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モブ男の料理

 「えっ」


 街をぶらぶらしていたら、新しく開いたレストランを見つけたんだ。


 中に入ってみると、あらびっくり。モブ男とモブ美が2人で切り盛りしていたよ。


 しかも値段がすごく安い。


 「ステーキとオニオーンスープ、あとエールをくださいな」


 「お水でいいかな?」


 「うん、よろしくね!」


 モブ美め、冗談の効かない奴だな。


 それにしてもモブ男はすごいね。一人でいろんな料理を作っていて、そんなに時間もかかっていないんだから。


 「お待たせしましたー」


 ふむふむ、モブ男らしい普通の見た目だね。お味の方はいかほどかな?


 ───っ!!


 不味くはないけど、美味しいとも言えない…。


 「普通だ…!!」


 ステーキなのに普通ってどういうこと?お肉って焼いたら美味しくなるものなのに、どうやったらこうなるの?


 スープは───


 「普通だっ!!」


 オニオーンの甘みが微妙に出ている感じがするけど、なんだろう。美味しいとまでは言いきれない味だね。


 「やっぱり君もそう思う?」


 「ってことはモブ美さんもそう思っているんだね!」


 「なんで私の名前知ってるの?」


 そういえば私が一方的に知っているだけだった。まあ、そんなこと気にしない気にしない。


 「なんとも言えない、普通の味だよね」


 「そうなのよ。何を作っても不味くなることはないの。でも、美味しくなることもないのよ」


 「じゃあなんでレストランなんて始めたの?」


 「彼、料理するのが好きなのよ。でも普通の味だから、安さで勝負するとか言って」


 たしかに安いけどさー、これを食べるんだったら他のお店に行くかな。


 なにか手助けできればいいんだけど…。


 「ここらでは手に入らない調味料とかいる?例えばこれとか」


 スパイスをステーキの上に軽く振りかけてー。


 「ほら!これをかけるとこんなに美味し……え?」


 どういうこと?竜のお肉にも勝るスパイスだよ?


 味は変わったのに、美味しさは普通のままなんだけど!?


 「なんで美味しくならないの…?」


 「すごいわよね。彼の作った料理はね、何をしても不味くならないし美味しくもならないのよ」


 モブが料理を侵食しているよ…。


 もはや呪いの類だよ。




 「じゃあねー!」


 「またお話しに来てね」


 なんだかんだ、モブ美さんと息が合って話し込んじゃったよ。


 モブ美さんはB級冒険者だったらしいから、今度特殊な食材を集めて、モブ男の呪いに勝てるものを探す約束をしたよ!


 …あれ?


 モブ美さんがB級冒険者?


 モブ美さんはモブじゃなかったり?

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