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少女たちの宿暮らし  作者: お餅
閑散期編
16/17

15話 仙台の帰り

「…こんにちは」


「はじめまして。私、結衣です。こっちは、宿を手伝ってもらってるみんな」


柏原愛かしはらあいです」


草姿そうしるる、や」


相模さがみりん、です」


 左から順に自己紹介をする。


「頑固なやつだけど、仲良くしてくれよ」


「頑固じゃないわよ!!」


つむぎもたこ焼きにする?」


「…うん。お腹空いてる」


 意外と素直?な人なのかな。


 話を聞くと、つむぎさんは去年同じ学科で入学して知り合ったそうだ。兄は、少し前までは、数人の彼女と別れ、付き合いを繰り返していたそうだ。


 すぐに別れてしまっていたのには理由があって、それは兄が、全くと行っていいほどスマホを触らず、フローに関してはそもそも持っていなく、インターネットの情報で話をしても兄に伝わらず、会話にならないというからだ。その話をつむぎさんの友だちから聞いて、フローを極力使わない生活にしたいのと、共同生活をすることで家賃を抑えるということが狙いで、兄の家に一緒に住んでいるんだそう。


「だから、私は彼女じゃないってこと」


 それもうほとんど彼女では? つまりは同棲でしょ?


「そんな経緯で…」


 ほら、愛がなんて言ったらいいかわからなくて、言葉に詰まってる。


「フローばかり触っているのは良くないと思うの。だから、解を利用しているんだけど」


「では、余暇にできる趣味を探してみてはどうですか?」


 愛が提案する。フローを触っているところは見たこともない。


「自由な時間があると、ついついフローを触りたくなってしまうので」


 愛は休憩時間にも本を読んでいることが多い。


「そうね。考えてみる」


「今から焼くよ」


 兄がボウルに生地を入れて持ってくる。


「あっ、それずんだ餅だよね。冷やしておこうか?」


 るるが持っていた袋を見た。


「頼むわ、おおきに」


「食後に持ってくるよ」


 兄はずんだ餅の入った紙袋を、冷蔵庫に入れる。


「普通に、イケメンで優しいんだけどね」


 小声で。テーブルを囲む私達にだけ聞こえる声で。


 イケメン?優しい? 懐疑的。


「なんか言ったか?」


「ううん。何も」



 ◇◆◆◆◇



「じゃあね」


「「「お邪魔しました」」」


 たこ焼きは無駄に美味しかった。もうお腹はいっぱいだ。


「次来るときは連絡してよ」


 つむぎさんに言われる。


「わかりました」


「いつでも来てくれよ」


「用があるときしか来ないよ」


「もう暗いし、仙台駅まで一緒に行く?」


「あー、そうだな。俺等もついていくよ」


 げっ。帰りは何も考えなくてもいいと思ったのに。


「ありがとうございます」


 律儀にお礼までしてる。素直でいいね。



「そういえば、解はそんなに女の人と付き合ってたの?」


 そんなこと初めて聞いた。


「まぁ、数人だけどな。いずれも三ヶ月も持たずに別れた」


「人気者なんですね」


 愛は柔らかく言ってるが、モテるってことだろう。


「そうでもないと思うけど、嫌ってるやつは少ないんじゃないか?」


 腹立つ。


「そうね。別れた人の中にも嫌いって言ってる人はいなかったし」


 つむぎさんは情報通なのかな。


 仙台駅についた。もう8時半だ。


「じゃあ、気をつけて帰れよ」


「またねー」


 二人は改札の手前まで、見送ってくれた。

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