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君が見た空の色は  作者: さやか
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4.亮平 葛藤②

オレは、背筋を伸ばし、ふーっと息を吐き、そして社長のほうへ改めて視線を向ける。社長は、オレが話し始めるを待ってくれている。

 「社長、僕の本音を話してもよろしいでしょうか。」

オレは意を決して、社長に問う。

 「どうぞ。話してごらん。」

 「はい。僕はEarthとして活動して12年になります。メンバーにも恵まれていますし、今あるお仕事もすごく楽しくやらせてもらっていることに、嘘はありません。「Book Time」のお仕事をいただけた時は、自分の好きなことが仕事になってすごく嬉しかったことを今も覚えています。」

 「うん。」

 「ただ、僕は他のメンバーと比べて、これと言って武器になる何かがない、その焦りは常にありましたし、今もあります。詠斗はモデルの一線で活躍していますし、アキトは飛び抜けたアイドル感があります。巧はとても歌に力を入れていますし、ソロ活動も順調、大翔もバラエティには欠かせない存在になりつつある、とオレは感じています。もちろんメンバーの個々の活躍は素直に応援しています。」

 「うん。」

社長はじっと話しを聞いてくれ、オレの目を見て離さなかった。そして、オレは続ける。

 「ただ、自分の中で葛藤があることは否定できません。他のメンバーにこれだけは負けないというものが取り立ててありませんし、Earthの中にいれば、橘亮平として認識されますが、Earthを一歩出た時に、自分自身が一体何ができる人間なのか、わからなくなるような不安を感じたりはします。」

 「君の言いたいことはよくわかる。続けて。」

 「はい。他のメンバーはEarth以外の世界で居場所を作り、そこで頑張ることで、それをEarthに還元してくれています。だけど、オレは還元できているような感覚がないんです。オレはもうすぐ30歳になります。30歳になってもこんな気持ちのままでいいんだろうか。いやダメだろう、そんな焦りを今感じている、というのが本音です。」

 「よく話してくれたね。その葛藤、うすうす私も感じていてね。」

社長は麦茶を口にし、組んでいた足を組み替える。

 「はい。何かすみません。えらそうに。」

 「いや。君がこのまま何も感じず、このまま平凡とEarthをやっていくことは別に不可能ではない。」

 「はい。」

オレは頷く。

 「ただ、もしこのままでいくとしたら、男として、仕事に対して向上心がないとも言うね。もし、仮に君が今のままで充実している、と言ってしまっていたら、逆に私は君に失望していただろう。」

 「あ、はい。」

オレは失望という言葉を耳にし、一瞬焦ったが、失望されたというわけではないことに安心した。

 「君が今話したことを正直にこうして伝えてくれるかどうか、一種の賭けに出たんだよ。」

 「賭けですか?」

 「そう。今、君に一つ大きな仕事のオファーが入っている。だけど、君が今充実していると言ったらオレはこのオファーを、君に知らせぬまま断ろうと思っていたんだ。今の君に必要ないオファーだろうからね。」

 「はい。一体どんなオファーなんでしょうか。」

 「うん。ドラマの仕事だよ。2時間のスペシャルドラマの主演だよ。」

 「えっ?主演ですか?」

 「そう、主演。君たちのグループには俳優をやっている子が誰もいない。君にはそのポストがあると思ってね。どうだい?やってみるかい?」

 オレには何の迷いもなかった。

 「はい、ぜひやらせてください!!」

オレは立ち上がり、社長に深々と礼をした。




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