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少女たちの宿暮らし  作者: お餅
閑散期編
27/28

26話 傘見へ帰還

 今日はもう帰りの日。


 新幹線は昼間の時間に取ったので、朝から出発する。


 暖はもう行ってしまったので、もう部屋にはいない。


「また来るわ」


 そう呟いて、暖の家を出た。


 大阪には寄らない。


 電車で一時間もしないくらいで、新大阪に着く。


 お昼前だったので、コンビニで手頃な弁当を買った。


 少し高かったので、おにぎりにすればよかったという後悔をしたものの、仕方ないと割り切った。


 一時前には新幹線が来て、中で弁当を食べることにした。


 シンプルな海苔弁である。


 米は硬くて、海苔はパッサパサで、とても美味しいとは言えない。


 しかし、駅弁なんて高すぎる。


 理想は、手作りなんだろう、なんて考えていると、すぐに名古屋駅に着いた。


 愛は、もう先に傘見に戻っている。


 チャットのグループルームで聞いた。


 りんも今日帰るって言ってたけど、遅くなるらしい。


 うちのほうが先に着きそうやね。


 でも、暇を持て余していると、ついフローを触ってしまう。


 何度も何度も動画を見て、どんどん時間が減っていく。


 この時間に何かできたらいいんだろうけど、なかなかその気にはなれない。


 頭の隅では考えていても、指はその動きを止められない。


 あっと言う間に、仙台についてしまった。


 妙な眠気がする。疲れているというわけではないけど、眠気だけがある。


 傘見線に乗り換えて、結衣の宿を目指すのだ。


 夕日が太平洋に反射して、車内を明るく照らした。


 外を眺めていた私は、眩しくて、目をそらす。


 そして、結衣に聞いた話を思い出した。


 傘見島に入ると、まずは海辺傘見駅。小さな駅だけど、周りには街があって、駅からは海が見える。


 海の真横を走っていくと、次は南傘見駅。近くには南傘見水族館もあり、北傘の次に栄えているエリアだ。


 街の中を通り抜けると、傘見城前駅にたどり着く。


 名前は傘見城前だけど、城下町までは多少遠くて、実際には傘見駅から行ったほうが何かと便利だったりするらしい。


 そして、伝統的な町並みを横目に、赤い屋根で白い駅舎の笠見駅に到着する。


 やっと、帰ってきた。


 改札を抜けて、結衣の家へ向かう。


 やっぱりこの道を歩くのが楽しい。


 阪神には無いような道で、どこか奥ゆかしさを感じる道。


 風情のある町並みの中の、一つの小さな旅館。


 ガラガラと戸を開けて、


「ただいま」


 と言うと、上の方からド束とという足跡が聞こえ、結衣が廊下に現れた。


「おかえり」


 私は結衣の笑顔を見た。

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