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星の降る街に  作者: 霧島
第7章
72/92

72 buio/騙しあい


「まずは・・予想通りだな」

ソファーに座り、タバコの火をつける。



「昨日 speranzaから・・・って聞いたときは」


「あまりにも、ストレートなアプローチで、思わず笑ってしまいましたが」



「でも、あえて笑ったのは、何か狙いがあったんだろ? 」

ソファーの横に立つ、真に視線を送る。



「ええ、とりあえず声をかけてきたスタッフの反応とその周辺の動きを見たかったので」



「多分、相手も荷物を送ったということは、こちらの反応も見たいだろうと。鼻で笑ってやりましたが」


「相手の動きは?」



「もちろん。確認できました」



「それにしても・・・まったく、なめられたものです」


「でも残念なことに、ケンカをふっかける相手を間違ってます」



「奴ら、私達に消される覚悟ができているんでしょうか・・」


ニヤリと口角をあげ笑う。



「どうだろうな」



「後々煩いので、この際きっちり片付けましょうか?」


「国を、ケイさんを、守るためにも・・」



「そのつもりだ。もちろん、ケイには指一本ふれさせない」



「本国からも、俺の一存に任せる、と言ってきてるが、言われなくても、決着つける」



「真、頼んだぞ。あと、隼人も必ず戦力になる」



「そうですね。隼人さんの優れた身体能力は認めています。これで、経験がプラスされれば、怖いものなしです」



「ああ・・間違いない」




「とりあえず、この先は、相手の出方次第だな」


「そうですね」



「対応したスタッフは、関係なかったんだろ?」


「はい。彼は普通の従業員で、無関係でした」


「ただ・・」


「この部屋を中心に、予約した部屋中に、盗聴器があったので、どれだけの人数が動いているか、今確認中です」


「ケイたちの部屋にもあったか」


「はい、かなりの数で」


「姑息な真似を・・・・」



「でも、待てよ」


難しい表情をして考えていたが、何か思い付いたように顔を上げる。


「どうされました?御主人様」


「フッ・・これは、利用しない手はないな」


「真、外した盗聴器どこにある?」


「手元にありますが、全部外すと怪しまれるので、一つの部屋だけは、取り忘れっぽく、まだ生かしてあります」



「ちょうどいい。それ使うか」



「まぁ、奴らも素人じゃないからな、すぐわかると思うが」


「申し訳ないが、こちらも、素人じゃない」


「ふふっ、そうですね」


「speranzaの情報機関をなめてもらっては困る」



「よし、少し相手を泳がせるか」


「帰ってきてから、隼人たちと打ち合わせしよう」


「はい、かしこまりました」




予定時間になり、準備をしてフロアーにいくと、櫻井さんと真さんが待っていた。


「すいません、お待たせしてしまって」

もう少し、早めにこれば良かったと後悔する。



「いいんだよ。俺たちが時間より早かったんだから」


櫻井さんがニッコリ微笑む。


余裕だなぁ、狙われてるのわかっているのに。



「ケイ?」


隼人に顔を覗かれ驚く。


「ん?」


「ボーッとしてどうした?」


「櫻井さん余裕だなぁって思ってたの。さっきの事件もあった後なのに」


「ああ、大丈夫だろ。手はうってるはずだから」


「櫻井さんより、ケイの方が心配だからな、俺は」


「ありがとう、隼人」


「鍵も、私が持たなければこんなに大騒動にはならなったと思うけど、今さらそれも関係ないし」


言って状況が良くなるなら、いくらでも言うけど。


「一番いいのは、これ以上血を流すことがないようにすることよ」


「ケイの言う通りだな」

気がついたら、櫻井さんが私の隣に立っていた。


「無駄な血の争いは悲しみを生み出すだけだ」



「ただ・・」



「相手次第では、戦わなければいけない場合もある」


櫻井さんの鋭い視線を感じる。


「ケイは必ず守る、心配するな」

櫻井さんはそういうと、私の頭をなで、


「さて、腹も減ったし出かけるか」


