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守らないと

「ルピナス」の職員達への事情聴取が続きます!

「……驚きました。まさか沼畑さんがあの時間に『ルピナス』にいて、しかも亡くなっているなんて思いもしませんでしたから……」


 深山さんが俯いて言う。私は、そんな深山さんに質問を投げた。


「深山さんは、以前から沼畑さんの事をご存じだったんですか?」

「ええ。……沼畑さんは、よくここを訪ねて来られました。どう調べたのか、木下瑞穂さんがここに通っている事を突き止めたようです」


 瑞穂さんは、沼畑と会うのを拒否していた。でも、沼畑はしつこく「瑞穂に会わせろ!」と深山さんに迫っていたらしい。


 沼畑は借金がどうのこうのと言っていたようなので、恐らく瑞穂さんに金の無心をしに来たのだろう。瑞穂さんは以前沼畑の言いなりだったので、瑞穂さんに働かせて搾取しようとしていたのかもしれない。


「成程。お話は分かりました。では、瑞穂さんと沼畑が直接会っていたとか電話で言い争っていたとか、そういう事は無かったんですね?」

「はい。少なくとも私の知る範囲では、瑞穂さんは徹底的に沼畑さんを避けているようでした」


 私は、黙って座っている葛西さんにも質問した。


「葛西さんも、瑞穂さんと沼畑が接触しているのを見た事はありませんか?」


 葛西さんは、一瞬ビクッと身体を震わせた後、私と目を合わさず答える。


「はい。……僕も木下さんと話をした事はありますが、誰かと言い争っているとか、そういう場面は見た事がありません」


 ここで御厨さんが質問役を変わった。


「ところで、お二人共、ご遺体を発見した時に何か気付いた事はありませんでしたか? いつも礼拝堂にあるはずの物が無くなっていたり、逆に無いはずのものがあったり……」


 深山さんが、首を横に振って答える。


「いいえ、何も。……敢えて言うなら、あの『DEVIL』という血文字が書かれていたシーツに目がいきましたけど……」


 葛西さんも同じで、何も気付いた事は無いらしい。遺体発見時礼拝堂に大平さんはいなかったし、これ以上現場の様子について聞ける事はないだろう。


「ありがとうございました。……花音さんや堀江先生から何か質問はありますか?」


 聞かれた花音さん――秀一郎さんは、目を伏せがちにして言った。


「瑞穂……母は、普段私の事について何か言っていましたか?」


 深山さんは、穏やかな表情で答えた。


「ええ。沼畑さんがここに押しかけるようになってから、瑞穂さんはいつも言っていました。『花音だけは守らないと』と」

「そうですか……ありがとうございます」


 秀一郎さんは、表情を変えずにそう言った。

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