67 buio/永住?
「buioってどんな星なんでしょう?」
これから行く星のことが気になる。
speranzaからは近いだろうから、情報はありそうなんだけど。
食事をしながら、櫻井さんに訊ねてみる。
「そうだな、何故か「暗闇」という名がついているが、暗いイメージはないな」
「あとは」
「周辺では、speranzaの次に大きいな。speranzaは、大きさは地球より少し小さいぐらいで、環境は地球と似てるが、buioは少し異なる」
「そういえば、前に櫻井さん言ってましたね、speranzaは地球に住むより、安全で快適に住めるって」
「ああ、まだあのときは、旅に出るかどうか決める前の話だったな。」
「今思うと、あの日を境に、運命が変わった気がします」
旅に出ようと決意した日・・。
そして、隼人と結ばれた日・・。
「buioは、今まで寄ってきた星の中では、一番大きいですね」
真さんも答えてくれる。
「色んな星から人々が集まってくる移民の星なんです」
「buioは豊富な資源があるからな。みんな出稼ぎにくる」
「資源・・・ですか?」
隼人も興味があるのか、話に参加する。
「そうだ、自然の資源が大きいな。」
「主は鉱山発掘関係だが。」
「人が集まれば、コミュニティができるからな。街も活気づく」
「なるほど。」
隼人は、なにか考えつつも、頷いている。
「きっとbuioは、開発される前は何もなくて、真っ暗だったんじゃないですか?だから暗い星のイメージで名前が付いたんじゃ」
太陽のような存在があれば別だけど・・。
「今は全く雰囲気も違うのかしら」
行ったことがない星をイメージしてみる。
「ケイの言う通りだな」
そう言う櫻井さんと視線が合うと、柔らかく微笑む。
「開発される前は、ひっそりと、他を寄せ付けない星だったが、ここ数年で変わった」
「列車も停まるようになったし、街は賑やかだな」
「buioでも、街に出れるといいんだけどね」
櫻井さんは、私の気持ちを考えてくれてるのね・・。
「期待したいです」
櫻井さんに、微笑みかえす・・・と、先程から口数を減らし、考え込んでいた隼人が私の手を握りつつ、話始める。
「櫻井さん、この星の開発責任はどこかご存知ですか?」。
穏やかに話ていた櫻井さんの表情が変わる。
「隼人、何か引っ掛かるのか?」
「ええ、ちょっと・・・・・」
「????」
私は急に変わった二人の会話の意味が解らない。
「親父さん、か?」
櫻井さんの言葉に、隼人の雰囲気がかわる。
「・・・・多分、直接ではないと思いましたが。俺もちゃんと聞いた訳じゃないから何とも言えないですが」
「そうか、初めて知ったな」
腕を組み、今度は櫻井さんが黙ってしまった。
私の知らない所で話が進んでる。
隣に座る隼人を見ると、私の視線に気がついて、自分の方に私を引き寄せる。
「隼人、また狙われるの?」
まだ襲われた新しい記憶が甦り、不安になる・・・。
「俺は大丈夫だ」
そう言う隼人に抱き締められ、額に体温を感じる。
「それより今は・・・ケイのほうが心配だ」
「無駄に相手がでかいからな・・・。」
、
「まぁ、油断はできないが、今の所は隼人は心配ないだろう」
「真」
「はい。」
「buioのデーターを」
「こちらに」
真さんから何か預かると、真剣に見始める。
「ふむ・・・・」
暫く画面を見ながら考えていた櫻井さんが、顔を上げ、今まで見ていた画面を、隼人の方に向ける。
「これ、見てみろ」
何やら、凄い情報量らしく画面一杯に文字が羅列されている。
「いいんですか?」
と、隼人が櫻井さんに尋ねると、言葉なく頷く。
画面に視線を戻すと、隼人は食い入るように読み始める。私も一応覗いたが、早々にギブアップ、隼人に託すことにした。
暫く画面を見ていた隼人が、顔を上げると、眉間にシワを寄せ難しい顔をしている。
「隼人?」
厳しい状態なんだろうか・・・気になる。
「櫻井さん」
隼人が声をかけ、櫻井さんと視線を合わせると、
「知らない所じゃ無かっただろ?」
隼人は言葉なく頷く。
「ここまで手がのびてたのは意外でしたが、注意は必要ですね・・・」
とため息をつく。
「前回は、親父さんが対処できたが、もしbuioで騒動があると厄介だな」
櫻井さんも、なんとも言えない困り顔で呟く。
話の行き先は心配だけど、二人の話に口出しするつもりはなく、それでも無意識にため息をついていたらしい。
「ケイ?」
声のする方へ、視線を戻すとこちらを見る隼人の視線とぶつかる。
「ん?」
首を傾げると、
「心配か?」
隼人が私の身体を包むように抱きしめる。
「心配じゃないっていったら嘘になるわね」
「buioの開発関係者の中に、この間の実行者の親類が入ってるんだ」
「え,そうなの?」
「俺も何回かあったことがある」
「そいつも、親父と反対側の組織のやつだから、ちょっと気になってな」
「じゃぁ・・」
「ここまで来たら開きなおるしかないな」
という隼人は、苦笑い。
「櫻井さん、もしかしたらまたご迷惑かけてしまうかもしれませんが」
「それは構わないが隼人も大変だな・・」
櫻井さんに、本気で同情される隼人。
「親父があの仕事辞めない限りは追われるでしょうね」
「まぁ地球で住みにくいなら、speranzaに着いたらそのまま永住すればいい」
当たり前のように言う櫻井さん。
櫻井さんの言葉にびっくりしていると、
「そうですね。それも実は考えています」
・・と隼人。
「この状態で、地球に帰っても俺だけ狙われるのなら、それなりに対処しますが」
「ケイだって間違いなく標的になるのがわかってるから・・」
「隼人」
「あの騒動の中には入れたくない」
腕の中にいる私をぎゅっと抱きしめる。
「そうだな、今の状態じゃ100%ケイも標的になるな」
「前例もすでにあるし・・」
櫻井さんの言葉で、事件を思い出し、震えがくる。
「speranzaなら、俺たちもいるから間違いなく安全だな。手出しはできないだろうし」
近付いてきた櫻井さんの指が、私の頬を撫でる。
「できたらたいした者です」
とあっさり真さん。
「まぁ、今度襲われるなんてことがあったら、現場で容赦しないけどな」
隣で隼人も頷く。
「とりあえず、speranzaに着いてから考えます」
物騒な話をしたあとは、穏やかに食事をし、その後隼人と自分達のコンパートメントに帰ってきた。




