第7話
1日目の仕事が終わらない。
午前中整理整頓を終わらせたあと、午後はひたすら帝の“相談役”として仕事の手伝いをしていた。
そうして過ごしていたら、帝という地位がどれだけ大きな仕事を背負っているのかを嫌でも知ることになる。
これを17歳という歳からやっているのかと思うと、頭が上がらない。
「疲れたか?」
俺は座ったまま意識が飛びそうになっていると、帝が笑みを浮かべて俺を気遣う。
「……主上、あなたは働き過ぎてはありませんか?」
「働き過ぎだから癒やしが必要になるんだ」
帝が肘を机について俺を見つめた。
「だから後宮があるということですか」
「俺は女にはあまり興味がない。外後宮のことだ」
「ああ……外後宮……」
──外後宮。
それは男だけの後宮だ。
先先帝は男にしか興味がなく、男だけの後宮を作ったのが始まりだった。
先帝の時代では使われることはなかったが、今の帝が男にも興味があるため、また再利用されているわけである。
「お前も興味はないか?」
「なににですか?」
「外後宮だ」
「宦官として入らないかということですか? それは結構です。俺は取りたくないので」
「違う」と言って、俺の発言が面白かったのか口を手で抑えてクククッと笑う。
「おもしろいな、お前は」
帝が立ち上がると、俺のところにやってきて机に腰を下ろす。
見下される形になり、帝の顔が今まで以上に近くなった。
「俺の寵臣になるつもりはないか」
寵臣、即ち外後宮で暮らす臣下になるつもりはないかということだ。
(ふざけてるのか……!?)
「……私は男の趣味はありません」
「俺はある」
「だっ、だから……寵臣になれと……?」
「お前に興味がある」
「それならば寵臣でなくてもいいはず」
「……」
帝が眉間を寄せた。
(やばい)
焦り、背筋に冷たいものが流れる。
「申し訳──」
謝ろうとしたとき、帝の顔がすぐそこにあった。
熱いものを含めた瞳で見つめながら俺の唇を指で撫で、そしてこう言った。
「閨ではお前がどう鳴くのか気になるのでな」と。
全身に鳥肌がぶわりと立つ。
(ぜひ遠慮申し願いたいのだが!!)
俺は絶対絶命の危機に陥っていた。




