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千年の森の魔女と魔法の剣  作者: 叢咲ほのを
第3章 ウィル・オー・ザ・ウィスプ
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53.フィックス凱旋

 俺たちはまたフィックスに辿り着いた。だが今までと違ったのは、街の入り口の門から盛大に迎えられた事だ。

 フィックスの西門の外には、兵士たちが道の左右に立ち並び敬礼をしている。その外側には一般市民が殺到し、声援を送ってくる。いったい何のお祭りのつもりだ?

 門の入り口には、フィックス領主ブライトンの姿もあった。

 知った顔を見つけ、馬車を降りて挨拶に行くニーナ。他の3人もそれに続く。


「ブライトン!なんだこの歓迎は?」


「ニーナ様、パンドラ様。お帰りなさいませ。先日の話は国王陛下から連絡が来ております。王国をお救いくださったとのこと、誠にありがとうございます。」


「そうか。王都での一件は伝わっているか。だが歓迎はいらん。一晩宿泊先だけ用意してくれ。それとサリィたちは元気か?」


 矢継ぎ早に要件をまくしたてるニーナに、ブライトンは笑顔で対応する。


「ええ。みんな元気です。心配してくれているのですね。サリィのお店は今日も営業していますよ。」


「そうか!」


 ニーナも嬉しそうな笑顔で頷いた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 その後俺たちは、カフェサリィへ向かった。店に着くと、サリィがニーナに、ユーフォリアがパンドラに、それぞれ抱き付いて帰って来たことを喜んで迎えてくれた。

 店は相変わらず混んでいたが、吸血従者バンパイヤフォロワーの娘たちがいるため開店当初と違って上手く回転しているようだ。

 俺たちが来たことで、サリィとパンドラは店の事は吸血従者バンパイヤフォロワーたちに任せて俺たちとテーブルを囲った。


「それで、この人とバーンさんは仲直りしたんですか?」


 ユーフォリアが、店の前で決闘した俺とインフェルノが、今何事もなかったのように同じテーブルを囲んでいることについて、その後何があったのか気になって質問してきた。俺は説明する。


「あの時こいつは悪い奴に操られてただけなんだ。あれからまたセントラールで再戦して、俺はこいつを倒し、その後こいつを操っていた悪い奴はニーナが倒してくれたんで正気に戻ったんだ。」


「なんだかトゲがある言い方だな?貴様ここで俺に負けたことを根に持っているのか?」


「事実を言っただけだろう?お前の意思が弱いから心を乗っ取られたのは事実だろう?」


「ほう?もう一度俺と戦いたいのか?」


「ああ?!」


 俺とインフェルノのやり取りを見ていたユーフォリアが呆れて呟く。


「つまりケンカして仲良くなったって事ですね?」


「「仲良くない!」」


 俺とインフェルノは同時に叫び、思わずハモってしまう。


「息ぴったりじゃないですか。」


 ユーフォリアにそう言われ、俺たちはお互いムッとして目を逸らした。


「ねぇねぇ、ニーナちゃんたちはこのままフィックスに戻ってくるの?」


「サリィ、申し訳ないが私はこの二人と一緒に、少しの間旅に出る。まあ転移魔法でちょくちょく帰ってくるつもりだから寂しがることはない。パンドラは仕事があるからこのまま当分フィックスにいるぞ。」


 その会話を聞き、インフェルノが俺に質問する。


「なあ、パンドラという女の仕事って、まさかこの店の手伝いじゃないよな?」


 前回来た時にパンドラがこの店で働いているところを見たのだろう。職業カフェ店員の吸血鬼バンパイヤというのもウケる。


「それもあるけどそれだけじゃない。パンドラはここの領主ブライトンの仕事の手伝いもしてるんだ。」


 俺たちの会話にパンドラ自身が補足する。


「先週商人ギルドの不正を暴く事がだいたいひと段落したんだけど、その後の商人ギルドの査察や人事に口出しさせてもらうのと、ブライトン卿の進めている税金の見直しのお手伝いをしてるの。」


「…つまりおまえは政治家なのか?」


「いや、私はあくまで裏方で…。職業何?と言われても困っちゃうところなんだけど。」


「そ、そうか。詮索してすまない。」


 そんな俺たちの会話と関係なく、サリィはニーナに近況を伝えていた。


「ニーナちゃんがいなくなってから、ユーちゃんが馬車で私の送り迎えしてくれてるんだよ。」


「そうか。ユーフォリア、私の代わりにありがとう。」


「いえ、滅相もございませんニーナ様。パンドラ様より、お店の事を頼まれましたので。」


「ありがとう、ユーフォリア。」


 パンドラからもお礼を言われてとても嬉しそうな表情になるユーフォリア。


「全く関係のない俺が言うのも何だが、なんだか複雑な人間関係だな?」


 インフェルノがこの4人の関係性が複雑だと気づく。確かに最年少の子供のサリィがニーナとタメ口で話していて、領主の娘のユーフォリアはニーナとパンドラに敬語を使っている。ユーフォリアとサリィは対等な感じの友達だ。人によって上下関係がバラバラなんだよな。


「ところで3人で旅に出るって、どこへ行こうとしているんですか?」


 ユーフォリアから質問され、インフェルノが答える。


「ああ、実は俺の妹が眠りから覚めない病気にかかっていて、それを治るかどうか見てもらうために二人に俺の国まで来てもらう事になったのだ。」


「眠りから覚めない病気…?」


「そういえばユーフォリアもちょっと前に似たような状況だったな。まあユーフォリアは高回復薬ハイポーションで治ったけど。(本当はアルカードに血を吸われてバンパイヤ化しかかっていたところをパンドラが治したんだけど)」


「はい。その節はバーンさんにもお世話になりました。」


「インフェルノの妹も高回復薬ハイポーションで治ればいいんだけどな。」


回復薬ポーションの類もいろいろ試した。体力が落ちているとか怪我をしているわけではないので、やはり効果はなかった。」


「やっぱりそうか…。」


「え?インフェルノさんという名前なのですか?」


「ああ、まだ名乗っていなかったな。オレはマインステート王国のインフェルノだ。」


 そう自己紹介され、なぜかとても驚いた表情をしたユーフォリアから驚きの言葉が発せられる。


「もしかして妹さんの名前は、フローレンスと言いませんか?」


「妹を知っているのか?!」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



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