90 男たち、それぞれの想い
「意外と早かったな」
隼人の親父さんから、追っていた奴らを突き止めたと連絡が入った。
1~2日で片付けると。
「どう片付けるか、楽しみですね」
「ああ。今回は隼人だけでなくケイも絡んでるし、普通の片付け方はしないだろ」
「ええ。きっちり片付けて頂きましょう。どちらにしても、奴らの最後は宇宙の藻屑行きが決定していますが」
「もちろん。だが藻屑になるまでが大変だぞ、奴らも」
「俺も、もしその場にいれば、何するかわからんが」
「私もですね」
「・・・真が加わったら、それはそれですざまじい修羅場だな」
「ご主人様、誤解を招くような言い方は困ります。何を根拠に」
「俺は、嘘は言わん。本当のこと言っただけだ」
「まぁ、これでひとつ片付く。隼人も肩の荷が降りるだろう。そもそも、今までの事件も自分が原因じゃなかったんだ」
「それに、これ以上ケイが巻き込まれるなんて、俺が許さん」
「奴らの片付けは、隼人の親父さんたちに任せておけばいい」
「それで。何とかなりそうなのか?海唯」
目の前で、ふわふわのソファーにうもれ、資料を読みふけっている海唯に声をかけると、顔を上げ、
「これ以上、ケイさんの頭の細胞が死滅しなければ」
長身の身体を起こす。
「本当は、今生きてるのが奇跡的 。なぁ、真」
「ああ、最初倒れているケイさんを見た瞬間、99%無理だと思った、だが」
「残り1%に俺の命をかけても助けなくてはと思ったよ。大切な方だからな」
「真がいなかったらケイさん、今ここにいなかったんだ。偶然が重なった奇跡だよほんと」
「ケイがいなくなったら、1つの星丸ごとなくなってたぞ」
櫻井はソファーに座り、タバコに火をつける。
「手加減はなしで」
櫻井の横に立つ真も、ニッコリ微笑む。
「まったく相変わらずだな・・・。何気なく言ってるけど、2人揃うととんでもないよね」
「でも、本当はこれからが大変なんだよ、ケイさん。この先ずっと後遺症に悩まされるんだから。可哀想に」
「その治療のために、国からお前を呼んだんだろうが」
「まあね。まずは、頭は国に帰ってもっと詳しく検査してみないことには先に進めない」
「真、内蔵の方はどうする?」
「同じくだな。今はケイさんの体力にかけるしかない。検査して良くなる方法が解れば全力で治療する」
「これ以上悪くさせないさ。俺の医師生命にかけてもね。ケイさんは全力で守る」
「2人がついていれば心強い」
吸っていたタバコをもみ消すと、
「だがな、海唯」
「なに?」
「ケイは渡さない」
「おお、王子様、本音だね。ケイさんも大変だよな。色んな男に思われてさ。そのおかげで命まで狙われて身体を悪くしたんだから」
「でも、尚人」
「女性を好きになるのは自由だろ。王族としてではなく、俺も1人の男として、参戦させてもらうよ」
「さてと。様子を見に、ケイさんの所に行ってくるわ」
そう言い、海唯は部屋から出て行った。
「まったく・・・」
海唯が出て行った扉を見つめ、真はため息をついた。
御主人さまを見ると、窓際に立ち、厳しい表情で外の景色を眺めていた。
真の嫌な予感が当たったようだ。
海唯の存在は、これから治療に入るようになれば、きっと誰よりも御主人様の気持ちを不安定にさせるだろう。




