79 合流
「ご主人様、どうされましたか?」
ケイの寝ている部屋から帰ってきてから 言葉なく、厳しい表情で外を眺めていた櫻井。
「ケイの意識が戻ったが。さて、この先どうするか」
「今のケイを傍らから離したくない、でも船には乗せられないしな・・・」
国の決まりで、自国以外のものは船には乗せることは出来ない。
「ご主人様ご心配には及びません。先程ケイさんと隼人を、岸田さんにお願いしてきました」
「船でいらっしゃっていますし、どちらにしても、ケイさんの今の状態では、列車移動は無理ですから」
「真、いつの間に・・・」
参謀長の真は、いつも冷静に状況を読み、手を打つので、どれだけ今まで助けられてるのかわからない。
優秀な相棒・・・。
「岸田さんが、もうすぐこちらにいらっしゃるはずですが」
話をしていると、ドアをノックする音が。
「岸田です」
「お待ちしておりました。どうぞお入り下さい」
真が、入り口の扉を開け声をかける。
「失礼いたします」
軽く頭を下げ、部屋に入り、奥の、ソファーに座る櫻井の前に立った。
「岸田です。
この度は色々とお世話になり、ありがとうございました。隼人の父親も大変感謝しておりました」
と言い深々と頭を下げる。
櫻井も立ち上がり、
「こちらの方こそ、国絡みの騒動に二人を巻き込んでしまって申し訳なく思っています」
そういうと、櫻井も頭を下げた。
「ケイさんの体調も落ち着いてきてほっとしました。一時はどうなるかと。真さんの処置が遅かったら、命も危なかったのでは?」
テーブルを挟み、櫻井と岸田がソファーに座り、岸田が話始める。
「もう数分薬が入るのが遅かったら正直な所、ケイさんの命はなかったですね。
医療関係者でも、滅多に会うことのない劇薬でしたから。
もし万が一のことがあったら、それこそ星1つなくなると思います」
櫻井の横に立つ、真が涼しい顔で説明する。
「・・・彼女の様子を見るだけで、今回の薬の醜さがわかります」
「その後、vulcanoは片付きましたか?」
と、目の前の櫻井に問いかけると、
「ええ、もちろん。私は負け戦はしませんから」
櫻井が、顔色を変えずに頷く。
「それはよかった。隼人の件もどうなってくるかわからないし、一つでも厄介事はない方がいい」
「隼人の現場での動きが、素人を越えてますが、岸田さんが隼人に直接、護身に教えられたのですか?」
黙っていた櫻井が口を開く。
「いや、私が教えた訳でなく、訓練所に連れていって、鍛え上げてもらったのですよ。父親の仕事上、彼も身辺が大変だったので」
「そのようですね。事情は隼人から聞いてます」
「隼人は、そこらのチンピラよりは強い筈です」
そういうと、真が入れたcupに口をつける。
「ああ、納得ですね。
後は経験次第ですが、今の隼人は、技術以前に抜群に勘がいい。」
「あの父親の息子ですからね。そうかもしれません。
櫻井さんに認められるとは、隼人も大したもんですな、ハハハ」
と岸田が豪快に笑う・・・と。
「現在の状況は?」
岸田の言い方に意味深に微笑む櫻井が、岸田に尋ねる。
ふと真顔になった岸田は
「そちらでも情報を掴んでいると思いますが、油断できない状態です。
相手も捨て身できてますのでね。
隼人の父親も、非常に心配しているところですが」
「まぁ、自分が来たからには思い通りにはさせませんがね、奴らには」
「隼人とケイさんを狙う以上、容赦しません」
視線をまっすぐ櫻井に向けると、
「もちろん、こちらも全面協力しますよ」
「ケイを狙う以上、こちらも相手には容赦しませんし、するつもりもないですが」
そう言い切る櫻井の強い視線に動けず、岸田は釘付けになる・・・。
この人の持っているオーラが・・・凄すぎる。
流石、一国の総司令官、微動だにしない。
彼女への思いの強さをひしひしと感じる。
「負ける戦は、御主人様はいたしませんので」
参謀長の真も笑顔で、さらりと言葉を繋ぐ。
この二人の強烈なオーラを感じた岸田は、隼人には悪いが、ケイさんを
もしかしたら櫻井に奪われるかも・・・と思わずいられなかった。
「ありがとう、隼人」
ケイの食べ終わったあとの片付けをしている隼人に声をかける。
「今更どうしたんだ」
片付けを終え、ケイのベットサイドに腰をおろし、優しく頭を撫でる。
「私が意識がない時も、近くに居てくれたんでしょ?」
「当たり前じゃないか」
そう言うと、頭にあった隼人の両手が頬に降りてきて、目が合う・・・。
「俺のお姫様が目を開けなかったらどうしようかという不安で、怖くて離れられなかった・・・」
「でも・・・、意識が戻って本当に良かった」
「ケイ」
目が潤む隼人と、自然と唇が重なり舌を絡めだんだん深くなる・・・。
隼人は夢中でケイを抱きしめた。
隼人の体温を全身で感じることができることが、嬉しくて、ケイも手を伸ばし隼人の腰に抱きついた。
「ケイ・・・愛してるよ。
あんな薬で、もし意識を取り戻さなくて白雪姫のように、kissをしたら目が覚めるのなら、いくらでもケイにするよ」
「私も、愛してる・・・」




