69 vulcano(ヴォルカーノ)の狙い
「やっかいな奴らが動き始めたな・・」
「そうですね。先程buioに向かう尚人様からも連絡がありました」
「木理谷ではなく?あいつから直接は珍しいな。それだけ状況が逼迫してるか」
「はい。車内での殺人事件も含めてですが、今は調査中だとのことです」
「そういえば」
「ん?なんだ」
「尚人様が、隼人さんには自分のことは、すべて話してあり、その上で今回の戦力に正式に加えようと思っている」
「隼人さんからの希望もありますが、尚人様は、隼人さんの実戦の素質を、高くかっていますので、木理谷と共に、戦うつもりでいる」
と、おっしゃっていました。
「尚人に認められる位なら、隼人も見込みがあるんだろう・・、ここに来て、いい人材が近くに居てよかったな」
「まぁ、ケイのことがあるから複雑な所だが・・」
「そうですね、ケイさんも二人の板挟み状態ですし。尚人様があそこまで拘るのは珍しいので、この先どうなるのか。
」
「実際問題、隼人も尚人たちと動いた方が、守れるし、とりあえず、今は水面下に置いておくんだな」
「vulcano国の狙いは、間違いなく、ケイが持っている鍵。だから、何をおいても、鍵とケイは守らなくちゃいけない」
「心して戦えと」
「そして、無事にsperanzaに帰って来い、と、尚人に伝えてくれ」
「かしこまりました」
「尚人様もおっしゃっていました、必ずsperanzaに帰る。随時情報は送るから国の方は頼むと」
「わかった。軍のほうの手筈は?」
「尚人様から直接指示が入っているようです」
「それなら現時点では大丈夫だな。こちらにも随時報告するように」
「はい、では失礼します」
部屋に一人になり、煙草の火をつける。
「尚人、絶対死ぬなよ・・・・」
煙を大きく吐き、呟いた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「何だか大変なことになってきたね、隼人」
あと数時間で、buioに着く予定。
その直前に殺人事件があり、先程の打ち合わせでは、vulcanoという新しい国が出てきて、どうやら今回の殺人事件に絡んでいて、尚且つ、私が持っている鍵も狙っている、だろうと。
tenerezzaは・・?どうなるんだろうか。
「ああ、とんでもないよな。敵が増えるって、どういうことだよ、全く」
投げやりに答える隼人だけれど、これからくる敵が生半可な相手じゃないので、櫻井さんと真さんと共に、行動をするようになったみたい。
隼人も、地球から出てきて、招かざる敵と対応するようになって、櫻井さんは絶賛するし、その結果今回からsperanzaに行くまでサポートにはいるらしいけど、それだけでも隼人は凄いなと思う。
デスクの方に、視線を移すと櫻井さんと真さんは、ひっきりなしにどこかと連絡を取り合っている。
いつもとは違って、厳しい表情の櫻井さん、ふとこちらを見た櫻井さんと視線があうと、厳しい表情が崩れ、ニッコリ微笑む。
まるで、大丈夫だよ・・と言っているように。
私も、笑顔で答えると、櫻井さんは頷き、仕事を再開した。
「あと1時間でbuioに到着いたします」
車掌ジョニーさんの声で放送が入る。
「いよいよ・・だな」
櫻井さんが、顔を上げニヤリ・・と意味深に笑うと、
「ええ、久しぶりに血が騒ぎます」
という真さんも、何やら冷たいオーラ全開で櫻井さんの横に立っている。
「隼人、行くぞ」
櫻井さんが、隼人へ声をかける。
「はい、準備は出来ています」
先程のふて腐れはどこへやら、いつもの柔らかい表情が何処かに行ってるのは、気のせいだろうか。
「ケイは、何も心配しないでついておいで」
立ち上がり、近くにきた櫻井さんが、ボーッとしている私の頭を撫でる。
「相手がどうでてこようと、俺は負ける戦いはしないから」
櫻井さんの瞳は確信している。
「足手まといにならないようにします」
これは、私の本心・・。規模が大きくなってきて、私にはどうしようもないから。
わかっているのは、今、私がvulcano側へ捕まれば、間違いなく・・・軍が動く戦いになる、ということ。
私が、鍵を今さら危ないからと櫻井さんたちに戻しても、初めにあった話のように、私と隼人が揃ってこそ使える鍵なので、人質になったら同じこと・・。
口に出しては言わないけど、やっぱり先のことを考えたら、怖くて仕方がない。
「ケイ」
ふわっと温かい体温が私を包み抱きしめる。
「隼人・・」
「悪い方に考えるな。誰が近くにいるんだよ」
「ん・・でもすごく不安で怖いの」
「わかってる。お前の顔見ればわかる」
「わかりやすいものね・・私」
苦笑いをして、隼人を見つめると、
「俺の近くから離れるなよ」
そういうと、私の頬にキスをした。
もうすぐbuioへ着く。
外を見ると、暗闇の中で人工的な光を放つ点が見えてきた。
この星を抜けないと先がないと思ったら、身体に力が入るのがわかる。
しっかり、地に足をつけて頑張らないと。
今度こそ、私も笑顔で皆の顔を見渡す。
「大丈夫だ」
櫻井さんの声に、頷いた。




