表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
星の降る街に  作者: 霧島
第8章
86/92

86 なぜここに?

3時間後なんて、すぐに時間が過ぎてしまった。


今は隼人に肩を抱かれ、splendoreの地に降り立っている。


船の中で、岸田さんがsplendoreの事を教えてくれた。


この星は、周辺の星の富裕層の別荘が多いとか。気候も穏やかで過ごしやすいらしい。

リゾート地でもあるのね。


岸田さんたちが、ここの開発にも関わっていると聞いた瞬間、隼人の顔つきが変わった。


「櫻井さんたちには、他を片付けるからそちらは頼みますって言われたが」


「言われなくても、身内のことは内々でちゃんと片付けるさ。残さずね」

うっすら微笑んだ岸田さんの笑顔が怖かった。


岸田さんたちは、船は降りないと言っていた。


「俺たちが行かなくても、櫻井さんたちがいれば、間違いなくSPもいるだろ?」

確かに。私たちと一緒に旅をしてきているSPもいるし。


「でもケイさん、SPが居るからって安心したら危険だから。絶対隼人から離れたらダメだよ」

と念を押され、頷いた。



リゾート地のせいなのか、桁外れの多さで並んでいる飛行船の中でも、一際目立つ飛行船から二人の姿が現れた。

周りの人達も二人の動きに注目している。



やっぱり目立つなぁ・・・あの二人。

櫻井さんはもちろんのこと、隣にいる真さんも負けてはいない恰好よさだもの。内面は別として・・・。

ここに隼人が入っていたら、さらに周りは黙っていないと思う。


なんて、ぼーっと考えていたら


櫻井さんたちも歩き出して、すぐわたし達がわかったようで、


「ケイ」

近くに来た櫻井さんが、人目を気にせず私をギュッと抱きしめたその瞬間、櫻井さんの香りが私を纏う。


「・・・櫻井さん」

抱きしめられているこの状況にどうしていいのかわからない。


「心配で胸が張り裂けそうだったよ」

私の耳元で、熱い息と共に吐き出されたハスキーな低い声に、私の心の奥の芯が震え全身が赤く染まる。


「私は・・・大丈夫です」


胸元でそっと顔を上げると、櫻井さんの潤んだ瞳で見つめられる。

それも抱きしめられたまま。


「ケイ、痩せたな。気がつかなくて済まなかった」


私は、無言で頭を横に振る。


「私自身でさえも、時間がたてば良くなると思っていましたから。ご心配かけてすいません」


「医師が到着してる。よく診て貰うといい」

私の頭のてっぺんにキスをすると、抱きしめられていた腕から開放された。


「真」

後ろに控えていた真さんが、櫻井さんの横に来る。


「準備は?」


「完了しています」


真さんの返事に頷くと


「ここに居ても危険だ」


隼人が私の肩をだき寄せる。力が入っているのは気の所為だろうか。


「いくぞ」


出口に向かい歩きだした。




「もうすぐ到着します。別邸にお連れすることは構いませんが、ケイさんには?」


隼人を始め、ケイ以外は、ご主人様の立場を知っている。

どうやってケイさんに説明するつもりだろうか。


「もういいだろう」

ソファーに座るご主人様が、穏やかに微笑まれる


自分自身の周りについている煩わしいものなんていらない。

一人の男性(オトコ)として、ケイに見てもらえるのならそれでいい。


「薄々気がついて来てるみたいだし、わかるのも時間の問題だからな。それに」


「身分がバレたから、対応が変わるものでもないと思うが」


これは、もう確信に近い。

ケイは、驚くかもしれないが、そんなもので変わったりしない。


「では、別邸に向かうよう手配いたします」



空港に横付けされた車に、運転席は真さん、後部座席は櫻井さん、私、隼人が座った。


外の景色を見ていると、splendoreは、今まで寄ってきた星と全く雰囲気が違う。


流石富裕層が来るだけあって、地球で見ていた豪邸なんて問題じゃないくらいのレベルで別荘だと思われる建物が並んでいる。


「建物が珍しいか?」

私の右手を櫻井さんの手が柔らかく触る。


「規模の違いに驚きです」


「この星じゃ、このぐらいは普通だな」


「えっ、そうなんですか?」

これ以上って想像つかない・・・。


ある程度走ると、お城のミニチュアみたいな、それでも桁外れに大きい建物が見えて来た。


あれ?真さん、その建物に向かってる?そう思いながら見ていると、


私のカンは当たったようで、建物に吸い込まれるように車は入っていった。


唖然としていると、建物の正面玄関前に車が止まった。


「櫻井さん、ここは?」

ホテルとはまた違った雰囲気だけど。


櫻井さんは

「後で説明するよ、とりあえず降りよう」

私の頭を撫でながら、笑顔で答える。


「ケイ降りておいで」

先に降りた隼人に呼ばれ、手を伸ばすと、そのまま引き寄せられた。


玄関には、数人の迎えがいたが、通りすぎる櫻井さんに頭を下げ


「おかえりなさいませ」

と声をかけていた。


疑問を感じたが、真さんに


「さぁ、行きましょう」

と声をかけられ、建物の中に足を進めた。


建物の中に入ると、一瞬足が止まった。


「凄い・・・」

装飾やエントランスの荘厳な感じ。


「お城だわ・・・」

隣で真さんがクスクス笑っている。


「後でゆっくり御案内しますよ。まずは医師に会いに行きましょう」


歩いて行くと、大きな扉が目に入った。


「ここです」

真さんがノックをすると、中から返事があり、部屋に入る。


櫻井さんが、数人の方たちと話をしていて、こちらに気がついた。


「ケイを診てもらう医師だ」


「初めまして、鳴沢ケイです」

頭を下げると


ふふっと笑う声がして、


「ケイさん、2度目だね。久しぶり」


びっくりして、顔をあげると、目の前にいたのは、深い碧色をした瞳の。


「・・・・・・あなたは」

あまりの衝撃に、それ以上の声がでなかった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