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婚約破棄!? 心の中で大喜びしますわ!  作者: 風月 雫
第2章

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第46話 恋をしたことがありますか?

前回と同様、クリスティーナ視点です。

拙作ですが、よろしくお願いします(#^.^#)

「殿下、恋をしたことがありますか?」

「…………」


 ダリル殿下は瞬きもせずに目の前のカップをじっと見つめ何の言葉を発しない。


 無言ですか? そう無言なのですね!! 何も答えないと言う事は……。


「無いのですね?」

「………………」


 目の前のこの男は、この国の王太子殿下で在らせられるというのに、私は海よりも深い深い溜息を吐き出してしまった。

 

 幼い時から私という婚約者がいたから尚更なのかもしれない。仕方が無いといえばそれまでですが、ここははっきりお聞きした方が良いわよね。


「私とレミリア様、どちらが好きですか?」

「!!」


 そんな質問をされると思わなかったのだろう。ダリル殿下は目を大きく見開きました。そして真剣な表情で言う。


「……以前から言っている通り、クリスティーナ嬢のことは妹のように想っている」

「では、レミリア様も同じですか? 妹のように想っておいでですか?」

「いや、それは…………違うと思う」

「違うと思う? はっきりしないですわね」

「だが、レミリア嬢が他の男子生徒からバラをもらったと聞いた時は、こう……この辺りが、胸の辺りが……辛かった」


 ダリル殿下は自分の胸のシャツをぐしゃりと握りしめ顔を歪めた。煮え切らない言い方でだったけれど、物凄く良い感じなのでは……。


 この様子だともう少しで恋に落ちそう、いえ、もう『恋』と言う池に片足を突っ込んでいる状態ですわ。


 私の心の中では小躍りしたくなるほど歓喜に沸く。石に齧かじり付いてでもレミリア様と婚約してほしい、そんな思いではあるけれど。でも、あのレミリア様のの青い顔を見ると、彼女の気持ちも無碍むげに扱うことも出来ない。


「ダリル殿下。今日、一人の少年に会いました。その彼と暫く話をしていたのですが、レミリア様の顔色が段々と青くなってきました」

「そいつが、何かしたのか!?」

「いいえ、特には何も……会話も殆ど私が話しており、レミリア様は一言二言しかお話しておりません。なので、もしかすると、レミリア様は男性が苦手なのではないでしょうか?」

「……え?」


 ダリル殿下の顔色が土気色に変わる。それなりにショックを受けているようだ。恋心を持つ相手に男性が苦手かもしれないと言われたら、ショックを受けるだろう。


「まだそうとは限らないのですが、可能性はゼロではありません。ですので、ダリル殿下。レミリア様には少しずつ慣れてもらえれば良いと思います」

「少しずつ? どうすれば……」

「そうですわね……友人から始めればいいのではないでしょうか。自分を男としてアピールするのではなく、大切な友人として接すれば」

「そんな事をして、何処の馬の骨かもわからない奴に横からかっさわれたら……」


 ダリル殿下は、やっぱりレミリア様の事が好きなんだろうと思う。

 本当に無自覚って怖い。これで、自身のレミリア様への気持ちを認識したら、独占欲がすごいかもしれない。まあ、認識したところでレミリア様があれでは到底、手は出せないはず。


「今のレミリア様はそんな事はないかと……男性と接していて顔を赤らめた所を見ておりませんわ」

「だが……」

「急がば回れ……ですわ。無理に距離を縮めようとして嫌われるより良いかと思います。急いで事を進めても良い事はありませんわ。私も協力いたしますから」

「……分かった」


 やっとここでダリル殿下は目の前のカップに手を掛ける。初めての『恋』という感情に戸惑っているようだった。この恋が実ればいいのだけれど、そのためにも私の協力は惜しまない。


 私も紅茶を一口飲む。ダリル殿下の恋も大切ですが、子爵令嬢の婚約者候補たちの情報も必要ですわ。あの方たちがちゃんと礼儀を弁えた方なら良いのだけれど、国王陛下は私を婚約者にするためにそんな方を選んでいないだろう。


