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[閑話] ギルドにいるガキ

 俺は最近この街、交易都市ルルネアにやってきた。


 田舎で冒険者を始めて3年が経ち、一花咲かせようと王都へ行ったんだ。だがあまりの煌びやかさにビビっちまって、結局この街に落ち着いた。


 俺が想像していた王都って感じで、ここで成り上がるのも悪くない。

 

 そんなこの街の冒険者ギルドには、他の街では見られない光景がある。


 「やっぱりステーキが一番だね!」


 「ふふっ、美味しいかい?タイショー!!」


 「あんま食わせすぎんなよー」


 ガキがいるんだ。


 もちろん、誰かに用があったり依頼を出すのに子供がギルドに入ることはある。だが、このガキみたいに毎日のように来て、俺たち冒険者と飯を食うなんてことはない。


 言っちゃ悪いが、冒険者なんてもんは頭のネジが外れた奴がなる職業だ。


 ギルドにガキが一人でいりゃ、バカにされて酒の肴になるのが落ちだ。自分より下の人間を見つけると、とりあえずバカにして悦に浸るのが冒険者だからな。


 多少は私情が混じってるかもしれねぇが、だいたい合ってるはずだ。


 だが、この街ではそれがねぇ。いや、あのガキに対してはねぇんだ。それどころか、どいつもこいつもあのガキには甘い。


 だからしばらく、その原因を探るためにアイツを観察してみることにした。




 一週間経ったが、全く理由がわからない。


 どう見ても、タダ飯を貰いにギルドに来ているとしか思えない。面はいいがそれだけ、図々しいガキって印象しか受けなかった。


 正直こんなことはどうでもいいのだが、一度気になったことは答えが分からないと気持ち悪い。


 あのガキと関わりのある奴に聞いてみるしかねぇな。


 あのB級の騎士上がりとかいう奴に聞いてみるか。


 「なあ、あんた。聞きたいことがあるんだが、ちょっといいか?」


 「何の用だ」


 あのガキの時とえれぇ差だな、おい。


 「俺ぁ、ギルド内を子供があんな自由に動き回ってる姿を見たことがない。他の街なら、とっくに叩き出されてるぜ?このギルドが特殊なのか?それともあのガキか?」


 「ガキだと...」


 「いやあ、間違えた!嬢ちゃんだ嬢ちゃん」


 目が怖ぇよ。歳が近そうだから声をかけたが、間違ったかもしれねぇ。


 「俺たちには……この街にはな、彼女にいくら返しても返しきれないほどの恩がある。だから彼女にできるだけ合わせるし、思うことがあっても言うやつはいない」


 「な、何をしたんだ嬢ちゃんは?」


 「どうせ言っても信じないだろうが、そうだな。冒険者は強者を重んじる。つまりそういうことだ」


 あのガキがこいつらよりも強いってことか?まだ10かそこらの歳じゃねーか。


 あっ、そういう事か。


 この街でこいつらB級より強いつったらギルマスくらいだ。ギルマスの娘だからこんなにチヤホヤされてるんだ。


 あのガキに優しくすりゃギルマスの評価が上がって昇格しやすくなるってことだろう。このガキに優しくしてりゃ昇格しやすくなるんだから、恩があって当然だな!


 「そういう事だったのか、助かったぜ」


 そうとなれば早速行動に移さねーと。あの嬢ちゃん、いつも肉ばっか食ってるしな。焼き串でも買いに行くか。


 なかなか芽吹かなかった俺の冒険者ライフ、ようやく明るい兆しが見えてきたぜ。

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