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婚約破棄!? 心の中で大喜びしますわ!  作者: 風月 雫
第2章

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第47話 ダリル殿下の嫉妬?

拙作ですが、よろしくお願いします(#^.^#)

 私はクリスティーナ様たちと別れて、自分の部屋に戻ってきた。シンプルな木製ベットのふかふかマットの上にドサッとうつ伏せに倒れこむように寝転がる。先程のクリフ様の事を考えていた。


『君より私の心に寄り添ってくれる彼女を手を取りたいと思ってる!』


 卒業パーティー前にそんな事を言っていたのはクリフ様の方だ。


 そう言っていたのに今更謝りたいと? 彼女の手を取りたいと言っていたキーラ子爵令嬢はどうしたのよ。


 クリフ様の変わりように私は頭も心も追い付かない。まるで狐につつまれたような感じだ。


『謝りたくて……今までの事を謝りたくて』


 どうして急に今までの事を謝りたいと思ったのか、何があってそんな事を言っているのだろう。私は謝ってほしいとは思っていない。これっぽっちも。


『彼女に何もしてこなかった。俺は本当に……情けない程に何もしなかったんだ。婚約者としてちゃんと話をしたり、花を贈ったり、もっと寄り添わあいといけなかったのに……当たり前の事をしてこなかった。だからどうしても謝りたかったんだ』


 次第に苦しい表情にも声にも後悔の念が滲み出ていた。私たちの婚約期間は10年だった。今思えば10年のうちにどれだけの会話をしたのだろう。クリフ様は私に寄り添わなかったと言っていたけれど、私もクリフ様に寄り添わなかった。心のどこかで寄り添う努力をしても無駄だろうと決めつけていた。だから、話すこともしてこなかった。


 そして婚約が無くなった今では、もう私とクリフ様とは関係ないと思っている。本当にもう終わった事なのに。なのにあんな苦しそうに私の名前を呼ぶなんて。私は婚約者と言う立場から解放されて喜んでいた。それなのに今はなんだか、気持ちがもやもやする。今日、街で会わなければ、話を聞かなければ、こんな気持ちにならなかったはず。何度も何度も先程の光景が頭に蘇る。


『この国に来ているのは確かなんだ』


 そして、あの言葉だ。私がここに来ているのは極秘だったはず。知っているのはごく僅かな人たち。私がここにいる事を知っているという事は誰かが話したという事なのだろうか。

 一人で考えてもキリが無い。こんな時、誰かに相談出来たら良いのに。


 私はベットのマットを両手で交互にドスンドスンと叩く。心の中で、お父様、お母様、お兄様と呟いた。せめて兄が側に居てくれたら、相談や助言をしてもらえたかもしれない。


 ……ん? お兄様? あれ? あ、いるじゃない。 一人いるわ! 心強い味方が!! 兄に感謝だわ!! この国に事情を知っている人がいるわ!


