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千年の森の魔女と魔法の剣  作者: 叢咲ほのを
第2章 王都襲撃
43/126

41.王都セントラールの一番長い日6

 王都セントラール正門前では、がれきとなった門戸の前に二人の剣士が対峙していた。

 赤色悪魔鎧レッドデヴィルプレートメイルに身を包み、悪意の刺突剣イヴィルエネルギーフルーレを手に持った、侵略者インフェルノ。

 鎧は身に纏わないが、その手には古の魔法剣、火焔剣フレイムソードを手に持ったセントラールの剣士バーン。

 これから行われる戦いは、それまでの剣と剣との戦いではない。先ほどインフェルノが見せた圧倒的な魔法剣の力。人間の力を越えた、魔法剣と魔法剣の戦いだ。


「ずいぶん変わっちまったけど、お前インフェルノだよな?」


 バーンにそう言われ、面当てを上げ顔を見せるインフェルノ。


「そこをどけ。貴様の腕ではこの俺を止めることはできない事は分かっただろう?」


 飽くまで被害は最小限にとどめたいインフェルノ。だがもし自らの行く道を邪魔するというのならば、例え死者の山を築こうが構いはしない。その最終確認のためにバーンに退くように言う。だがそんな言葉に耳も貸さず話を続けるバーン。


「なあ、龍の宝珠ドラゴンオーブっていったい何なんだ?お前がそこまでして手に入れたい理由は何なんだ?多分それを渡すと大変なことになるんじゃないのか?」


「うるさい!お前には関係がない!」


「俺はお前と戦いたくない。おまえ結局誰一人殺してないだろう?本当は誰も傷つけたくないんだろう?」


「ええい!黙れ!!!」


 バーンの懐柔に屈せず剣を構えるインフェルノ。バーンの持つフレイムソードが魔法剣だと見抜き、先ほどのアークとシンエモンとの戦いとは違い遠距離の間合いを取る。恐らくフラッシングフルーレを人間に対して放てば、確実に殺す。死ぬだけならともかく、無残に五体がバラバラに散ってしまうだろう。先ほどの騎士はすぐに回復魔法をかけていたようだから一命は取り留めたはずだ。だからもしここでフラッシングフルーレを放てば、今回の侵略で最初の犠牲者となる。だからインフェルノは躊躇していた。だがもう後には引けぬ。インフェルノは覚悟した。


「フレイムソード!」


 バーンはフレイムソードに火を灯す。ニーナから教わった通りに、己の魔力を剣にそそぐ。そそいだ魔力は炎の精霊サラマンデルの力を借り、刀身に纏う炎となる。

 ボッ!

 先日フィックスではできなかったが、千年の森の奥でやった時と同じようにフレイムソードの刀身が燃え上がる。


 攻撃体勢に入ったインフェルノにも変化が起きる。構えた悪意の刺突剣イヴィルエネルギーフルーレに光が収束する。そんなエネルギーが剣に宿ってゆくのを周りの群衆は目にし、先ほどの攻撃が繰り出されるのを悟り悲鳴も聞こえる。そんな周りの反応には目もくれず、インフェルノは攻撃を放った。


「フラッシングフルーレ!!!」


 目にも止まらない連撃。そしてそれが白いエネルギーの塊となって前方に飛ぶ。


「バーニングスラッシュ!!!」


 対するバーンもその炎の剣を振るう。フレイムソードの一撃は斬撃の形の炎となり、インフェルノの放ったエネルギー波を両断した。そしてさらにそれは勢いを失うことなく、その向こうにいる全身甲冑のインフェルノの体をも切り裂いた!

 周りで見ている者たちの目には炎がインフェルノを襲ったように見えた。

 バーンの放った一撃で後方へ吹き飛ばされるインフェルノ。地面にバウンドし、そして大地に倒れる。


 アークのミスリルソードでもシンエモンのカタナブレードでも一切傷をつけることのできなかったオルハリコン製の魔法の鎧は、バーンの袈裟斬りの跡で大きく破損していた。しかしやはりその強度により、インフェルノの一命は取り留めていた。


 ワーッ!と、国に訪れた脅威が取り除かれたことによる安堵と、目の前で起きた魔法剣同士の戦いを初めて目にする興奮などで、城門前は大歓声が起こる。

 炎の消えたフレイムソードを片手に周りを見回すバーン。そして祖国の魔法部隊を見つけると大声で叫ぶ。


「あいつの治療もやってくれ!」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 セントラール王国の魔法機関の最高責任者である魔法使いセガールは、今目の前で起きた出来事について目を疑うばかりであった。

 自分たちの使う魔法が通用しない強敵の出現。王国最強の騎士の敗北。恐るべき魔法剣による魔法攻撃。そして王国側にそれを打ち破る魔法剣士の出現したこと。60年以上魔法一筋で生きてきたセガールにとっても、これほどの出来事は生まれて初めてであった。

 先日出会った若者バーンが敵を撃破した後も、ただただその光景を眺めていた。


そんなセガールの横に突然少女が現れた。歩いて近寄ってきたのではない。突然そこに現れたのである。その少女をセガールは知っていた。以前バーンと一緒に来た魔法学者と名乗る少女で、測り知れない魔力を持っていた。


「ニーナ殿?!」


 セガールがその名を呟くと、ニーナは言った。


「セガール。大至急回復魔法使いたちに、あの男を治療させてくれ。事態はまだ終わっていない気がする。あの男を回復させ事情を聴取するのだ。」


 まだ身元もよく分からない謎だらけの少女の言葉であったが、セガールは判断に悩むことなく、すぐに部下に指示を出した。

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