24話 interesting !!
愛は、チェスを指すため、叶の家にやってきた。
インターホンを鳴らすと、すぐに叶が迎える。小さな平屋の一軒家である。
「ごめん。希もママもいるけど、入って」
希とは、叶の妹だ。愛とも話したことがある。
「お邪魔します」
玄関に入り、靴を脱ぎ、揃えておく。
リビングを通り、叶の部屋に入る。
狭いながらも、勉強机、座卓、ベッド等は置かれており、充足した部屋となっている。
「それじゃあ、久しぶりに」
そう言って、いつもの場所に座る。
「まだ、始められないけどね」
不思議なことを言われて、愛は首を傾げる。
叶はおもむろに一枚のコピー用紙を勉強机の引き出しの中から取り出し、愛に見せた。
「これを、一緒に解いてほしいの」
書かれているのは大きな円と文字。
つまりは、“謎解き”である。
「そちらも久しぶりですね」
愛は、懐かしい気持ちになりながら、その謎と相対する。
◇◆◆◆◇
「また、希が作ってくれたんだ。解かないと、私のゲームは返してくれないんだって」
叶さんは私の対面に座って、事の経緯を話してくれました。
コピー用紙には、一つの大きな円と、それの下側に文字が書かれています。
文字の部分は上から順に、『一→三』、『七→四』、『十→七』、『四→?』と書かれていますね。?に入るものを答えましょうということでしょう。
「難しそうですね」
「私も色々考えてみたんだけど、しっくり来るものが無かったんだよね」
以前、希さんが作った謎はもっと旧来的でわかりやすいものでしたが、今回はそうはいかないみたいですね。
違和感を見つけ出して行くのが、私は得意です。そこから、わからないことがわかることが多いので。
「どうして、大きな円が書かれているのでしょうね」
すぐに目に入ったのは、上に書かれた大きな円。
「そういう物だと思ったんだけど、あんまり当てはまらなくて」
丸い物と言われれば、いろいろなものが浮かびますが、ボール、ダーツボード、時計とかでしょうか。抽象化するなら、環状線とか?
でも、
「時計みたいですよね」
一から十二までの文字が刻まれた、一般的な家具。そのように思います。
「確かにそうかもなんだけど、それなら、何で漢数字なのかなって。普通、アラビア数字で問題を書くんじゃない?」
叶さんに指摘されました。確かに、漢数字は時計とは無関係なように感じます。
「漢数字で書かれていることにも、意味がありそうですよね」
「そうだよね。漢字じゃないと行けない理由があるんだけど」
「これって、十までしか無いものなんでしょうか?」
ふと気づきました。問題には十までしか書かれていませんが、さらにその上まであるのではと。
「十個以上あるものってことね。その可能性もあるかも」
十よりも多いものと考えると、色々ありますね……。
「例えば、月とか」
「漢字、ってことを考えると、月の異名――和風月名――?」
「でしょうか…」
一月が三なのか、あるいは、一月に三つあるのでしょうか。
「一月は、睦月だよね。読みは三文字だけど…」
「十月の神無月は五文字ですよ。部首でも違いますね」
「そうだね」
月で数が変わるものは何でしょうか。考えてみてもあまり出てきません。
「旧暦だからズレる、とか?」
ありそうですね。新暦の一月なら、旧暦だと大体二月くらいでしょうか。
如月は読みが違うし、部首も違いそうですね。
「……違うみたいですね」
もう三十分ほどは考えているんじゃないでしょうか。かなり悩まされていますね。
「お茶もらってくるね。ついでに、お母さんにも聞いてみる」
「お気遣い、ありがとうございます。私も考えておきますね」
叶さんは、部屋を出ていきました。
しかし、難しい謎を考えましたね。いや、案外、考えるのは簡単だったのかも知れません。
――方角?
円は方位磁石の示唆?
それなら辻褄が合いそうです。十六方位なら、一は北北東ですよね。
七は南南西ですけど、何が四なのでしょうか。
天啓だと思ったんですが……。違いそうですね。
「十二支じゃない?!」
お茶を持ってきた叶さんは勢いよく入ってきました。
「十二支、ですか?」
「十個以上あって、円上に並べられて、漢字で表すもの」
あっ……!
十二支の一番目は“子”で、読みは一文字ですけど、画数ですか!
“子”は三画、七番目は、子、丑、寅、卯、辰、巳、午、だから、“午”で、四画!
十は“酉”で七!
なら、四は、
「五ですね!」
「早っ! わかったの?」
「ええ。面白い謎でした!」




