路地裏の王様
私が泊まっている宿の裏。そこはやんちゃな奴らの集会所になっているんだ。
「にゃーーー!」
「ヴゥー」
「にゃーお、にゃお」
「シャァアアア!!」
あっ、引っ掻かないでよー。
この子はキングちゃん。ここの猫ちゃん集団のボスなんだ。
ずっとキングって呼んでたんだけど、最近赤ちゃんを産んでいたのを見て慌ててちゃん付けしたの。
キングちゃんと出会って1年くらい経つのに、まーだ懐いてくれない。他の猫ちゃんたちは、私を見ると擦り寄ってくるのに。
今日こそは私に屈服させてやるんだから!
「お手!」
…………。
「これ、干し肉」
…………。
「ほーら、鈴だよー」
…………。
───ガラガラリンリンッ!ガラガラリンリンッ!
「フシャァアアア!!」
「ごめんごめんごめんっ!」
他の猫ちゃんたちがびっくりして、キングちゃんに怒られちゃったよ。
「うるさいよー!」
「ごめんなさーい!」
宿のお母さんに怒られちゃった…。
「朝っぱらから何やってんだい」
「あの猫ちゃんだけ懐いてくれないの」
「あー、なんだっけ。キング君だっけ?」
「女の子だったからキングちゃんになった!」
「そうなの。それじゃあ、魚をあげてみるのはどうだい?」
「うん!前にいろいろやってみたよ」
「匂いの強い魚にしてみない?興味くらいは引けると思うけどね」
「やってみる!ありがとうノーラさん!」
匂いの強いお魚…ね。とりあえず市場に行ってみよう。
「おじちゃん、臭いお魚ってある?」
いつもお世話になっているおじちゃんのところに来てみたよ。お魚のことならこの人が1番信頼できるからね。
「何に使うんだ?」
「猫にあげるの」
「猫が食うのかは知らねーが、これとかどうだ」
おじちゃんが何重にも蓋をした箱を開けたら、とんでもなく臭い小魚がたくさん入ってたよ。
「わーお、すっごいね…。3匹買うよ」
「まいどー。味は保証するよ」
魚屋のおじちゃんが味の保証をするなら美味しいんだろうね。後で食べてみようかな。
宿に戻ってくると、まだ猫ちゃんたちはゴロゴロしている。さあ、キングちゃん。決戦のときだよ。
「これを見よ!」
───二”ャァアアアアア!!
「え?あっ、あ…」
みんな逃げちゃったよ…。
あれ、でもキングちゃんだけ逃げてないね。もしかして好きなのかな?
「はい!あげる!」
あっ、いつも「ニャー!」とか「シャァアア!」とか言ってくるのに、何も言わないで近づいてきた!
やっと私に屈したか!
あれ?なんでお魚を無視するの?
痛っ、なんで引っ掻くの?
痛い痛いっ!なんで無言なの!?私それ知らないよ!?
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