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星の降る街に  作者: 霧島
第8章
85/92

85 splendore(スプレンドーレ)

「真、ケイの状況は?」


先程の、電話の話からだろう。


「話を聞いた限りでは、正直どこまで戻せるのか予測がつかないです。厳しいですね」


「そうだよな・・・」

大きなため息をつく。


ケイさんが、俺に言ってなかったと聞かされた症状が、疑いはあったけれど、思ったより酷い。


ご主人様と電話を代わり、すぐに本国へ連絡をし、医師がもうすでに出発している。



「いつ合流できる?」

表情は変えないが、苛立っているのが手に取るように解る。


近頃のご主人様は戦場と違い、ケイさんのことになると、途端に余裕がなくなる。

感情が見えるようになったのは、喜ばしいことではあるのだが。


splendore(スプレンドーレ)【輝き】に着くのがわたし達の船は3時間後。本国からの医者は、1時間ほど早く着いている予定です」


「3時間後か・・・」


「本国でも、とてもケイさんのこと心配されていまして」


本当は、医師の派遣も軍内部のことなので、ご主人様の一存で動かせるのだが、後のことを考え報告はさせて頂いたのだ。


本国へ報告をすると、この先のことを考えて、プライベートの医師を送ると言われた、と 、ご主人様に伝えると、


「プライベートのか?」

一瞬ビックリされたが、


プライベートの医師。

軍ではなく王室が抱える国の最高クラスの医師。

普通ならそこまで関わることが無いはずだが、今回はご主人様が絡んでいる相手の方。

でも、その方が情報が漏れなくていい。

ケイさんの存在をこれ以上広げるわけにはいかない。


「確かに、その方がいいな」

ご主人様も、少し考え送られた意味を納得する。


すると、


「俺たちが星に降りるってことは、追手も今回も必ずsplendoreに来るだろ?」

一瞬、目を細めフッっと口角をあげ笑う。

男の自分でも惚れそうな、ドキッとするような表情をご主人様は時々するが。


これは何かたくらんでいる・・・。


「隼人のほうは、とりあえず親父さんたちに任せて、こっちはこっちのやり方で先に片付ける」



「奴らも懲りてないようだからな。二度とケイに関われないようにしてやる」


真は、そんなご主人様の目を見て、表情は変えなかったが、背中に冷たいものが流れた。


ケイさんのことで、tenerezzaもvulcanoも、ご主人様の激情に触れたようだね・・・。


俺はもちろん止める気などさらさらないが。


どうなることやら。




「splendore?」


「そうだ。そこにあと3時間ぐらいで着く。緊急で泊まるらしいぞ」


ケイを部屋に置き、真さんに、岸田さんへケイのこと伝えにきたら、既に事情を知っていた様子。



「さっき真さんから連絡があってな、今親父さんと話し終わった所だ」


「ケイさん、後遺症が酷いらしいな。隼人、気がついていたのか?」

隼人を別室へ誘い、話し出す。


「そうですね。食事の量が増えないのは凄く気になってましたが、本人に言うと気にすると思い、口にださなかったんです」


「でももっと早く、真さんに相談すべきでした」

がっくりと肩を落とす。


「まぁ自分を責めるな。お前が悪いわけじゃない。この先望みもある」


「えっ?」

顔を上げると、


「今、splendoreに向かって来てるのは、speranza王室お抱えの医者だ」


「はっ?」

speranza王室お抱えって・・・。


「国王直々手配されたんですか?」


「そうみたいだぞ」


声にならない。

てっきり、軍医だと思ってたから、驚いたなんてもんじゃない。


「隼人、その人達が来るということは、櫻井さんがケイさんのこと、本気なんじゃないか?」


岸田さんも真顔で隼人に尋ねる。


「多分・・・間違いないですね」


櫻井さんのケイに対する気持ちが、周りに溢れてるし、最近はそれですら隠そうとはしていない。


「最終的に選ぶのはケイですが」


「俺は、手放すつもりはないです」


「その気持ち、しっかり持てよ。ケイさん、今非常に不安定だ。何処でどう動くかわからないからな」


「降りれる準備しておけよ」


そう言うと 、隼人の頭をクシャっと撫で、部屋を出ていった。



「splendore?」

急いで部屋に帰ってきた隼人は、ケイを抱きしめ、わかる範囲で話をする。

医者は、真さんの知り合いということで。

本当のことは、まだ先にする。

いずれはわかることだが、今は言うわけにはいかない・・・。


「俺はずっとケイの傍にいる」


「うん」

抱きしめていた腕を解き、ケイの不安げな瞳を見つめる。


「どんな結果になっても、俺から離れるなよ。もちろん俺も離さないけどな」

ケイの頬に流れる涙を指でふく。


「ケイ、愛してる」


抱きしめ 唇を重ねた。



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