15話 仙台の帰り
「…こんにちは」
「はじめまして。私、結衣です。こっちは、宿を手伝ってもらってるみんな」
「柏原愛です」
「草姿るる、や」
「相模りん、です」
左から順に自己紹介をする。
「頑固なやつだけど、仲良くしてくれよ」
「頑固じゃないわよ!!」
「紬もたこ焼きにする?」
「…うん。お腹空いてる」
意外と素直?な人なのかな。
話を聞くと、つむぎさんは去年同じ学科で入学して知り合ったそうだ。兄は、少し前までは、数人の彼女と別れ、付き合いを繰り返していたそうだ。
すぐに別れてしまっていたのには理由があって、それは兄が、全くと行っていいほどスマホを触らず、フローに関してはそもそも持っていなく、インターネットの情報で話をしても兄に伝わらず、会話にならないというからだ。その話をつむぎさんの友だちから聞いて、フローを極力使わない生活にしたいのと、共同生活をすることで家賃を抑えるということが狙いで、兄の家に一緒に住んでいるんだそう。
「だから、私は彼女じゃないってこと」
それもうほとんど彼女では? つまりは同棲でしょ?
「そんな経緯で…」
ほら、愛がなんて言ったらいいかわからなくて、言葉に詰まってる。
「フローばかり触っているのは良くないと思うの。だから、解を利用しているんだけど」
「では、余暇にできる趣味を探してみてはどうですか?」
愛が提案する。フローを触っているところは見たこともない。
「自由な時間があると、ついついフローを触りたくなってしまうので」
愛は休憩時間にも本を読んでいることが多い。
「そうね。考えてみる」
「今から焼くよ」
兄がボウルに生地を入れて持ってくる。
「あっ、それずんだ餅だよね。冷やしておこうか?」
るるが持っていた袋を見た。
「頼むわ、おおきに」
「食後に持ってくるよ」
兄はずんだ餅の入った紙袋を、冷蔵庫に入れる。
「普通に、イケメンで優しいんだけどね」
小声で。テーブルを囲む私達にだけ聞こえる声で。
イケメン?優しい? 懐疑的。
「なんか言ったか?」
「ううん。何も」
◇◆◆◆◇
「じゃあね」
「「「お邪魔しました」」」
たこ焼きは無駄に美味しかった。もうお腹はいっぱいだ。
「次来るときは連絡してよ」
つむぎさんに言われる。
「わかりました」
「いつでも来てくれよ」
「用があるときしか来ないよ」
「もう暗いし、仙台駅まで一緒に行く?」
「あー、そうだな。俺等もついていくよ」
げっ。帰りは何も考えなくてもいいと思ったのに。
「ありがとうございます」
律儀にお礼までしてる。素直でいいね。
「そういえば、解はそんなに女の人と付き合ってたの?」
そんなこと初めて聞いた。
「まぁ、数人だけどな。いずれも三ヶ月も持たずに別れた」
「人気者なんですね」
愛は柔らかく言ってるが、モテるってことだろう。
「そうでもないと思うけど、嫌ってるやつは少ないんじゃないか?」
腹立つ。
「そうね。別れた人の中にも嫌いって言ってる人はいなかったし」
つむぎさんは情報通なのかな。
仙台駅についた。もう8時半だ。
「じゃあ、気をつけて帰れよ」
「またねー」
二人は改札の手前まで、見送ってくれた。




