45.王都セントラールの一番長い日10
悪の黒幕トライアイズを打ち倒したニーナは城壁の上からバーンたちの前に転移する。
「これで本当に終わりだな。みんなご苦労様。」
そうニーナがバーンやアークたちに声を掛けると、周囲にいた人々が一斉に、大地に両膝を付き頭を下げた。それはまるで神を崇めるかのように。
騎士団長であるアークもまた、片膝を付き礼をする。
「ニーナ様。先日はニーナ様がこれほどまでの偉大なる大魔法使いである事を知らず、失礼な態度を取ってしまい申し訳ありませんでした。この度は我が王国をお救い下さり、誠にありがとうございました。セントラール全国民を代表して、ここにお礼を述べさせてもらいます。」
そ、そんなに畏まらなくても?いや、しかし先ほどの超常現象を目の当たりにしたらそれが正常な対応なのか?と、バーンがオドオドと一人棒立ちしていると、やはり同じく対応に困ったニーナがバーンに駆け寄ってきた。
「キャー!怖かった!」
バーンと、片膝をついていたアークも同時にガクッと膝を崩した。
「いや、だってみんな私の事びびってるから…。こんなに可憐な少女なのに。」
確かにぱっと見は可憐な少女かもしれないけど、そりゃビビるでしょう。
とりあえずニーナはそんなに崇められるのに慣れなのが分かったので、バーンはアークに言う。
「アークさん、ニーナならそんなに畏まらなくても…」
そうバーンが言いかけたところで、
「ちょっと待ってバーン。そういえばさっきからパンドラの気配がない。ちょっとごめん!」
そう言い残してニーナは再び転移し、どこかに消えた。慌ただしいやつだ。しかしその転移魔法という軌跡を見た群衆は、再び頭を下げるのだった。
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セントラール王国の北部にある、グラカギ山脈。一つ目巨人の目撃情報を元に、セントラール騎士団の魔獣討伐隊が遠征をしていた。それは全長3mを超すと言われる凶悪な巨人族だが、王国を出て約1週間経つが、未だ発見できていない。ここまで来て見当たらないのであれば、恐らく迷い出た1体が目撃されただけで、人里まで降りて来ることもないと思われる。脅威でないと判断し、帰国したいところだが、魔獣討伐隊の隊長である血に飢えた男ブラックゲードには一切その気がないようだ。
魔獣討伐隊がさらに山道を進行中、ブラックゲードは額が疼くのを感じ、額に巻いてあるバンダナに手を当て立ち止まる。近くにいた騎士の一人が話しかける。
「どうかされましたか?」
「…通信係を呼べ。城で何か起きていないか確認させろ!」
その怒りを含んだ強い口調にびびった騎士は、慌てて通信係である魔法使いに王国と連絡を取るように指示をした。
「ブラックゲード様!セントラールの街が襲われたそうです!」
「なんだと?それでどうなった?被害はどれくらいだ?」
「それが、無事に侵略者を鎮圧したそうで、被害は正門が破壊されただけだそうです。」
「終わったのか?」
「…ハイ。」
「チキショウ!俺がいないときにそんな楽しい事が起こりやがって!こうなったら一つ目巨人の棲み処を見つけて狩りつくすまで帰らねえぞ!」
ブラックゲードが言い出したらそれは本気だ。その言葉に部隊の全員が恐れおののいた。
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