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0121・依頼内容




 Side:イシス



 「なら、まずは聞かせてもらおう。依頼内容はいったいなんだ? 俺達に何をさせたい?」


 「依頼内容は鉱山の中からアンデッドを一体残らず排除する事。これは我が家、つまりウィーグン10位貴族家からの正式な依頼となる。アンデッドが大量に居る事から、ほぼ間違いなくゼンス王国からの攻撃だろうさ」



 ゼンス王国ねえ……、俺達が町に入る時に予想した通りか。

 当たっていたものの、鉱山から〝一体残らず〟排除しろってのは困った内容だ。

 どこまでやったら依頼の完了なのかを聞いておく必要があるな。



 『依頼完了はどの時点を指すのですか? そこを明確に答えていただきたい』


 「!? ……なんだい今のは。いったい何処の誰だ! さっきの声の持ち主は!!」


 『私ですよ。貴方の目の前に居るでしょう、木製の球体関節人形が。そもそもこんなところに人形が居るなんて、おかしいと思わなかったのですか?』


 「お前かい………。それにしても、まさか<ソーニャ>の<傀儡くづつ師>が動かしている物じゃなくて、自分で動く傀儡くぐつがあるなんてね。ちょっと驚きだよ」


 『勘違いしていますね。私はこの木製球体人形に宿っているだけで、貴方の言う傀儡くづつとやらではありませんよ。私には正しく自我がありますので』


 「そうかい。何だかよく分からないけど、あんたもそっちのヤツの仲間って事でいいね?」


 『それなら私もね。私だって普通に生きてるし、イシスの仲間なんだから含めてもらわないと困るわよ』


 「そっちの生き物もかい……。ただ飼育している愛玩動物か何かだと思ってたよ、開拓地とかだと身を守る為に飼ってたりするからね」


 「俺はイシス、球体関節人形はヌン、そしてこっちの猫はバステトだ。で、さっきヌンが言った通り、何をもって依頼の完了かを明確にしてもらおう。でなければ無限に縛り付けられるからな」


 「依頼の完遂は鉱山からアンデッドが一体も居なくなったらだ」


 「それでは話にならんな、詐欺に等しい。誰が、いつ、どうやって、アンデッドが居なくなったと決めるんだ? お前らが言わなければ永遠にこの依頼に従事させられる、これでは奴隷と変わらん。依頼の完了を明確にしろ」



 俺がそう言うと、周りの連中も俺が言いたい事を理解したのか頷く者が現れた。

 婆さんグレイは表情を一切変えていないが内心で舌打ちしているだろう。

 こういう細かい部分は無視したかった筈だからだ。


 しかし俺は当然この部分を明確にしておく。

 こんな不平等な契約があってたまるか。

 これではアンデッドが居なくなっていない〝かも〟で、何だって命じられるし引き留められる。

 ようはタダ働きさせられるのだ。



 「誰が依頼の完了を決めるか分からない仕事なぞ出来る訳が無い。永遠に強制依頼の名でタダ働きさせられる可能性があるんだ。そんなものを受け入れられる訳が無い。もしそういう契約しか出来ないなら、俺は今すぐ開拓者を辞めさせてもらう」


 「そんな事はしない」


 「信用出来るわけが無いだろう、現にそれが出来る状態だという事が問題なんだ。あんたらがするかしないかなんてどうでもいい、大事なのは〝出来る状態にある〟という事だ」



 その時入り口の扉が開き、外から誰かが入ってきた。

 その人物もグレイだが、いったい今度はなんだ?



