意味?
「殿下」
グレイス様が言った。
「大人しく帰ってくれますね?」
「もう少し待ってよ」
「……何を見たいのですか?」
「海」
「それならば、遠見の術で見られるでしょう」
「そんなのつまらないよ」
殿下は海へと視線を向けた。
「実際の海を見て、感じて、そこに意味があるんだよ」
「……殿下の言う“意味”とは何ですか?」
「分からない?」
「分かりません」
「そう」
殿下はくすくすと笑った。
「おまえには分からないだろうね」
グレイス様は無表情だ。
「君には分かるかな?」
突然、殿下が私のほうを向いた。
「……え!?」
(意味? 意味って……?)
「私が、なぜ海を見たかったのか、分かる?」
「……殿下は、海の向こうの大陸に行きたいのでしょうか?」
訊かれたことの答えになってないな、と思ったけど、殿下が気分を損ねた様子はなかった。
「うん。行きたいね」
それで? というような視線を向けてくる殿下に緊張しながら、私は必死に考えて言った。
「術を使って行けないか、考えている、とか?」
「うん。考えてるよ」
それで? というように、また視線で促してくる。
(意味……直接海を見に来る意味……)
私は頭の中をぐるんぐるんさせながら、殿下の問いに答えようと必死に考えた。
「……直接、ここに来なければ、術が発動しないとか」
「うん、そうかもしれないね」
それで? とまた次を促してくる。
(この質問タイムはいつまで続くの〜!?)
私の頭の中はもうごちゃごちゃだった。




