が平気なヤツも居れば、先端恐怖症というか駄目なヤツも居るしな。

 誰しもが注射をされても問題無い訳じゃないのと同じだろう。


 とりあえず俺とバステトは寝室のベッドで眠り、ハトホルが起きたと同時にヌンに起こされた。

 ハトホルと合流した俺達は、食事をした後で栄養剤を飲み、それが終わったら魔法陣の部屋へ。


 惑星に降り立ち、朝日が昇る中を西へと歩いていく。

 流石に日が昇っている間は草を集める訳にもいかないので、俺達は黙々と西へと進む事にした。

 下手に草を回収していると、いつまで経っても王都に着かない可能性が高い。


 流石にそれは困る訳だ。

 時間は幾らでもあるといっても、ゼンス王国も様々に動いている筈で、少数では逆転出来ないほどになったら、打ち倒す事も出来なくなる。



 『ゼンス王国の野望を打ち砕くのが指令ですよ? ゼンス王国を打倒する事ではありません。まあ、打倒してもいいとは思いますが……』



 ヌンがそう訂正してきたので、俺も【念波】で答える。

 周りを魔車が通っていく事もある為、声を出していると聞かれる恐れがあり、なので【念波】で話す事にしたんだ。

 誰が聞いてるか分からないし。



 『そういえば野望を打ち砕く、が正しいんだったか。とはいえなぁ……野望って多分だけど【死霊術】を使った他国の征服だろう? それを阻止するには、アンデッドに対する画期的な道具でも作らないと無理だぞ』


 『なんで?』 『どうしてでしょう?』


 『明確にアンデッドを倒せるのは、おそらく【白魔法】だけなんだと思う。ただし【白魔法】は滅多に使えるヤツが居ないらしいし、それじゃ何処の国も戦力には数えられないだろう。数が少なすぎる』


 『ですね。アンデッドに十分対抗できるとなれば、多くの者が同じ事を出来なくてはいけません。そしてそれならば、使うのは数の少ない【白魔法】ではなく、誰でも使える道具でなければいけないでしょう』


 『本当に意味があるのか知らないが、アンデッドに良く効くとかいう<聖水>かね? あんな物が本当にあるかどうかも知らないし、眉唾だと思っているが……』


 『<聖水>が在るかどうかは別にして、そもそもイシスはアンデッドに対抗できる物を既に持ってるじゃありませんか。<清浄のスカラベ>を持っているでしょう?』


 『そういえば持ってるな? とはいえ<清浄銀>どころか<浄銀>の作り方も分からないぞ? あれらは<物品作製装置>に突っ込んでるだけだからな。俺が作ってる訳じゃないんで、作製方法は不明だ』



 幾ら<浄銀>や<清浄銀>が効果があるからって、作り方を知らない物をアピールしたって誰も聞かないだろう。

 唯の妄想だと言われるのがオチだ。


 この惑星では俺が作れればいい訳じゃない、この星の連中が作れなければ意味が無いんだ。

 そのうえ前の星には<浄銀>や<清浄銀>に関する資料なんかは無かった。

 なので俺としてはサッパリだ。



 『確かにそうでしたね。<ムンガ>という者に関する資料はありましたが、物品に関する資料はありませんでした。となると、アンデッドに効果のある物を教える事も無理ですか……』


 『あれか? ゼンス王国の国内にアンデッドに対する嫌なイメージをバラ撒くっていうのはどうだ? これなら物を作らなくても大丈夫だろう』


 『多分ですが、あまり意味は無いと思います。成果を上げると、仕方ないと目を瞑るものですよ。被害を受けるのは自分達ではありませんし。……それならアンデッドが農業をしている畑にカビなどを撒いた方が効果的でしょう』


 『ああ、確かにそれなら効果がありそうだ。幾らアンデッドに農業が出来るといっても、そこで出来上がるものが駄目なら国民も納得しないだろう。それでも攻めるのには使いそうだけどな』


 『それでも食料がそこまで増えないのであれば、攻める速度なども変わるとは思いますけどね。アンデッドさえあれば、というのも難しいでしょう。何故なら人数が必要ですし、それらが十分に戦えるだけの死体が必要です』


 『それは確かにそうだ。幾ら<ネクロマンサー>が沢山居ようと、そいつらが使う死体が無ければ意味が無い。とはいえ魔物の死体でも良いわけだし、ゼンス王国の奴等はダンジョンで集めそうな気もする』


 『確かに無限にある場所の物を活用しそうですね。やはりアンデッドを素早く倒せる何かを開発するしかないでしょうか? すばしっこいアンデッドが居ると、ハンマーが当たらない可能性も高そうです』


 『それどころか、傷つけられたら病気になるんだ。大きなアンデッドよりも、小さなアンデッドを大量に使われる方がマズい。特にネズミ系は色々な意味で最悪だと思うぞ? 夜に大量に町に放たれたら簡単にパニックになる』


 『ネズミを獲るヤツも居そうだけど、アンデッドだから腐った死体だもんね。そんなの口にしたら、お腹を壊すわよ』


 『そう考えると、我が子を殺した連中は碌でもない奴等ですね。最低だと思います』



 あいつはそもそも貴族家のヤツで、割と他者を見下すヤツだったからなぁ。

 大して役にも立たない癖に喚き散らすタイプだったし。


 そういう意味でも一般的なグレイとは違うと思うぞ?


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