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星の降る街に  作者: 霧島
第8章
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91 たおれる

「いただきます」


食べ始めると、なぜか多方向から視線を感じる。


「少し食べる量が増えてきたな」


食卓の私の正面に座る、櫻井さん。

柔らかな表情で、私を見つめる。


「お腹が空いたのは、相変わらずわからないのですが、美味しいのはわかりますし。食べすぎてるぐらいですよ」


櫻井さんの船に移ってから、出される食事が美味しくて、食べすぎて体型が変わりそう。


今はそっちの方が心配なのよね。


「ケイは食べすぎぐらいがちょうどいい。身体の線が細すぎる」


「体型が変わるのが心配なんだろ?」

隣で黙って食べていた隼人が、私の心を見破る。


隼人の指摘に声を出さずに、頷く。


「・・・だろうと思ったよ」

隼人の大きな手で、頭を撫でられる。

隼人だけは、ごまかせない・・・。


「ケイさん、食事はちゃんとカロリー計算してあるから大丈夫だよ。完食しても体型は変わらないから」

くすくす笑いながら、海唯さんがそういうと、


「体力も回復させるためには、食べた方がいいんです」

真さんが、珍しく口をはさんできた。


「ケイさんは、皆さんより回数を多く食事をとるようにしてありますので、大変かもしれませんが、頑張って食べて下さいね」


そう言う真さんに微笑まれては、頷くしかない。


今は、お腹が空いたのが分からない私の食事や生活を、内科医としての真さんにきっちり管理されている。


真さん、speranzaでトップクラスの内科医の先生だもの、凄いよね・・・・・・。



バタンッ。



「ケイっ」

隼人が、隣の椅子に座っていたケイが突然椅子から落ちるのを支えようにも間に合わず、


「ケイさんっ」

床に落ちるぎりぎりで真が滑り込みケイの身体を抱えこんだ。


「間に合った。海唯」


海唯も、先程ののんびりした状態とうってかわって、


「真、そのまま治療室へ運ぶぞ」


真は頷きケイをそっと抱き抱え、立ち上がる。


「旦那さま、治療室にケイさんお連れします」


数人のSPと共に、バタバタと部屋を出ていった。




「あいつ、さっき食事前も突然部屋で倒れそうになったんですよ」


静かになった部屋で、ポツリと隼人が呟く。


歩いていて何でもない所で、突然倒れたりふらつくことが、1日の中でも数回ある。

意識が戻るのも、すぐだったり数時間という時もあるので、隼人は心配で仕方がない。


「回数が増えてきてるな」

櫻井さんも何か考え込むように、ため息をついた。


「明日にはforestaに着くが、何もなければ次はsperanzaだ」


「forestaは、燃料の補充や点検含め半日で出発する」


「半日、ですか」


「ああ、少しでも早く国に戻ってケイの治療に入りたい」


「やっぱりケイ、症状が進んでますか?」


「多分な。あの2人がついてるから大丈夫だと思うが」


「ケイを見てると、心配で不安で仕方がない・・・」


speranza王族の軍のトップにいる櫻井さんが、目の前のソファーに座って頭を抱えている。


俺と一緒で、ケイのことを心配してるいつもの自信ありの櫻井さん。


真さんが、今までご主人様は立場もあって、自分の感情を外に出さなかったのが、特にケイさんと出逢ってからは、感情ダダ漏れで思っていることが手に取るように良くわかるようになりました、って言ってたし。


今あえてご主人様の弱点と言ったら、ケイさんでしょうね・・・と。


目の前の櫻井さんを見ると真さんの言っていたことが納得できる。


そして、櫻井さんが本気でケイのことを愛していることも。


「ここにいても埒があかない。治療室行ってくる」

立ち上がる櫻井さん。


「俺も行きます」

櫻井さんが頷き、ケイのいる治療室に向かった。

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