第15話
外後宮と後宮は、側室が女か男かの違いだ。
そんな外後宮に入ることになったのだが、今俺はオヤジに詰められている。
「なぜ外後宮に入ることになったのだ? どういうことだ? 麗霞がいるというのに! ああ、なんてことだ……男であるお前が側室だなんて、一族の恥だ!」
俺はオヤジの前で正座をさせられていた。もう足が痺れていい加減やめてほしい。
「なんでって、帝から提案されたんだ」
「私はお前が相談役として相応しいとは思ったが、側室になれとは言ってないぞ!」
「じゃあ、帝に直接聞いてみろよ」
そう言うと、オヤジは口をモゴモゴとさせるばかりで何も反論してこない。
「別にいいだろ、仕事してれば。相談役をおろしたいなら勝手にすればいい。でも、その判断を下すのは最終的には帝だろ? オヤジの判断ではどうすることもできないじゃないか」
さすがに言い過ぎたらしい。
オヤジの拳が俺の顔に直撃した。
現役さながらの稽古をしているオヤジの力に負け、体勢を崩しそうになる。
「いっ……たぁ……」
「志明!! お前はいつからそんな生意気になった!」
「んなもんずっと前からだよ!」
「いいか、当主は俺だぞ」
「今の帝の相談役は俺だぞ!」
オヤジが顔を真っ赤にして、口をパクパクさせる。
そして「もう知らん!」と言って部屋を出ていった。
「クソジジイめ」と声に出す。
その瞬間、部屋の扉が開いて「なんか言ったか!?」と怒鳴り込んできた。
「クソジジイ!!」ともう一度叫べば、オヤジにも「クソ息子が!」と怒鳴られた。
大きな音を立てて扉が閉められると、俺は頬を手で抑える。
「いてぇよ……ったく……」
そして俺は、目の前にあった紙を拾った。
「本気でやらなくたっていいだろう」
その紙には「演技するから演技しろ」と書いてあった。
殴られた顔のまま帝の執務室に訪れると、帝よりも先に肖然が唖然として「どうしたのですか!?」と驚く。
そんな驚かなくてもいいのにと思ったが、実質俺は外後宮に入る準備をしてるだけの側室なので、驚くのも無理はないかと冷静に考え始める。
「どうしたんだ?」
帝も俺の顔を見て目を丸くした。
「親子喧嘩です」
「……武官の父親はそうなるのか……」と、帝が俺の腫れ上がった頬を見ながら苦笑いする。
「肖然、処置をしてやれ」
「御意」
「いいですよ」
「ダメだ。俺が守るといったそばからこれだ。絶対ダメだ。許さないぞ」
その言葉に思わず口元が緩んだ。
(なんかちょっと、かわいいな)
そんなことを思いながら、席に座り肖然の処置を受けた。




