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千年の森の魔女と魔法の剣  作者: 叢咲ほのを
第2章 王都襲撃
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29.カフェの中はカオスだった

前回のあらすじ。

俺たちがたまたま寄ったカフェで、千年の森の魔女ニーナと2週間ぶりに再会した。


「バーン、この子と知り合いなのか?」


 そんなザックの言葉を無視して、ニーナは俺の手首を掴むと言った。


「ちょうどいいとこに来た!バーン、忙しくて人手が足りないんだ。手伝ってくれ!なんでも屋だろ?」


「いや、今別の仕事中…!」


 俺の言葉も無視して強引に店内に連れていかれる。取り残されたセントラールの騎士3人はポカーンとした顔で俺を見送っていた。


 店内に入ると、どこの席も客で埋まっており賑わっていた。


「こんなに客が来るなんて思わなかった!この街は他にうまい食べ物はないのか!」


 なぜか繁盛しているのに怒り気味のニーナ。想定外の繁盛で忙しいのだろう。客席の横を歩いていると、男性客からニーナに声がかかる。


「ニーナちゃん!俺のとこの注文まだー?」


「うるさい!待ってろ!」


 そう言われた男性客は機嫌を悪くするかと思えば、逆に嬉しそうな顔で「はーい!」と間延びした返事をした。店内を見回すと、若い女性客と同じくらいに若い男性客も多い。これはあれだな。この繁盛はニーナ目当ての客も多いんだろうな。本人は自覚なさそうだけど。


「ニーナ、忙しそうなのは分かったし俺も手伝ってやりたいんだけど、俺も今日は領主から呼び出されて来てるんだ。仕事が終わってからにさせてもらえないか?」


「領主?ブライトンならあそこにいるぞ。」


「へ?」


 ニーナから指さされた客席を見ると、確かにそこには付き添いの兵士2名を連れたフィックス領主ブライトンがテーブルに座ってコーヒーを飲んでいた。


「ブライトン!バーンを借りるぞ!」


 そうニーナに声をかけられたブライトンは、俺に気付く。


「お?バーン君久しぶり!ニーナ様了解しました。それじゃバーン君、ニーナ様のお手伝いが終わったら館に来てくれ。」


「えっ?えっ?えっ?」


 そしてニーナに手を引っ張られた俺は、客席を抜けて厨房へ連れて行かれた。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 厨房では当然のようにパンドラがいた。


「説明してくれ!!!」


 状況を把握できない俺はついに声を荒げた!


「バーン!ちょうどいいとこに来たわ!皿洗いお願い!」


 しかし俺の声は無視されて仕事の指示をされる始末。ニーナはまた注文を取りに行った。俺はもう従うしかないと観念して皿洗いを始めようとする。すると厨房にもう一人背の低い女の子がいることに気付いた。


「バーンさんごめんなさい。」


「え、まさか?…サリィ?」


 それは2週間前にひったくりに会ったところを助けてあげた、この北の農村に住む少女サリィだった。


「ニーナのやつ、人手がないからってサリィにまで手伝わせてるのか?!」


 サリィはまだ11歳だ。いくらこの街で知り合いが少ないからって、こんな子供にまで手伝わせるのはどうかと思って怒った顔をしたら、サリィから否定された。


「違うんです。手伝ってもらってるのは私なんです。何にも知らなくて迷惑かけちゃって。」


 どういう事?するとパンドラから声がかかる。


「店長、こんなもんでいいかしら?」


「うん。それじゃ次は…」


 えっと…。今パンドラがサリィの事を店長って呼んで…。そういえばこの店の入り口にあった看板にはSALLY'S CAFEって書いてあった…。ちょっと間を空けて俺の頭が理解をする。


「サリィがこのお店の店長なの?」


「いいから早くお皿あらってちょうだい!」


「…はい。」


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 俺が大人しく皿を洗っていると、別の店員が店内から使用済みのお皿を下げてきた。もう一人店員がいたんだと思って顔を見ると、それはなんと領主の娘ユーフォリアだった。


「えっ???ちょっと待って?!ユーフォリア?ダメだろうこんなとこで働いてちゃ!!!」


「あ、バーンさんこんにちは。お久しぶりです。バーンさんもここで雇われたんですか?」


「違うし!雇われてねえし!そうじゃなくて、なんで貴族の令嬢の君がこんなとこで働いてんの?!」


「それは…社会勉強で…、パンドラ様もいるし…。」


「はい?社会勉強?お父さん(ブライトン)は何て言ってるの?!」


「え、それは…、お父さんは私が好きなら性別は気にしないって…」


「ちょっと待て!お前何の話をしている?」


 ユーフォリアってこんな子だったのか…。イタイな…。


「そういやブライトン卿がお店来てるのって、君を見守りに来てるの?」


「そぉーなんですよ!お父さんったら、貴族であろうとも平民の暮らしを学ぶのは良いことだって言ってバイトすること応援してくれたくせに、私のこと心配して朝からずっと居座ってるんですよ!」


「何してんのあの人も?」


 休憩の暇もなく働いて、やっと休めたのは、日没まで待てないニーナが店を閉めた4時頃だった。みんなも疲れているようで、店内の椅子に座って休憩をしていた。


「疲れた…。」


「ごめんなさい、バーンさん。ニーナちゃんが強引に手伝わせたみたいで。」


「いやいや、それよりもまだ小さいサリィをこんなに働かせるなんて!」


「何を言ってるバーン。この中で一番タフなのは農家で鍛えたサリィだぞ。」


そう言うニーナに全員頷く。…そうなのか。


「ま、まぁそれはいいとして、まず説明をしてくれ!なんでいきなり再会の感動もなしに皿を洗わされなきゃならんのだ?!」


 次々と運ばれてくる使用済みの食器を洗いながら分かってきたのは、サリィが店長でニーナとパンドラとユーフォリアを合わせた4人が働いているらしいという事だけだ。それ以上の情報はしっかり説明してくれないと!


「それよりもお前、終わったらブライトンに私の手伝いが終わったら館まで来てくれって言われてなかったか?」


 そう言えば!俺はこれからブライトン護衛の仕事があった!


「あ、あとで詳しく説明してもらうからな!」


 そう言い残して俺はカフェサリィを出た。他の3人は先に行ってしまったため、領主の館まで徒歩だ。とほほ。(※徒歩だけに)

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