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カーマインレッドの明けない夜  作者: 宝や。なんしい


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第18話

 それにしても、調理しているなんて知らなかった。

 うちに来たって冷蔵庫にあるものを素材のままかじるばかりで、何も作ってくれたことなんてない。今度、何か作ってもらおう。ただ食いばかりしやがって。


 あおいスペシャルは、コンビーフに玉ねぎのみじん切りが混ぜてあるものだけをサンドしているものと、大量のサラダ菜だけがサンドされてあるものと、薄焼き卵を何重にも重ねてあるだけのものをサンドしたものと、ハムとチーズだけをサンドしたもののシンプルな四種類で、いったいどうすればこんな風になるのかわからないけれど、そのどれもがとびきりおいしかった。


 里香(りか)はとにかく興奮状態だった。


 その里香のテンションの高まりに反比例するように、まいちゃんは益々不機嫌になっていく。あおいの語るまいちゃんの見た目は、実物のイメージと全然違ったけど、きっと、雰囲気はこんな感じの子だろうと思っていたそのままだったから、だから、まいちゃんはあおいには、絶対に合わないと思った。自分でふったくせに、なんで今更、私に敵対心を燃やしているのかよくわからない。


 それにしても、やっぱりなんでも器用にできるんだ、この男。


 里香は夕方から予定があると言うので、そこで別れた。私はその足で天神橋に向かい、あおいが絶賛していた映画を観ることにした。はじめは里香を誘うつもりで今日を予定していたんだけど、この映画はひとりで観るべきだとなんとなく思ったので、里香に予定があったのは、ちょうどよかったのかも知れない。


 映画がはじまる時間まで天神橋の商店街をぶらぶらしていると小さな神社を見つけた。商店街の中の一角で窮屈そうに佇む神社の入り口には、露天神社とあって、お初天神と書かれたのぼりがいくつも立っている。

 聞いたことはあるけど、そんな有名な神社がこんなに小ぢんまりと大都会の片隅にあることをはじめて知って、妙に親しみを覚えた。


 恋愛成就を祈願する神社として有名で、さっき里香に散々けしかけられた後だっただけに笑えた。恋愛成就といっても曾根崎心中は悲恋の物語ではなかったか。

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