「ところで、ダリル殿下。他の婚約者候補の子爵令嬢とは交流をされていらっしゃるのですか?」


 私の質問に殿下は頭を両手で抑え、はああああ、と長嘆息を漏らす。ダリル殿下の様子からして良い雰囲気はないという想像がつく。


「月に1回程度、二人を招いてお茶会をしている。しているのだが……酷い物だ。足の引っ張り合いだ……あの二人は将来王妃と言う立場は無理がある」

「もう一人の国外の令嬢は? 一度お会いになられたのですか?」

「いいや、国王から令嬢に打診しているようなのだが、まだ返事をもらっていないらしい。会っていも無いから、どんな令嬢なのかもわからない。国王が絡んでいるらしいから、へんな令嬢ではないと思うが、何も知らされていない。どんな容姿をしているのかも一切伏せられている。謎の令嬢だ」


 国王陛下が絡んでいるから余計に心配になる。たまにあの国王陛下はとんでもない事を考える。なのでまともな令嬢じゃない可能性もある。けれど変な話で、ダリル殿下にも何も知らされていないなんて、本当におかしい。もしかすると本当はそんな令嬢は存在しないのかもしれない。もしくは、令嬢の方から良いお返事を頂けていないとか、お返事を頂いてから詳細を教えるようと国王陛下が考えているのかもしれない。国外の令嬢だから、そこまで慎重になっているだろうか。


「クリスティーナ嬢。話は戻すんだが、先程の少年ってなんだ?」

「元婚約者を捜しているらしいのよ。一週間ほど捜しているらしいんだけど、見つからないらしくて」

「はあ!? 元婚約者!? なぜ少年が元婚約者を捜しているんだ!?」

「謝りたいんだって言ってたわ。婚約者らしいことをしてこなかったからって」

「そんなの『元』になってから謝ったって、そいつは謝って何をしたいんだ!?」

「うーん? 寄りを戻す?」

「クリスティーナ嬢は一度婚約解消した相手と寄りを戻したいか?」


 私は暫く考え込んだ。自分から婚約解消をした相手から『寄りを戻したい』と言われてら……嫌だ、戻したくない。逆の場合は? 相手の事は好きだったけれど、解消もしくは破棄をさせられて、時間を置いて寄りを戻そうと言われたら戻す? そんなの私の矜持が許さないわ。


「ありえないわ。戻さない」

「だろ? まあ、そんなことはどうでもいいか。そいつら二人の問題だし、俺達には関係ない」

「そうなんでしょうが、その令嬢が何かの事件にでも巻き込まれていなければいいのだけれど。それで、先程ビアンカにお願いしたの。黒髪で紫の瞳の令嬢を捜してって。少し心配でしょう」

「黒髪? そいつそう言ったのか?」

「ええ、不思議よね。この国で黒髪って言うと王族と血縁関係があるイメージがあるでしょう。だから少し心配なのよね」

「そいつって貴族なのか? 家名は? 爵位は? 婚約者がいたなら貴族か商家だろう?」


 私は家名を聞いていない。見たことのない顔だったから、勝手に貴族や商家ではないと決めつけていた。ダリル殿下の言う通り貴族、商家なら国外から来た可能性が高くなる。国外から、来たならこの国の黒髪は王族と血縁関係にあるとは知らないかもしれない。


「ダリル殿下。私……確認を怠ってしまいましたわ。家名も爵位も聞いておりません。パーティーで見かけない顔でしたから、てっきり平民と決めつけておりました。本当にその令嬢は何かの事件に巻き込まれていないのでしょうか? 誘拐にでもあっていたら……どうしましょう」

「確認を怠ってしまうなんてクリスティーナ嬢にしては珍しいな。まあ、王家の血縁だと思って誘拐したのなら、王家に身代金を要求してくるだろう。そんな話はまだ聞いていない。憶測にすぎないが誘拐の可能性は低いだろう」

「そうですわね。でも心配なので、私の方で捜してみますわ」

「ああ、王家に動きがあれば伝えるよ」


 何もなければそれに越したことはない。私はダリル殿下とそこで別れ、寮に戻ることにした。

最後まで読んでくださってありがとうございます。

もし面白いと感じていただけたなら、応援やブックマーク、評価などいただけましたら励みになります。

次回更新は7月25日0時10分頃の更新予定をしております。

また読んでいただけると嬉しいです。

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