私達は、夕暮れの街に出掛けることにした。




buioに着いたばかりの頃と違って、街は華やかさを増し、賑わっていた。


「みんな仕事帰りなのね」


歩きながら、お店をのぞくと、楽しそうに食事しながら話す姿を目にした。


「懐かしい」

数ヶ月前までは、自分もそうだったから。


「そうだな。仕事帰りよく一緒に行ったよな」


「外で待ち合わせしてね、会社からはとても怖くて一緒に行けなかったし」


「どうして?」

櫻井さんが、普通に問いかけてくる。


「隼人もこの容姿なので、社内では多くの女性から人気があったので」


「私は、同期なので付き合いは普通に接していたのですけど」


「色んな誤解がありまして、私にも矛先が向くわけです」


「え、何かあったのか?」

隼人もびっくりしてる。


「まぁね」


「そんなわけで、身の危険を感じて、出掛ける時は外で待ち合わせをしていたんです」

と、櫻井さんに答えた。


「なるほどね」


「きっとその反対もあったんだろ?隼人」

フフッと笑いながら、隼人に話をふる。


「ありましたね、よく他の男性陣からケイのこと聞かれましたよ」


「即刻却下でしたけど」


「ははは、そうか」


大笑いしている櫻井さん、珍しいなと思いつつ、ふと後ろを振り返ると、真さんが驚いた表情で櫻井さんを見ていた。


きっと今までにない櫻井さんなんだろうね・・・。


たわいもない話をしながら歩いていると、食事をするお店に着いた。


「ここは、自分達がいつも利用している店だが・・」


店先で、櫻井さんが声を落として話す。


「気を抜かない方がいいかもしれない」


「・・・こんな時だからな」


私達は言葉なく頷いた。


お店の中に入り、予約をしていたので、奥の部屋に通された。


いつもはカウンターらしい。


「今日は人数が増えたからでしょうか?」


「多分、そうだろう」

と言う櫻井さん。


何か引っかかるが、とりあえず、聞かないことにした。


少し遅れて真さんが入ってきて、その後、食事が運ばれてきた。


「今日は料理長さんいらっしゃいますか?」

真さんが、スタッフに尋ねる。


「はい、おりますが」


「もしお手数でなければ呼んで頂けますか?私達のお客様にも紹介したいので」


「はい、畏まりました。聞いてまいりますので、少々お待ちくださいませ」


その、やりとりを眺めていた櫻井さん、


「真」


呼ばれた真さん、ニッコリ微笑んで、


「多分、この料理は食べないほうがいいかと」


「やっぱりな」

と、櫻井さん。


「えっ?」


驚いて状況がつかめないうちに、料理長さんがやってきた。


「いつもありがとうございます」

お礼をいう料理長さん。


「こちらこそ、いつも無理言って申し訳ありません。今回も急に押し掛けてしまって」

真さんが穏やかに話をすすめる。


「いえいえ、大丈夫ですよ」

と普通に答える料理長さん。


「ありがとうございます。料理長、今日のお薦め料理は?」

真さんが、テーブルの上の料理を指差す。


「何を召し上がって頂いても美味しいと思います」


という料理長の返事を聞いた真さんの目付きが厳しくなる・・・何かあると思ったら、


「料理長、味を見ながら一緒に食べて頂けますか?」

真さんがにこやかに料理長に話かける。


「えっ?」

一瞬戸惑う料理長。


「たまには良いでしょう?」

有無を言わせない迫力の真さん・・・怖い。


無意識に、隣の隼人の手を握りしめると、隼人もちゃんと握り返してくれる。


「料理長、何か不都合でも?」

櫻井さんも、冷ややかな声で話かける。


「・・いやっ」

挙動不審の料理長、認めたようなもの。



「自分たちが作っても、これは食べれないでしょうねぇ、料理長」



「誰に頼まれたんですか?」

真さん、既に臨戦状態・・。

料理長の目の前に座る。


隼人は、ふと櫻井さんの言った言葉を思い出していた。


「こいつの拷問で口を割らないやつはいない」


目の前でやるのか・・・。








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