優秀な人ほど
久しぶりに朝早く起きたから、準備中の朝市をぶらぶらしようと思ったんだ。そしたら噴水公園のシンボルでもある大きな噴水に、おじさんが浸かっていたよ。
お酒の瓶も持っているし酔っぱらいだろうけど、よく見たらいい服を着ているね。
「おじさん、なんで噴水に入ってるの?」
「嬢ちゃんにゃ、まだ分からねぇよ」
別に分からなくてもいいけど。
それにしても、返答がはっきりしてるし本当に酔っぱらいなのかな。いや、噴水に服を着たまま浸かっている人なんて酔っ払いでいて欲しい。
「そんな変な目で見るなよ。大人になったら変なことしちゃダメなのか?」
「ううん、全然いいよ」
そんなこと言われたら何も言えないよ。もしかしたらおじさんより変なことしているかもしれないし。
それにしてもこのおじさん、どこかで見たような気がするんだよね。
「おじさん偉い人?」
「どう思う?」
偉そうに見えるけど、どうなんだろうね。なんか話すの面倒臭い。
「えー、知らないよ」
「そりゃそうだ。なかなか表には出ないしな」
「もう行くね?酔っぱらいじゃないなら助ける必要もないし」
「冷たいじゃないか。風邪をひいてしまうよ」
おっさんのだる絡みは本当にキツイね。何も言わずに帰るのが一番だよ。
「じゃあな嬢ちゃん」
じゃあねおっさん。一度風邪ひいて痛い目にあうといいよ。
「あー!!」
家で二度寝してて今起きたとこなんだけど、大変なことに気がついちゃった!
あのおっさん領主だ!
前にいろいろあって一度顔を合わせたことがあったよ!
私みたいな特徴的な人間なんて忘れるはずがないんだから、からかわれてたんじゃん。
てか領主がなんで酒瓶持って噴水に入ってるの?
前会った時は真面目な場面だったから特に何も思わなかったけど、とんだ変人だったんだね。
あのおっさんの話し方的に、私のことはいろいろ調べがついてるってことなのかな?まあいいけど。
この街は上手い具合に発展しているし、優秀な領主ってよく聞くんだよね。
やっぱりアレなのかな、優秀な人っていろいろとぶっ飛んでいるんだ。
「アルラウネは可愛く強く育ってね。あのおっさんみたいな残念なぶっ飛び方はしないでね」
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