始めての笑顔
私は、紅葉の宥め役をホロに任せて風呂に入る。
返り血を髪に浴びていたらしく、紅い液体が流れていった。
そういや、着替えが無いな。
まあ、いいか。
そう思って風呂を出ると、バスタオルと女物のワンピースがあった。
急いで買ってきた訳は無いだろう。
それに、きちんと洗われている。
とりあえずそれを着て、リビングに戻ると、
「ん、ぴったりぃ」
すっかり調子が戻った紅葉しかいなかった。ぴったりとは、恐らく服のことだろう。
「あれ、穂露さんと三咲さんは?」
「りあちゃんが殺ったあとのお掃除ぃ。んで、ついでに服とってくるってぇ」
「ん?じゃあこの服は?」
疑問をぶつける。
「俺らの変装用の服」
私は、ナイフを持つ。
「じ、じょーだんだよぉ。殺さないで?」
なんだ。
「本当は、俺が作った」
「へぇ、手先器用なんですね」
驚きだ。
私は少し前に思っていた疑問を言う。
「そういえば、紅葉さん達の通り名って何ですか?」
「んぅ、俺らぁ?俺は殺意の黒鬼。三咲はねぇ・・・あ、紅い空だ。そしてホロが、殺戮機械。ホロは殺し屋の中で一番強い。でもぉ、もう1人殺戮機械がいるんだぁ!そいつはホロの天敵」
あのホロが、一番強い?
そんなバカな。
「りぃあちゃんはぁ、死の天使なら殺し屋に向いてないねぇ」
「あ?なんでだよ!あ、何故ですか?」
いけない。つい口調が。
紅葉が、少し顔を引きつらせながら答える。
「そんな怒んないでよぉ。死の天使は機嫌悪いと周りの人たち皆殺しにしちゃうからさぁ・・・依頼人殺しちゃダメでしょ?」
なるほど。
「りあちゃん特技は?」
「えと、情報収集とか?あと・・・音の解析かな」
紅葉がニヤリと笑う。
「何ヶ国語話せるぅ?」
「1、2、・・・14ヶ国語ですね」
「マジで!?じゃ、情報収集決定ねー」
勝手に決めていいのかこの人?
パソコンはあるようだし、できるだろう。
よし、やろう。
「莉亜瑠」
ホロの声。
居たとは気付かず、悲鳴をあげそうになる。
「いいいいいつからいたんですか!?」
「特技の下りから。驚かせる気はなかった。・・・すまない」
いえ、そんな、と私はフォローする。
「情報収集か。いいんじゃないか?」
ホロは私に始めて笑顔を見せた。
ドキンと心臓が高鳴る。
「じゃあ、あのパソコン使っていいですか?」
ああ、と頷くホロ。




