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0105・森の魔物




 Side:イシス



 森に来た俺達は魔力を放射して調べつつ、中へと踏み込んでいく。

 魔力がある以上は俺達に探知できない筈は無く、そして探知できるという事は不意打ちなどは受けないという事でもある。


 もちろん何事にも万全などは無く、かなり上から攻撃されると俺も気付かないと思う。

 なので恐いのは木の上からの強襲、もしくは鳥の強襲だ。


 上に注意を払っていると地中から攻撃されるかもしれないが、流石に地中から攻撃されるという情報は無かったので、おそらくは大丈夫だろう。


 あまり警戒し過ぎるのも疲れるだけなので、適度に警戒しつつ臨機応変に対応する事で何とかする。

 まあ、行き当たりばったりとも言うが……。



 「それにしても魔力を感じられないな? 森の浅い所にはそこまで魔物が居ないのか、それとも連日開拓者が狩るから減っているのか。狩り尽くしたって事は無いと思うが……」


 『魔物も愚かではありませんから、自分が狩られる危険のある所に近寄ったりはしませんよ。この辺りは開拓者が多いので避けているのでしょう』


 『まあ、そうね。自分達を殺す可能性がある以上は、そんな危険な場所には近付かないわ。不意打ちならしてくる可能性はあるでしょうけど、こっちに見つかったらどう行動するかは分からないわね』


 『場合によっては即座に逃走するかもしれませんし、どうなるかは個体によるでしょう。最悪は追い駆ける必要が出てきますね』


 「森での追いかけっこは出来ればやりたくないな。何処かへ誘導されるとか、そういう事もあり得るかもしれないし、森の奥に引き込まれると遭難する恐れも出てくる」


 『<時空の狭間>に帰れば済みますので命は安全ですが、村で何を言われるか分かりませんね。出来るだけ迷う事無く帰りたいものですし、村の者に怪しまれたくはないところです』


 「それは、っと……なんか居るな。それが何かは分からないが」



 俺は前方に魔力反応を感じたので、警戒しつつ歩いていく。

 すると、そこに居たのは大きな緑色の蜘蛛だった。

 大きいと言っても普通の犬ぐらいの大きさだが、蜘蛛の大きさと考えればデカい。


 とはいえ相手の姿が見えてからの【ヒートバレット】であっさり勝利した。

 正直に言って一つ目の惑星の蜘蛛より圧倒的に弱い。

 おそらく小さいからもあるのだろうが、相手にすらならないな。



 「前の所の森に居た蜘蛛の方が、圧倒的に大きいし強かったけどな? ここのグリーンスパイダーっていうのは予想以上に弱い。まさか一発で死ぬとは思わなかったぞ」


 『そういう強さの蜘蛛というだけで、全ての蜘蛛が弱い訳では無いでしょうがね。それに………いや、この蜘蛛は毒を持っていませんね』



 ヌンが蜘蛛の死骸を持って色々と調べていたんだが、どうやらグリーンスパイダーは毒無しの蜘蛛だったようだ。

 その一言を聞くまで毒蜘蛛の存在を忘れてたんだから、自分に呆れてくるな。


 バステトは周囲に目を向けているが、特に魔力の反応も無いからか緊張感は薄い。

 俺も同じなので文句は言えないんだけども。



 「この森、本当に魔物が住んでるのか? 思っている以上に反応が少ないんだが……。他の開拓者はどうやって魔物を探し出してるんだろうな?」


 『私達みたいに探れるとも思えないし、何かしらの方法があるんでしょうね。それが何なのかは知らないけど』


 『もしかしたら魔道具かもしれません。イシスが使っていた<瘴気発見器>も魔道具の一つですが、<魔力発見器>のような物があれば、魔物の居場所は簡単に分かります。ただし開拓者の場所も分かりますが』


 「それは魔力に反応してるんだから仕方ないだろう。とはいえ、開拓者ギルドや宿や酒場に雑貨屋。そういった場所の天井に照明器具っぽいのは付いていた。となると魔道具があっても不思議じゃない」


