表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
御近所のドラゴン一家  作者: さゆき
PR
15/19

漁師と海竜王5 竜姫の証言

 ダイムズはもともとヨルド市の生まれではなく、魚を捕る『漁師』ではなく魔獣を狩る『猟師』の息子だった、こちらの世界では長男(こども)は親の跡を継ぐのが当たり前、父にも祖父にも才能があると言われ、一人前に成るべく厳しい指導を受けていた。

 15才で住み慣れた北の山里を突然飛び出し、南のヨルド市へ住み着き、漁業組合もとい、網元の屋敷へ押しかけ、植物系魔獣の繊維で編んだ『新しい網』を売り込み、実際に誰よりも巧に使っても見せた。

 当然『知ることの出来ないはずの知識』を抱えるダイムズは、国に目を付けられた。


 ヨルド市互助会からの続報も、代官府に大きな動きは無いようだ、火竜亭(こちら)もお互いの情報のすり合わせというよりは、海竜王(おとうと)の首根っこを押さえている女将さんの方に、説明していたようなものだった。


 途中海竜王本人からも、ダイムズが加害者に(もり)を投げつけた戦いぶりなど報告されて、全員コメントに困ったともさ、だからっなんで海竜王(アンタ)事件現場(そこ)に混ざってるんだよ。


(銛って捕鯨に使う奴ですよね。)

 店内で振り回すには、取り回しが悪いんじゃないかね。

(ムコウでも人力で投げるもんじゃなかったぞ、コッチのは魔海獣用だしなあ)


 人族のダイムズ本人が『人族の自警団』の先頭に立って、身体を張って被害者を取り戻して見せる必要があったのは理解出来るが、人に突き付ける武器じゃない、いささかオーバーキルだ。

 太守に聞こえないように、アラマドと小声で囁きあう。



「ドレイク隊長、お夕食の注文もまだでしたでしょう、勝手に『いつもの』にしましたけれど、一休みなさって召し上がって下さいな、太守様も叔父様も。」

 食事を載せた3枚のお盆と、自分の身体を魔力で持ち上げながら、空中を泳ぐ魚のような滑らかな動きで看板娘(ダナディア)が入ってきた。


 盆の上からふよふよと漂って、ジュウジュウ音を立てる鉄板やスープカップがテーブルの上に並ぶ。


「おお、これはかたじけない。」

「ディーナちゃん」

 太守はまるで孫を見る祖父のように喜んだが、女将さんは行儀が悪いと顔をしかめた。


「はい、ごめんなさいお母様。」

 女将さん相手だと素直に謝ってるけど確信犯でやってるな、魔力量の多い種族は日常の事に気軽に魔法を使うのは、人族で言えば手がふさがっているからといって足で物を動かすのと同じような横着(ズボラ)と言われてしまうようなことなのだ。


 この子は実は歩けないし目も見えていない、それでも女将さんはむやみに甘やかすようなことはせず、夫の姪に当たる養女(むすめ)を我が子と変わらぬ愛情を注いで厳しく育てている。


 もう何度食べたかわからない、火竜王様の手料理という(今更だが)恐ろしい物を平らげて、食後の茶など飲んでいると、ディーナちゃんが海竜王様の左腕の上に座って(オデコ)合わせ(くっつけ)て居るのが見えた。

 本当は酒が飲みたいが、実は第一報が入った直後に王都とヨルド市に高速馬車を『(から)』で走らせている。


 今回問題を持ち込んだのは海竜王様なので、ダナちゃんが転移門を開いてくれる事になっている。

 王宮で謁見を申し込むのは翌朝になるが、馬車が移動した事実は残さなければ。


「お母様、今叔父様に記憶を見せて頂いたのですけど、私この方にお会いした事があります。」

『記憶』?『この方』?叔父さん(かいりゅうおう)に懐いているだけかと思ったら、救出時の様子を見せてもらっていたらしい。


「ダナディアちゃんが加害者貴族の方にどこで知り合ったの?」

「トノアの診療所です、グラヌール公爵は(わたくし)に、御自分を不老不死にしろと要求なさったのです。」


 ああ、言っちゃったよこの小娘(ドラゴン)、身分てのは地雷と一緒で、周囲の土だけそっと取り除いて、後は専門家(おえらいさん)に任せるもんなんだよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