↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
陛下、寵愛なんて望んでません。  作者: 犬村汐里


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/19

第5話




 仕事の優先順位を一覧にした紙を見ながら、帝の執務室を整理した。


 棚から机周りまで完璧に綺麗にする。


 正直ここまでやると、掃き掃除や拭き掃除もやりたくなるのだが、帝の前なので我慢することにした。



「ひとまずここで終わりにします」


「休憩するといい。助かった」


「はい」


 そこに肖然(シャオ ラン)がお茶を持ってやってきて、帝の分だけでなく俺の机にもお茶をおいてくれた。



「お前は綺麗好きなのか」


「いえ、それほどではありません。ただ、執務室が汚いのは仕事の効率が悪いかと思います」



 疲れたこともあり、そんなことをいっていた。



 だが、肖然の視線に口を滑らせたと思い立ち上がって深く頭を下げた。


 冷や汗がたらりとこめかみを伝う。



「大変申し訳ありません。今、私めは……」


「いや、いい。構わん」



 顔を上げると、帝は楽しそうに笑っていた。


 激しく脈打っていた動悸が治まる。



「お前は素直でいい。肖然(シャオ ラン)、少し二人にしてくれないか」



 肖然が頭を下げて「かしこまりました」と言って部屋を出る。


 二人きりになった部屋で、帝は人間らしく背伸びをした。



「肖然がいない二人の時間は不敬など考えなくて良い」


「……わかりました」


「お前は帝なのにこのぐらいできないのかと思うか?」


「いいえ。思いません。人間誰しも欠点はありますから。あなたを神のように扱う人もいるでしょうが、神も時には失敗をするはずです」


「そうか。そうだな」



 なにか納得したように顎を撫でながら何度か頷く。


 そして帝は俺の方をジッと見てきた。



「お前の姉が後宮にいるはずだ」


「はい。います」


麗霞(リーシア)はお前によく似ているな」



 昔からよく言われる。


 武官の体にそのままそっくり姉の麗霞(リーシア)の顔を乗せたら、俺ができると。


 そのぐらい見た目はうり二つだった。


 だからこそ、昔から揶揄われたものだ。


「女みたい」と。




「だから文官はやりたくないのだな」


「はい?」



 会話を聞き逃したかと思った。



「どういうことですか?」


「顔が女性的だから、武官として励んでいるんだろう? バカにされないように」


「!!」



 なぜ、気が付かれてしまったのか。


 誰にも話したことはないはずだ。



「……なぜ、お気付きになられたのですか」


「いや、なに。机仕事が嫌だと食堂で叫んでいたのだろう? それなのに、整理整頓は得意で、常に筆記用具を持ち歩いている。武官らしくはない。お前は文官としての才はあるのだろう。だが、お前はそれを望んでいない。なぜなら体を鍛えなければ痩せ、余計に女として見られやすいからだ。さては、お前は男に誘われるな?」



 ごくりとツバを飲んだ。



 この方を侮ってはいけない。


 帝という地位にいるだけはある。



「そして、鍛えなければすぐ痩せ、女に見られやすいだろう?」


「敵いませんね。さすがこの国を治める皇帝陛下であられる」



 俺は、力が抜けてふと笑っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。