 『あの明るい天井かー。あれがあるなら夜も明るく……って、私達は【ライト】が使えるから必要ないわね。自分で使えた方が持ち運ばなくていいだけ便利だし』


 「なんだよなー。っと、二体発見」



 魔力反応の下に行くと、そこには茶色の狼が居た。

 こちらも犬より一回り大きいぐらいなので相手にならず、こちらに向かって威嚇している間にヘッドショットで始末した。


 正直に言って拍子抜けするぐらいに魔物が弱い。

 この周辺の魔物が弱いのか、それともこの星の魔物はこんなものなのか。

 とはいえ、流石にこれが平均という事は無い筈。



 「ここまで弱いと警戒度がどうしても下がってしまうな。あまりにも簡単に勝てすぎるし、前の場所とは違いすぎるぞ。他の魔物も含めて、平均は前の所の方が上か?」


 『そうと言い切れませんが、少なくともこの辺りの魔物に限ってはそうだと思います。それが村の周辺だけなのか、それともこの国なのか……。ですが迂闊うかつな事は言わない方が良いかもしれません』


 「どういう事だ?」


 『魔物が<アンズル>達を避けているのであれば、東の開拓地の方が魔物が強い可能性が高いです。何故それを知らないのか、もしくは開拓地の魔物を言えと言われた場合、返答に窮してしまいますよ?』


 「あー、そりゃ駄目だ。迂闊うかつな事は喋れないな。一応開拓地に行った方がいいか?」


 『開拓地に行けば、開拓地出身じゃない事がバレない? 私そんな気がしてるんだけど……』


 「そこを考えると色々とマズいな。それっぽいヤツの事を言えば何とかなるか? それとも早めに村を離れた方がいいか?」


 『早めに村を離れた方がいいかもしれません。都会に近付けば近付くほど、開拓地の事なんて知らないでしょうしね。そうなれば言い訳は難しくありません』


 「だな。今日一日で沢山稼いで、さっさと村を出て西に行こう。ボロが出かねないのは色々とマズい。魔物の事からバレるなんて厄介な事だよ、本当」


 『開拓地出身って言っておきながら、開拓地を知らないんじゃ話にならないわ。村を出たら、村の辺りの出身って言っておけばバレずに済むんじゃない? 知識は多少ある訳だし』


 『この辺りと言っておくべきでしょうね。あそこの村だと言うと出身者が居ればバレてしまいます。適当に東の方の田舎出身だと言えば良いでしょう。もしくは旅人と名乗るかです』


 「そういえば開拓者って国境を越えられるみたいだし、それの方が良いかもな。国を跨いで旅をしようとしている、とでも言えばいいだろう。突っ込んで来るヤツは適当にあしらえばいいし」


 『誰しも言いたくない事とかはあるでしょうしね。イシスは出身の事を言いたくないというストーリーにすればいいと思います』


 「おっと、今度は緑の蛇か。上に居てもある程度は分かるんだから、その高さじゃ無駄だっての」



 俺は木の上に居るのが見えている蛇に【ヒートバレット】を発射したが、蛇はギリギリのタイミングで下に落ちたようだ。

 なので当たらなかったのだが、凄い速さでバステトが動くと、即座に蛇の首を爪で刎ねた。


 何故か右手の爪が獣人の時の大きさになっているが、一部分だけ大きさを変える事って出来たんだな? 初めて見たぞ。



 「バステト、いきなり動くのは止めてくれ。追撃しようとしてたら【ヒートバレット】がバステトに当たってたぞ」


 『ごめん。蛇を見た瞬間、何故か急に「首を刎ねなきゃ」って思って、気付いたら蛇の首を刎ねてたのよ』


 「なんだそれ?」


 『女神バステトは<ラーの目>とか<王の乳母>とか呼ばれますが、他にも<蛇の首を刎ねる者>という名もあります。おそらく<生物修復装置>の報酬で、そういう側面も付与されたのでは?』


 「そんな別名があったのか……知らなかったが、報酬の内容が分からないのが痛いな。バステトも変身しか分かってないみたいだし」


 『そうね。頭の中に浮かんだのは、姿を変える変身だけよ。でも……今は蛇を見ても何とも思わないわね?』



 猫は蛇を嫌がる筈だが、それも無くなったのか。


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