 「あれ? こんな所に出てきて何してんの?」


 「あんたかい……。ちょっとした事だよ、お前には関係無いさ」


 「ふーん………。何してたの?」


 「契約のおかしいところを詰めていただけだ。アンデッドが居なくなるまでとは、何をもってして決めるのか、とな。この契約ではアンデッドが居なくなっていないと言い張れば、開拓者を奴隷のように扱き使える。その状態は問題だと俺達は言ってるんだ」


 「それって大問題じゃないの、なんでそんな依頼を強制しようとしてるのよ。流石にこんなの通したら、開拓者ギルドの私物化って突っつかれるのは目に見えてるでしょうに。また我が家がバカにされるじゃない」


 「………」


 「ギルド長。流石に今回の強制依頼の中身は、そこの<ソーリャ>の言い分が正しい。オレ達が無限にタダ働きさせられる事が無いと分からない限り、手を貸す事は無理だ」


 「お前達、この領地を裏切る気かい?」


 「オレ達を裏切ろうとしてるのはギルド長じゃないか。今までのように請けるところだったけど、そこのヤツが言う通り、このままじゃタダ働きを繰り返す羽目になりかねねえ。そりゃ無理ってもんだ。オレ達にだって生活がある」


 「ねえ、母さん。なんで今回に限ってそんなに強引なのよ。今までそんな事はした事がないでしょうに、理由があるなら今の内に言っておい方がいいわ。裏切りは信用を全て失うわよ? 開拓者が居なくなったらどうするの?」


 「………はぁ。鉱山の中のアンデッドは少なく見積もっても200を超えるそうだ。入り口から入って、最初の大部屋の所に50以上が居たらしい。少なくとも大部屋は4つある。この時点で200以上を見積もらなきゃいけないんだよ」


 「「「「「「「「「「にひゃくぅ!?」」」」」」」」」」



 この驚き方を聞くに、アンデッド200というのは脅威の数字なんだろうな。

 俺達にとっては大した事の無い、どうでもいい数字でしかないみたいだが。

 しかし……本当にそれだけか?



 「アンデッド200というのはどうでもいい、大した数でもないからな。それより隠しているのは本当にそれだけか?」


 「はぁ!? 何を言ってるんだい、アンデッドが200も居るんだよ!?」


 「だからどうしたんだ。もしかして、その程度の数でおかしな契約にしようとしていたのか? それっぽっちの数にビビって俺達を利用しようとしたとは………本っ当に、下らないな」


 「そこまで言うなら、お前達だけで行け! そしてアンデッドを全て掃除してみせろ!!」


 「構わんぞ、しかし代わりにお前がついてこい。依頼を完遂したという証明が必要だからな。俺は何度も言っているだろう? 問題視しているのは、誰が、いつ、どうやれば、依頼が完了したと認めるかだ。問題はそこしかない」


 「「「「「「「「「「………」」」」」」」」」」



 アンデッド200体がそんなに大変なのか?

 【念話】でヌンに聞いたら、俺達なら余裕だと言っているんだがなぁ。

 俺はヌンを信じているし、ムンガじゃなくアンデッドなら脅威でもないだろう。


 この星のアンデッドは見た事が無いから完全には分からないが、だからと言ってそこまで厄介だとは思えない。

 強力で素早い魔物ならまだしも、アンデッドじゃな。



 「流石にギルド長がここを離れる訳にはいかないし、私が一緒に行くわ。私だってウィーグン家の者だし、私が依頼の完了を見届けても問題ない筈よ。でしょう?」


 「…………頼む」


 「はい、任されました。悪いけど依頼に縛り付けたりしないからね? アンデッドが掃討されたと思ったら、きちんと依頼の終了を宣言するわ。それは良いんだけど、領軍の魔法使い達はどうしよう? 貴方達だけで行くのよね?」


 「出来ればその方が良い。俺達は鉱山での戦いの経験もあるが、一時的な撤退も含めて身軽な方が何かと都合が良いんでな。ぞろぞろと数を連れていると身動きがとりにくい」


 「まあ、言いたい事は分かるわね。私も新しい魔法理論を試したいし、それには領軍が居ない方が都合が良いから少数で行きましょうか。兄さんには適当に言っておけば済むでしょ」


 「私から言っておくよ。代わりに駄目なら逃げ出してきな、そいつらを放っておいてね」


 「これで決まったのなら依頼として発行してもらおう。俺達も暇じゃないんでな、面倒な事は早めに終わらせたい。そういえば鉱山の近くに寝泊りする場所はあるのか? 俺達は無くても問題ないが……」


 「鉱山街があるから問題ないわよ。それに魔車で飛ばせば昼ぐらいに着くでしょうしね」



 魔車ねえ……。


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