 希望の光のようなものが見えたら、そう思ったらなんだか少し気持ちが軽くなる。明日相談してみよう。

 少し安心したからか眠くなってきたので、私はそのまま目を閉じた。




 静かな部屋にコンコンコンと扉を叩く音が響く。その音でシーツの心地良い感触を手に感じながら目が覚めた。数十分ほど眠ったのだろうか。頭がかなりすっきりした。


「レミリア様、いらっしゃいますか?」


 少し元気のない沈んだ声が聞こえた。声の主はクリスティーナ様だ。


「い、いますよ。今開けます」


 扉を開けると心配そうな顔をして遠慮気味で苦笑しているクリスティーナ様がいた。


「どうされたのですか?」

「先程は顔色が優れなかったようだったから心配してたのよ。あら? 寝てたの? 起こしちゃったみたいでごめんなさい。でも少し落ち着いたようね。顔色が良いわ」


 私の少し乱れた髪をそっと優しくクリスティーナ様は撫でる。


「ご心配おかけしました。ありがとうございます」

「明日は学校に行けそう?」

「あ、はい。全然大丈夫です!」


 元気アピールをすると、クリスティーナ様は微笑んだ。


 「じゃあ、また明日の朝、呼びに来るわ」


 そう言うとクリスティーナ様は自分の部屋に戻って行った。




 翌朝、身支度をし、昨日買った眼鏡をして学院に行くため部屋から出ると、丁度クリスティーナ様とばったり会った。


「おはようございます。レミリア様」

「おはようございます。クリスティーナ様」

「その眼鏡、よっぽど気に入ったのね。とっても似合っているわ」


 とても気に入った眼鏡である。なんだって瞳の色が違う色にみえるのだから。今度は青や緑もほしいと思っている。

 私たちが寮の玄関まで来ると、両手を振っているカノン様が見えた。


「クリスティーナ様! おはようございます!!」


 今日も元気なカノン様。けれど丸い眼鏡越しで、私をじっと見ている。


「え? え? ええええ!?」


 え? 何? 何よ!? カノン様の声を張り上げるような驚き声にこっちが一歩下がる。


「え? もしかしてレミリア様!?」


 カノン様は自分の掛けている眼鏡を中指でコツンッと持ち上げ、もう一度私の顔をじっくり見入る。私が眼鏡を掛けていたから、私だと分からなかったようだった。


「あ、おはようございます。カノン様」

「眼鏡をしていたので、一瞬、誰か分かりませんでした。あ、瞳の色も違うので尚更分かりませんでした。凄いです。このレンズって今、密かに流行っているんですよね。どうして色が変わって見えるんですか?」

「ふふふ、凄いでしょ。このレンズ。度は入っていないんだけど特殊加工してあるって言ってたわ。企業秘密だから教えてもらえなかったけど」

「とても似合ってます! 瞳の色が違うと別人に見えますよね!! 素敵です!!」

「ありがとうございます」


 頬を真っ赤にして興奮気味のカノン様を見ていたら、おかしくてクリスティーナ様と一緒に笑った。それから学院の玄関まで三人で行く。


 今日も天気は快晴。だけど静かに吹く風はまだ夜中の冷気を含んだようなひんやりとしたものだった。学院の玄関先では誰かを待っているかのようにダリル殿下とアルト様が立っていた。多分、クリスティーナ様を待っていたのだろう。昨日も寮の門でも偶然を装って彼女を待ち伏せしていたようだし。


「ダリル殿下、アルト様。おはようございます」


 まず、クリスティーナ様が挨拶をした。その後に私とカノン様が挨拶をする。ダリル殿下が目を見開いてじっと私の方を見ていた。先程のカノン様と同じリアクションだ。やっぱり驚いているようだった。


 はいはい、眼鏡ですよね。学院では取っていた方がいいのかもしれないわ。驚いている人に説明をするのも、手間だし。外しましょう。


 眼鏡をはずした。ダリル殿下は私だと分かると「あ、やっぱりレミリア嬢だったか」と呟いた。


「クリスティーナ様、私……エリク先生に用事があるので、職員室に行ってきます」


 朝から玄関で待ち伏せをするぐらいなのだから、ダリル殿下がクリスティーナ様に用事があるのだろうと思い、そう言ってその場から離れようとした。それなのに急にダリル殿下に腕を掴まれる。


「あ、すまん……エリク先生に何の用事だ?」


 ダリル殿下の表情に、少し焦慮感が滲み出ていた。


 え? 何故ダリル殿下にに言う必要があるの? 


 私はダリル殿下の瞳を見た。勘ぐられるような目で私を見ている。その目の意味は何?


「相談したいことがあるので……」

「その相談は、先生じゃないとダメなのか?」

「あ、あの! 手を離してくれませんか? 王太子殿下」

「じゃあ、俺も一緒に行く!」


 はあ!? 


 何でダリル殿下が付いてくるのか、来られても困る。


 クリスティーナ様に用事があったんじゃないの!?


「い、いえ。私一人で大丈夫です!」

「しかしっ」


 エリク先生との相談話を他の人に聞かせるわけにもいかず、どうしたら良いものか顔を青くして考えていると、クリスティーナ様がダリル殿下の腕を引っ張る。


 何が何でも一緒に行く勢いでいると、言っているダリルに「ダリル殿下、教室で待っていましょう。ほら、行きますよ」と促した。


「お、おい。クリスティーナ嬢、待ってくれ」

「昨日お話しましたよね。余りしつこいと嫌われますわよ。レミリア様の顔色も悪くなってしまっておりますわ」

「レミリア様、早めに教室に戻って来てよね」と一言、言い残してクリスティーナ様は、ダリル殿下の腕を引っ張りながら教室の方に向かって行った。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

もし面白いと感じていただけたなら、応援やブックマーク、評価などいただけましたら励みになります。

次回更新は7月28日0時10分頃の更新予定をしております。

また読んでいただけると嬉しいです。

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