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御近所のドラゴン一家  作者: さゆき
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12/19

漁師と海竜王2 まずは暴走を宥める所から

 竜王達の一角を占める黒竜の離反の後、今後の事を考慮した神竜王は各竜王の後継者達を手元に集め自ら教育を施した。

 集められた彼らはお互いを兄弟と呼び、神竜王と神竜王后を父母と呼んだ。

 元々人族に比べ個体数が少なく、力の強い者同士での婚姻が多かった竜王達は、従兄弟や、はとこでもほぼ兄弟と同じ位に血が濃かったこともある。


「せっかく来てくれたんだもの、店先じゃなくて中へどうぞ。」

「いえ、義姉(ねえ)さん、今は急ぎますので…」

 夕食時もとっくに過ぎて、周囲の飲ん兵衛共が程よく出来上がっているとは言え、取り合えず耳目(じもく)の有る店内から居間へと移動し(おいたてて)、事のあらましを確認した。

(この時、先を急いで渋る義弟(かいりゅうおう)に、笑顔で迫る兄嫁(おかみさん)がスゲェ怖かった。)


 要約すると根拠の無い噂に踊らされた老貴族(モウロクジジイ)重犯罪(ヒトクイ)を実行しようとして、それをヨルドのダイムズが防いだらしい。


 第一報が届いた時点で、誘拐と殺人未遂という事件そのものは最悪の結果は阻止されていたが、身分制度の悪しき弊害で、被害者を救出した人間(ダイムズ)の方が身柄を拘束され、本来犯人である加害者が踏ん反り返る、あべこべの状況になっていた。

 それを本来正しく裁くべき、街の代官は居丈高に喚き立てる権力者に抵抗出来ず、自身が海の民(メロウ)と自国との戦争の火蓋を切ろうとしている自覚が全く無いという体たらくだった。


 ヨルド市はコーラデス伯爵領内第二の都市で、市内の、正しくは伯爵領内の犯罪に、本来何の関わりもないエスタル市の警邏隊長が介入する権限は無い。


 海竜王はまずドレイクを連れて王城(内!)へ転移し、国王(!)に事情説明をした後、王都から高等司法官を伴って転移魔法(!!)でヨルド市へとんぼ返りするつもりだった(……)。


「全部ダメです、やめて下さい。」

「そうね、全然ダメだわ。」

『予定』を聞いただけでへたり込みそうになりながら、ダメ出しするドレイクに、女将さんも厳しく同意する。


「王国側が黙認していても、貴方はこの国に無断で侵入しているのよ、確たる身分が無い事では庶民以下だわ。事前の断り(アポイントメント)無く国王と面談なんて礼儀を(わきま)えない真似はやめて頂戴。」

 実の所女将(おかみ)さんには、この国に住む許可も貴族の身分も有るらしいが、書類が古すぎてややこしいから出すのが面倒、だそうだ。


「私は所詮一介の騎士です、貴方に同行しても身許の保証になりません、王城内にいきなり転移などしたら暗殺者か、戦争をしかけている(ケンカを売ってる)、と誤解されても文句は言えませんよ。」

 王国に仕える立場としては、王軍と魔法結界に護られた王城の警備を紙の様に破られるのも複雑だ。面目の潰され具合ではそれだけでも戦争の理由になりうる。


「必要ならば戦争(それ)もやむなしと思っています。」

「ダイムズさんの無実の釈明が先でしょう、目的をはきちがえないで。何のために彼が今も拘束を受け入れていると思っているの。」

 ヨルド市の互助会会長の財産は人脈だ、ヨルド市で今後暮らせなくなるどころか、国ごと亡くなったら彼を困らせるでは済まない。

どんなに人間そっくりに変身していても、竜は竜、さりげなく母国が滅亡の危機です。(笑)

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