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星の降る街に  作者: 霧島
第8章
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80 親子の絆

「この先、列車ではなく、船で移動ということは、そのまま終点のsperanzaまで?」



「そうだ。ケイさんも、いまの状態では列車移動は無理だし、真さんに頼まれたからな」


ケイは、意識が戻っても、まだ身体が思うように動かない。

本人も、すごく不安に思ってる。


真さんは、薬の後遺症で、時間が経てば良くなるって言っていたが。


「櫻井さんは、本当は自分の船にケイさんを乗せて行きたかったみたいだぞ?」



「離れたくないのは一緒だよな、隼人」



「・・・・・・・・・」

櫻井さんの思いを改めて知って、言葉を失くす隼人。




「結局、国の事情でダメらしいけどな。自国以外の人間は乗れないらしい、良かったな」


ふふっ・・・、と笑顔で言葉を放つ、が、


「このまま、何も無ければ 地球時間で3日後には終点のsperanzaに着く」


すぐに笑顔が無くなり、真剣な表情で、話始める岸田さん。



「この意味が解るか?隼人」



「はい、他からの攻撃などがなかったら・・・ということですね」



「そうだ。今の話で、ケイさんのことで頭がいっぱいだと思うが、お前も当時者だ。しっかり奴らの標的になってるんだからな」


確かにそうなんだが・・・。



「speranzaに入ってしまったら、相手は手を出しにくくなるだろうし」


「何より、周りのガードが今よりさらに固くなる」


固いどこではない。


speranza軍の、櫻井さんたちが相手で、手出し出来るチャンスはないと思う。


そう考えると、やっぱり危険なのは移動の時・・・か。



「speranzaにつくまでに列車の駅と別に、船だけが立ち寄れる星があるんだよ」


手元に持っていた資料を隼人に渡す。


資料に印があるのが、停泊星なんだろうか。



「残念ながらその中のいくつかの星に、俺たちも開発に関わってるからな」



「え、・・・ということは?」

一瞬隼人の表情が曇る。


感のいい隼人。

櫻井さんが言っていた通りだ。


「そうだ。隼人の思った通りだろうな」



「奴ら、そこベースで間違いなく、仕掛けてくるだろう」


それを聞いて、隼人は、大きなため息をつく。


「櫻井さんたちには?」

あの人たちが、知らないわけはないと思うが。


「もちろん、彼らも少なからず情報は掴んでた」


「やっぱり」

speranzaの情報機関も動いてたのか。


「でも、水面下で探ってても、奴らの動きまでは掴めてないらしいぞ?」



「この先、情報を掴むのが、うちとどっちが早いかな」


岸田さんは、タバコに火をつけながら外に目を向ける。


「彼らが、どう思っているのかわからんが、うちの最高の情報機関を、舐めてもらっちゃ困る」


「speranza軍の情報機関も、櫻井さんがTopだからな、もちろん凄いと思うが」



「地球の情報機関は、それ以上の力を持っている」


タバコを消し、まっすぐ隼人の瞳を見つめる。


「・・・岸田さん」



「隼人、お前を狙う奴らの最後の姿、ちゃんと見ておけ」



「それと、親父さんの本気の気持ちをな」


「え、親父の?」

急に、違う話のようで驚く。


「ああ、お前親父さんのこと、小さい頃から良く思ってないだろ?」


「・・・はい、良く分かりましたね」


コツンと岸田さんが、隼人の頭を小突く。


「当たり前だ、どれだけ近くにいたと思うんだ。親父さんよりずっと一緒だったと思うぞ」


「その中で、隼人の想いが分からないわけないじゃないか」


そう、岸田さんは親父が仕事で留守の間に、いつも側にいてくれた。



「親父さん、仕事をしながら家のこと、特に隼人のことはいつも気にしてたんだ」


「自分が特殊な仕事についてるからな、隼人が狙われる度に、やった奴らのその後は悲惨だったぞ」


「え?」


初めて聞く親父の話に頭がついていかない。


「社会的制裁をして、立ち直れないようにしやがった・・・」

岸田さんの素がでる。


「命奪わなかっただけよかったぐらいだよな」


さらっと凄いことを口にする。


「隼人の事になると、周りが止めなきゃいけないくらい人格が変わるんだよ、お前の親父さん」


「隼人を可愛くて仕方ないのに、表に感情を出せない不器用な人なんだ」


「親父・・・」

少し前、櫻井さんが言っていたことを思い出した。

(わだかま)りは、いずれとれるだろうと。


「今回のことの陣頭指揮を執ってるのは、親父さんだ」


「そうなんですか?」


「ああ、ここに来れないだけでな。しっかり情報掴んで動かしてる」


「多分、他の仕事手つけずだな、きっと。まぁいつものことだ」


クスクス笑いだす岸田さん。


「他の仕事に支障が出る前に、片付けるからな、隼人」


親父の思いを知り、改めて腹が決まる。


「はい」




夜が明けたら出発する。


俺は、負ける訳にはいかない。


親父のためにも。



そして、愛するケイのためにも。


目の前で、寝息を立てて眠るケイの唇に、そっと唇を重ねた・・・。


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